続続・次世代エコカー・本命は?(51)

「パリ協定発効 日本の課題は?」(時論公論

20161104()

室山 哲也  解説委員

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/256336.html

 

 

(途中省略)

 

 

日本の課題は?
では、日本の現状はどうでしょうか?
日本は、CO2の排出が世界5位の主要排出国です。しかし、パリ協定の批准が間に合わず117日にモロッコで始まるCOP22の、パリ協定締約国の第一回目の会議に、正式メンバーとして参加できなくなりました。今後は、少しでも批准を急ぎ、メンバーの仲間入りをしたいところですが、温暖化対策のルール作りに、直接かかわることができない状況は、残念としか言いようがありません。

では、日本国内の温暖化対策はどうなっているでしょうか?

 

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省エネや脱CO2エネルギーへの転換によって「2030年度までに、2013年度比で、温室効果ガスの排出を26%削減」し、2050年には、80%削減する目標を掲げています。

 

 

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これは、その目標の根拠の一つとなっている、2030年の電源構成です。
CO2
を出す化石燃料による発電と、CO2を出さない発電に分かれています。
この計画には、問題点が2指摘されています。
一つは「石炭火力発電」です。石炭は化石燃料の中でも、CO2排出量が最も多く、世界的には、有効な温暖化対策としては、認められていません。さらに価格が安いため、建設に歯止めがかかりにくい傾向があります。今後は、この比率を、これ以上増やさないよう、規制や方策を確立する必要があります。
もう一つの問題点は「原子力」です。原発の運用は、原則40年と決まっていますが、現在の原発をすべて40年稼働しても、2030年には14~15%にしかならず、2022の数字は、運用年数を延長するなどがふくまれていると考えられます。しかし、現在の、原発再稼働を巡る混乱を見ると、2030年までにこの数字が実現できるのか疑問がわいてきます。今後は、再生可能エネルギーの比率をさらに高める努力が必要といえます。

再生可能エネルギーの比率を、拡大することはできるのでしょうか?
可能性は十分にあります。

 

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日本の国土面積は世界61位ですが、排他的経済水域を含めた面積は世界6位。海岸線は3万キロ以上もあります。この海を舞台に、海洋風力発電温度差発電、潮流発電などを展開すれば大きな可能性が開けます。また地熱エネルギー世界3位バイオマス発電を可能にする森林比率も先進国では3位です。このように、実は、日本は自然エネルギーの宝庫で、先端技術と組み合わせて、再生可能エネルギーの比率を拡大する可能性は、十分あります。
又、開発した技術を、途上国と協力して展開し、削減したCO2の一部を、日本の成果としてカウントするアイデアも検討されています。
しかし、日本で、再生可能エネルギーを育てる前提として、電力網の強化、固定価格買い取り制度や電力自由化の促進など、社会制度の充実が欠かせません。

2030年を乗り切っても、その次に、2050年に80%削減という大きな壁が待ち構えています。その壁を越えるには、今までにない革新的エネルギー技術も必要です。

 

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たとえば、自然エネルギーを使って水を分解し、水素に変換して電力を得る水素技術」。温暖化対策に有効なバイオマス発電と、そこから出るCO2を地中に埋める技術を組み合わせたバイオマスCCS」。CO2を酸素に変換する「人工光合成」。送電ロスをゼロにする「超電導送電」など、日本が得意とする基礎技術を育て、同時に、成長戦略にも生かす工夫が必要となってきます。

まとめ
かつて、IPCC気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長は、「温暖化を止める技術は、すでに人類の手の中にある。ないのはやる気だけだ」と述べました。日本にいま必要なのは、まずは、本気で地球温暖化に向き合う「持続する志」ではないでしょうか?
地球温暖化に対する取り組みは、今後数十年、数世代にわたります。地球環境の仕組みはどうなっているのか?なぜ循環型社会が必要なのか?といった科学的知識を、子供たちに教えていく必要もあります。
今から50年、100年たったころ、未来の人間たちは、私達の世代を、そして日本を、どういう目で見るでしょうか?その時のためにも、パリ協定が発効した今、一人一人が現状を再認識し、行動を起こす時だと思います。

(室山 哲也 解説委員)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/256336.html

 

 

これによると地球温暖化対策の日本としての方策には、主に次の2つのことが考えられるのではないのかな。

(続く)