続続・次世代エコカー・本命は?(79)

トランプ政権で逆風も

 テスラがEVの量産体制構築を急ぐのは、環境規制の強化に伴って世界中の自動車や電池メーカーがテスラに負けじとEVやバッテリーの量産体制を整え始めていることもある。

 GMなどにリチウムイオン電池を供給する韓国のLG化学は、ポーランドEVリチウムイオン電池の工場を新設し、2017年末から稼働させる予定。

 ダイムラーVWBMWなどドイツを中心とする欧州勢も、航続距離を大幅に延ばした新型EVの投入計画を次々に発表。ダイムラーは電池工場を増強し、BMWは電池の調達で韓国サムスンSDIと組んで低価格化と大容量化の両立に挑んでいる。

 世界中の大手自動車メーカーが揃ってEVの開発に動き出したことで、これまで独自路線で成長してきたテスラも激しい競争にさらされることになる。

 またトランプ氏地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの脱退を示唆するなど、環境規制の強化に否定的とみられている。特にテスラの主戦場である米国市場で、EV普及にブレーキがかかる可能性がある。

 逆風が予想される中、テスラが大手自動車メーカーとの競争でリードし続けるには、いち早く量産体制を構築する必要がある。今回の買収に続く「次の一手」に注目が集まる。

(池松 由香)

「テスラ頼み」強めるパナソニック

テスラの「ギガファクトリー」はパナソニックの電池事業の命運を握る(写真=AP/アフロ)

 テスラの買収劇の成否は、同社にリチウムイオン電池を供給するパナソニックの今後にも大きな影響を及ぼす。

 「培ってきた資産をテスラの生産にどう“お役立ち”できるのかを考えている」。10月末の決算会見で、パナソニックの津賀一宏社長はテスラとの関係をこう表現した。

 2010パナソニックテスラに3000万ドルを出資。それ以降、電池の供給を中心に関係を深めている。米ネバダ州で2016年度内にも稼働を始めるテスラの電池工場「ギガファクトリー」には、パナソニックのエンジニアが200人常駐している。

 「モデル3」を中心に、生産台数を年間50万台に引き上げるテスラにとって、電池の確保は急務だ。2018年までにギガファクトリーをフル稼働させ、2013年の世界全体のリチウムイオン電池の生産量を上回る規模へ引き上げるシナリオを描く。

 実現すれば、パナソニックにとっては強い追い風となる。EV向け電池は自動車各社の需要が増えることが期待されており、テスラ向けで性能やコスト面で先行すれば、取引拡大が計算できるためだ。パナソニックは関西の2工場に加え、今年度中に兵庫県内に新ライン、中国・大連でも2017年の稼働開始を目指して車載用電池工場を建設している最中。「EVは他のメーカーからも期待を寄せてもらっているので、たとえ赤字となっても頑張る」(津賀社長)。

 パナソニック2015年度に13000億円だった車載関連事業を2018年度には2兆円へと伸ばす目標を掲げる。ナビゲーションシステムや安全装置など、電池以外でもテスラとの取引が拡大することへの市場の期待も大きい。

 この(2016)10パナソニックとテスラは太陽光発電システムの生産で提携を検討すると発表。太陽光発電事業は日本の再生可能エネルギーの買い取り価格下落の影響で不振が続き、利益の押し下げ要因となっている。テスラとの協業が進めば、現在休止中の二色の浜工場(大阪府貝塚市が再稼働する可能性もある。パナソニックの収益改善に、テスラが順調に成長することがますます欠かせなくなってきている。

(西 雄大)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/111500437/

 

 

 

 EVの中核部品である電池では、テスラはパナソニックの協力を得た新工場ギガファクトリーが近く完成する予定。車両工場の能力増強をどう実現するかに注目が集まっていたが、自動化技術に優れるグローマン買収で道筋が見えてきた。

 

と書かれている通り、テスラの工場にはグローマンの自動化技術がてんこ盛りであろう。そうでなくては、2018年には週一万台の生産を実現するなどと豪語は出来ないだろう。

 

写真を見るところによると、テスラのギガファクトリーでは、工場の屋根前面に太陽電池が張り巡ら(すことになり)されており、工場としてCO2フリーになっているらしい。であれば、これまた素晴らしてことである。

(続く)