続続・次世代エコカー・本命は?(97)

このZEVSAVに代表されるモビリティ革命は、現代の社会にどのような変革をもたらすことになるのか、興味は尽きない。と言っても短期間に社会が変化するわけではないのであるが、次のような形の変化は今でも想像ができる。

 

かの本は、次のように述べている。

 

第一に、地球温暖化問題」への対応が最重要課題であるために、自動車産業は最優先課題としてZEVを普及させなければならないことになる。それと同時に再生可能エネルギーでの電動化が進展しなければならないことになる。

 

何と言ってもこのまま自動車がCO2を排出してゆくと、2050年頃には地球の気温は上昇し続けて元に戻ることが出来なくなってしまう事態に遭遇することになる、と言う。だからZEV化は待ったなしなのである。

 

第二に、自動運転が日常化し、更にライドシェアが普及すれば、路上を走るクルマはかなり少なくなり且つ道路交通は安全となろう。そのため「交通渋滞」や「交通事故」は、限りなく減少することになる。このようにSAVも、社会に対して多大な影響を与えることになる。

 

第三に、ロボットタクシー」が走り出せば、交通インフラは不足している地域での公共交通機関の代替機能を果たすことが出来るようになろう。

 

第四に、高齢化・過疎化」に対する移動手段の解決策の提供となり得るのではないか。

 

第五に、ZEVSAVの進展は、当然のこととして、「資源の無駄遣い」を防ぐことになる。クルマの個人所有の無駄から、シェアリングエコノミーへの変換は、大量生産大量消費の無駄を無くすことになり、地球環境にやさしい形態となろう。

 

 

モビリティ革命」の結果、社会にはこのような影響と言うかインパクトが与えられることになるのであるが、自動車産業に対しては、もっと厳しい影響がもたらされるので構える必要がある、とかの本は分析している。

 

 

2030を想定すると、

 

(1) 乗用車メーカーの営業利益は半減する。

 

HV車はZEV車ではないが、これを含み、PHVEVFCVなどの電動車両が新車販売の半数を占めることになる。ZEVが当たり前の世の中になっているわけだ。だが、その開発・生産コストは、消費者は負担しようとは思わないと分析しているので、自動車メーカー・特に乗用車メーカーは、そのコストを車両価格に転嫁できないでいることになる。

 

そのため「電動車両の新車販売の半数を占めた場合、乗用車メーカーの営業利益の約48%が吹き飛ぶ」と、かの本は試算している。

 

(2) 自動運転車は8%となるが、営業利益は3%減る。

 

2030年の新車販売では、「レベル2」は7%、「レベル3」は1.2%と予測して、この約8%の自動運転車のコストを試算し、消費者がこの額を負担するかを分析したが、答えはNOであった。

 

だからこのコストも自動車メーカーがそれなりに負担せざるを得ず、その結果営業利益は、僅か8%の自動運転車のために3%減少すると予測された。

 

(3) シェアリングが急拡大して、新車販売は9%減少する。

 

2030年までには、カーシェアリングが進展し2台に1台がシェアされると予測している。そのため2030年のグローバルの販売台数は9%減少するとしている。ちなみにその時の総販売台数は12000万台程度に落ち込むと試算している。

 

どんな分析方法かは知らないが、「2030年のグローバル自動車販売台数予測」と言う図が、かの本には掲げられているが、それによると次のようになるようだ。

 

2015年  9千万台(実績)

2030年 131百万台 → カーシェアリング影響 → 119百万台(販売は約9%ダウンする)

 

 

カーメーカーに対しては、こんなダメッジが想定される以上、何らかの手を今から早急に打たねばならないのである。だからトヨタも、Uberと提携したりマツダ資本提携をしようとしたり、足搔いているんでしょうね。

(続く)