ごく最近までトヨタは、電気のみで走行する100%EVに背を向け、次世代車として水素式の燃料電池車(FCV)開発を積極的に進めていた。2013年、ガソリンと電気のハイブリッド車「プリウス」の生みの親の内山田竹志会長は、水素電池車は従来の燃焼エンジンに対する「実際的な代替役」だと語り、EVが使われるとしても近距離用に限定されるとの見通しを示した。
同社はモーター搭載式のハイブリッド車とプラグインハイブリッド車(PHV)が水素電池車への橋渡し的存在になると予想。14年にはついに初の水素電池車「MIRAI」の販売を開始した。
ところが昨年末、長距離走行可能な100%EVの開発を始めると表明し、豊田章男社長直々に指揮を執る新部門を立ち上げた。業界専門家によると、2020年ごろには販売にこぎ着けるはずだという。
あるトヨタ役員はこうした方針変更について「苦渋に満ち、胸が痛む」と表現している。
トヨタに姿勢を変えさせた大きな要因は、世界最大の市場である中国にある。同国政府はクリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた厳しい燃費基準導入を計画しつつあり、世界の大手メーカーは試練にさらされている。
昨年(2016年)9月に公表された当局の提案では、各メーカーに販売台数の8%を来年(2018年)までにEVないしPHVとするよう義務付けた。この比率は2019年に10%、20年には12%まで高められる。
業界側の働きかけでクリーンエネルギー自動車に関する販売義務の比率やペースは多少修正されるかもしれないが、トヨタを始め各メーカーは中国が20年までにEVを本格的に市場に普及させようとする基本的な流れは続くとみている。
ただトヨタにとってこれは死活問題になりかねない、と別の役員は懸念を示した。中国の提案によると、プリウスのようなモーター式ハイブリッド車はガソリン車と同等に扱われ、厳格な燃費基準達成のために利用できる「新EVクレジット」を稼ぎ出してくれない。
トヨタの大西弘致中国本部長は18日、「中国の見解ではプリウスはガソリン車と変わらないので、われわれはアレルギーを克服して電気自動車を考え出すしか道はない」と述べ、来年には中国でPHV販売を始める方針を明らかにした。いずれは100%EVの販売も目指すとしながらも、その具体的な時期は示していない。
(Norihiko Shirouzu記者)
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1704/22/news014.html
しかしながらトヨタのHVも捨てたものではない。中国では「乗用車企業平均燃費規制(CAFC)」なるものもあるので、このCAFC(corporate average fuel consumption)とNEVの両方で規制されることになりそうなので、その点HVで大いに燃費を稼ぐことが出来るので、トヨタとしては後はZEV車だけを考えればよいことになろう。EVがまだならPHVを導入すればよいからである。FCVは最もランクの高いZEVではあるが、中国への導入にはいまだ敷居が高すぎると判断できるが、そんな時だからこそFCVの導入の検討も必要なのであろう。
トヨタとしてはFCVの導入も準備はしているようなので、ここはお手並み拝見と言ったところなのであろう。
2018年NEV規制導入対応で、電動化を加速する
自動車各社
2016年11月21日
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統一管理予定のCAFC・NEV規制について解説!!
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地場・外資系メーカーの中長期販売目標を分析!!
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メーカー各社の製品投入や設備投資等の事業計画を網羅!!
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自動運転やコネクテッド等新技術開発の最新動向を調査!!
中国政府はエネルギー安全保障や大気汚染改善に向けて、2016年9月に乗用車企業平均燃費規制(CAFC)と中国版ZEV規制となる新エネ車(NEV)規制を統一管理する意見徴収案を発表し、CAFCクレジットとNEVクレジットからなるダブルクレジット制度を2018年から実施する計画を明らかにしました。中国政府は2020年にNEVの生産台数を市場全体の7%に相当する200万台超、2030年には同40%に相当する1,500万台以上へ引き上げる強気な目標を掲げています。ダブルクレジット制度の詳細が明らかにされたことで、これまでNEVの投入に積極的ではなかった外資系メーカーは製品投入を本格化しなければならず、2018年以降、中国で本格的にNEV製品の競争が繰り広げられることが予想されます。また、各メーカーは、NEV規制対策のほか、CAFC規制対策としてHEVや48Vシステム、アイドリングストップ等の省エネ技術、ダウンサイジングターボエンジンやDCT、CVT、8速AT等の燃費改善技術の開発、採用に取り組んでおり、環境対応技術導入に向けた開発が進められています。この他、自動運転やコネクテッドカーなどの新技術も中国で注目されており、長安、北汽、上汽などの完成車メーカーが開発を進めるほか、百度(Baidu)やAlibabaなどのIT関連企業も強みであるIT技術を武器に完成車メーカーとの共同開発・実証実験を展開しています。今後は、本格的な量産化・普及に向けて、法整備や通信インフラ整備が課題となります。
「中国自動車産業2017」では、2018年から統一管理が予定されるCAFCとNEV規制について解説したうえで、地場系メーカーの第13次5ヵ年計画と外資系メーカーの中国事業戦略を調査し、中長期販売目標やNEV規制対策、燃費改善策を分析します。そのほか、各メーカーの製品計画や生産整備などの事業動向、製販台数(CDにも収録)や売上高などの各経営業績指標も掲載しています。
当案内をご高覧頂き、関係部署ともご相談いただき、ご採用賜りますようお願い申し上げます。
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http://www.fourin.jp/report/CHINA_INDUSTRY_2017.html
先の論考によれば「8%を来年(2018年)までにEVないしPHVとするよう義務付けた。この比率は2019年に10%、20年には12%まで高められる。」と言っているので、ZEV(NEV)の導入は必須であろう。特に各社がEVの導入を企画しているので、トヨタとしても本気でEVの導入を検討せざるを得ないのである。
(続く)