続続・次世代エコカー・本命は?(77)

三菱自動車i-MiEVの開発責任者を務めた和田憲一郎氏によると、テスラは既に一介のベンチャーの町工場かられっきとしたEVの量産自動車メーカーに脱皮しているのではないか、と言う事であった。

 

と言う事は、開発途中のクルマを販売して、販売しながら修正をして完成車に仕立て上げてゆくと言うようなベンチャー屋ではなくなっている、と言う事を意味する。

 

安全性、信頼性、耐久性などは、発売初期から保証されていなければならないもので、量産初期から品質保証が出来ていなければならない、と言う事である。だから2017年半ば頃から生産が開始され、年末には顧客の手に渡る予定の「Model 3」に対しては、いささかのトラブルがあってはならないと言う事である。

 

トヨタがテスラと協業して危惧したものは、このことではなかったかな。それにしても「2170」にしても「18650」にしても、一部のバッテリーに不具合があってもあの写真(前日掲載)の様子ではメンテナンスは効かないのではないのかな。結局はボデーのどんがらだけが残っていわゆるシャシー全体を交換すると言う事になるのではないのかな。結局はクルマを1台買い直すと同じ事になってしまわないのかな、と危惧する。

 

そして案の定、テスラには量産立ち上がりにトラブった過去があった。

 

 

進撃のテスラとその背中

  • 久米 秀尚

  • 2016/04/22 05:00

進撃のテスラとその背中

 

 正直に言うと、「ウソだろ」と思った。

 2016331日に新型の電気自動車(EV)「Model 3」を発表した米Tesla Motors社(図1関連記事1)。それからわずか1週間後の201647日、同社CEO最高経営責任者)のElon Musk氏は、Model 3の予約台数が325000台を突破したことを明かした。Musk氏自身、発表前に見積もっていた予約台数に関して、「実際に受注した台数の1/41/2ほど。社内の誰もが、こんなに多くなると予想していなかった」とコメントしている。

1 Tesla社が開催した新型EVModel 3」の発表会の様子   モデル3発表会1

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 予兆はあった。331日の発表に合わせてTesla社はModel 3の予約を開始しているが、購入希望者が同社の販売店の前に長い列を作ったのである。払い戻しが可能であるものの、予約に1000ドル(日本では15万円)の予約金を納める費用があるにもかかわらずだ。

 Tesla社は「2020年までに年間50万台EVを生産する」という目標を掲げている。Model 3はその計画達成の成否を左右する重要な車両。今回の衝撃のデビューは、Tesla社にとって強烈な追い風になったのは間違いない。

 だが、手放しで喜べるほど順風満帆ではない。気になる事実がある。2003年に創業したTesla社が、これまでの13年間で生産したEVの数が12万台程度であることだ。直近の2015年は約5万台のEVを作った。Musk氏は20162月の決算発表会で、「(2020年には)週に1万台も作ることになる!」と笑っていたが、わずか5年で生産量を10倍に高めるのは簡単ではない

 2017年末に出荷を開始すると表明したModel 3量産時期も気になる。同社のSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)タイプのEVModel X」の“過去”があるからだ。Model X2014に生産が始まるはずだった。だが、その時期は遅れに遅れ、実際に生産が始まったのは20159だった。2015年内に顧客に納車できたのはわずか208台。2016年第一四半期のModel Xの出荷台数は2400台だった。

 Tesla社はこの件に関して、「傲慢にも、バージョン1Model Xに新技術を盛り込み過ぎた」と非を認めている。サプライヤーによる部品性能の検証や部品の自社生産能力が足りていなかったことが原因という。Tesla社は「Model 3の生産開始の時には、こうしたミスを犯さないように確実に取り組んでいく」と述べた。

 次第に大きくなるTesla社の存在感。その背中は、他社をも強く刺激している。

2 2016年後半に発売するGM社の「Bolt    GM_Bolt2

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 正面からTesla社の“電気ショック”を受けているのがGMだろう。同社は新型EVBoltの発売を控える(関連記事2http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/121400021/010700040/)。価格は35000ドル(1ドル=110円換算で385万円)で航続距離は200マイル(約320km)と、Tesla社のModel 3とほぼ同様のスペックだ。GM社は2016年後半にBoltの販売を開始する(図2)。1年間で、どこまでModel 3の先を走れるだろうか。

 「我々のスピードはTesla社よりもずっと速い。創業から18カ月で最初のコンセプト車を発表し、既に社員は750人もいる」——。ライバル心をむき出しにして息巻くのは、米国のEVベンチャーFaraday FutureFF)社Senior Vice President of R&D and EngineeringNick Sampson氏だ。

 “ポストテスラ”の座を狙う同社は、10億ドル(1ドル=110円換算で1100億円)を投じて米国ラスベガスにEVの生産拠点を設けることを明らかにしており、2016413日に工場の竣工式を敢行してみせた。

 FF社はシリコンバレーに拠点を置いているが、その視界にはEV市場が急速に拡大している中国が映る。インターネット動画の配信サービス「LeTV」の成功で富豪となった中国人の賈躍亭(Jia Yueting)氏が、同社の出資者に名を連ねているのが理由の一つだ。

 そのJia氏が2016420日に動いた。同氏がCEO最高経営責任者)を務める中国LeEco社(旧社名はLeTVLeishi Internet Information Technology)が、EVのコンセプト車「LeSeeを発表したのである(図3)。自動運転機能を備えるという。FF社とは直接の関係はないとみられるが、Jia氏は米国と中国の2大市場でEV開発を急ピッチで進めていく考えだ。

3 LeEco社が発表したEVのコンセプト車「LeSee    LeEco3

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 このタイミングで発表したのは、「 Auto China 2016(北京モーターショー2016」が425日に開幕するから。中国のモーターショーは北京と上海で1年ごとに実施している。

 実は、昨年の上海モーターショーの取材でも刺激的な出来事がいろいろあったのを思い出した。会場で聞いた話で「本当か」と思うような発言があったからだ。

 「2015年は電動車両の販売台数を3倍に伸ばす。プラグインハイブリッド車PHEV)だけで5万台を売る」——。この発言の主は、中国の大手自動車メーカー比亜迪汽車(BYD Auto社)の販売責任者。上海モーターショーでの記者発表会で、強気の計画を示したのだった(図4関連記事4)。

4 上海モーターショー2015でのBYD Auto社の記者発表会の様子

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 無茶だと思った。だが、BYD Auto社は201512月期の決算で、58000台の電動車両を売ったことを発表した。手厚い補助金の後押しがあるものの、販売したことは事実だ。同社は2016年も倍増を目指すという。

 これら以外にも、中国では続々と新型のEVPHEVが登場している。北京モーターショー2016でもきっと、「ウソだろ」と反射してしまう発表や展示があるだろう。もちろん全てを信じるつもりは無いが、勢いのある雰囲気を感じるべく、明日、北京に飛ぶ。筆者の「ものさし」も補正しなければ…。

 「このEV、いつから発売するの?」
 「もうやっちゃってるよ」
 某自動車メーカーN社風の、そんな言葉が返ってきそうだ。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/198610/042100099/

 

 

リチウムイオン電池の供給体制については、パナソニックがついているから安心であるが、肝心のフリーモントの車両工場でのトラブル回避に対しては、イーロン・マスクは今一つ安心が出来なかったようだ。

(続く)