続続・次世代エコカー・本命は?(55)

この後段部分で、初めてEV全個体電池の話が出てくるが、肝心な前段部分にはEVの話はでで来ない。

 

ということは、トヨタでは20151014現在ではまだEVCO2フリーの中距離移動手段だとは、考えられていないということではないのかな。

 

しかしトヨタは、その1年後の2016.12.1付けで「EV事業企画室」を設置した。この件は当ブログの2017.4.26NO.18で(詳しくはないが)述べているので参照されるとよいが、この間に豊田章男社長に、心境の変化があったものと思われる。

 

クルマを操る歓び・もっといいクルマを作ろうよ」の「いいクルマ」は「操るもの」から「移動するもの・運ぶもの」に変わっていった様だ。

 

トヨタでは、「クルマは操るもの」と言う概念へ、「クルマは移動するもの・運ぶもの」と言う概念を追加できたのだ。

 

しかしこれは自発的に、自律的に、クルマの概念を変えていったものではなくて、多分、外界からの力によって変えざるを得なかったからであろう。ただクルマ本来の機能に戻ったということだ。

 

クルマは移動するもの・運ぶもの」となれば、それほど操らなくてよいと言うわけでもないが動けばよいのであるから、多種多様な燃料を使えるようになる。短絡的に言うと、「もっといいクルマ」とは「限りなくCO2を排出しないクルマ」と言う事になる。

 

そして地球温暖化を絶対に防がなければならない、と言うことが急務となってきているから、クルマはCO2を排出しない燃料を使わなくてはならなくなったのである。

 

今のところ、それは電気しかないのである。そのため如何にしてCO2フリーで電気を作ってゆくかということが、勝負どころとなるのである。

 

この課題に対して、トヨタ水素に着目して、日産バイオエタノールに着目したのである。

 

但し水素自然エネルギー再生可能エネルギーで電気を起こし、その電気で水を電気分解すれば、CO2フリーで作ることが出来る。

 

しかしバイオエタノールは改質の際に発生するCO2を回収して貯留しなければ、CO2が大気に放出されてしまうので、元の木阿弥と化してしまう。だからCCSとかBECCSとかのこれまた複雑な操作が必要となってしまうし、食糧問題も惹起されることにもなる。また元となる植物(サトウキビやトウモロコシ)は機械を使って作られるので、この段階でも盛んにCO2を発生させている。だからバイオマスで水素を作ることは、環境的にはそれほど効率的ではないのである。

 

このことは先に言及しておいたが、何れにしても2050年には自動車からのCO2排出は限りなくゼロとしなければならないのだ。

 

先ずは何はともあれ、CO2フリーで電気を作ることを考えなければならない。

 

これに関して小生は、自然エネルギー再生可能エネルギーで電気を起こし、その電気で水を電気分解してCO2フリーで水素を作ることが、最も効率的で永続性があるものと思っている。電気を蓄えることが出来る形に変換しているからである。

 

その水素を使った燃料電池再生可能エネルギーで作った電気でバッテリーに充電して、電気自動車を走らせられれば、完全に(と言ってよいほどに)CO2フリーでクルマを使うことが出来るのである。

 

現在は化石燃料を使ってCO2を放出する火力発電所で作った電気で、電気自動車は走っているので走行中にCO2は排出しないが、2050CO2排出ゼロには必ずしも寄与しないのである。

 

だからかどうかは知らないが、トヨタEVを最優先事項に置いていない理由も、ここら辺にあるのかもしれない。だとしたら、水素をもっともっと活用して燃料電池で発電して(再生可能エネルギーも使って)電気を作り、その電気をバッテリーに蓄電して電気自動車を動かすことを考えればよい。

 

トヨタ環境チャレンジ2050」の[「水素社会」実現に向けた取り組み]の中には、このような考え方も含まれているものと、小生には感じられるのである。

 

 

トヨタは、この時点ではまだEVは、近距離用途のクルマとの認識である。ロイターは次のように伝えている。

 

 

 

Business | 2015101419:41 JST

関連トピックス: ビジネス, トップニュース
トヨタ50年にガソリン車販売ほぼゼロ 20年以降にFCV年3万台

 10月14日、トヨタ自動車は2020年までにハイブリッド車で年150万台の販売を目指すと発表した。都内で昨年3月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

 (2015)10月14日、トヨタ自動車は2020年までにハイブリッド車で年150万台の販売を目指すと発表した。都内で昨年3月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai

 

[東京 14日 ロイター] - トヨタ自動車(7203.T)は14日、中長期な環境への取り組みを発表した。地球温暖化につながるCO2(二酸化炭素)削減のため、2050年にはディーゼルやガソリンといったエンジン車の新車販売をほぼゼロにする方針を明らかにした。

一方、走行時に水しか出さず、究極の環境対応車と位置づける燃料電池車(FCV)は20年以降に年3万台以上の販売を目指す。

同社は50年時点での車種別の新車販売比率のイメージ図を公表。具体的な数字での比率は示さなかったが、新車販売のほとんどがFCVをはじめ、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)といった車両にし、エンジン車は限りなくゼロに設定した。



都内で会見した伊勢清貴専務役員は「地域によっては電気が使えないなどインフラ上の制約もあるため、少しは残る」としながらも、エンジン車は「なかなか生き残れない」と説明。自動車業界にとって「天変地異に等しい」とし、トヨタも対応していかなければならないとの考えを示した。

FCVの世界販売は、普及に向けた「熱を冷ましたくない」(伊勢専務)として、20年以降に年3万台以上とする目標を掲げた。日本では年1万数千台の販売を目指す。昨年末に発売した市販車「ミライ」は日本で約350台を販売したが、受注に生産が追いつかず、現在も納期まで3年以上かかる状態だ。欧米でも今秋から販売を開始。年生産規模は15年末までは約700台、16年は約2000台、17年には約3000台に拡大する計画。

HVの世界販売は、20年までに年150万台と14年の約126万台から2割近く増やし、累計で現在の800万台超から1500万台に引き上げる方針を示した。伊勢専務はHV販売拡大のため、引き続き燃費改善やコストの引き下げ、低価格化を進めるとした。

一方、EVは「電気容量を増やす開発は進めているが、充電時間を短くする技術が目先まったくない」(同)と説明、容量を増やしても充電に時間がかかると使い勝手が悪いため、引き続き近距離用途としての開発にとどめるとした。

こうした環境対応車の販売拡大により、世界で販売する新車平均の走行時のCO2排出量を2020年には)10年比で22%以上50年には90%の削減を狙う。自然エネルギーの利用拡大などで、50年には工場から排出するCO2をゼロにするなどの目標も盛り込んだ。

http://jp.reuters.com/article/toyota-hv-idJPKCN0S80ET20151014

(続く)