簡単に図式化すると、
選手の精神の弱さ → 異常な精神状態 → コミュニケーション不足・信頼不足 → 監督指示に対する認識のかい離 → 反則タックルの実施
と言った構図で、日大側は説明している。即ち責任をすべてDLの選手におっ被せているのである。
DLの選手は、コーチから「監督におまえをどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のQBを1プレー目でつぶせば出してやると言われた」と証言している。
「1プレー目でつぶせ」と言っている。
先の説明では、「”つぶせ”はいつも使われる言葉で、いつも”思い切って当たれ”という意味」だとP94では述べていたが、”1プレー目でつぶせ”の1プレー目では思い切って当たれ、という意味ならば、2プレー目以降は思い切って当たらなくてもよいのか、と疑問が湧く。アメフトとは常に思い切って当たるスポーツではなかったのか。
1プレー目でケガをさせて来い、という意味なので、あのような反則タックルをしたのであり、何の認識のかい離もないのである。
あくまでも日大側の「こじつけ、言い訳」である。
しかしもしこの構図であの反則タックルが本当に起こったとしているのであれば、その再発防止は、
認識のかい離の解消 → コミュニケーションの徹底・信頼の回復 → 精神状態の安定策の実施
と言う事になる筈である。
如何に選手たちの精神の安定を図るか、と言うところに対策が打たれなければならないことになるのであるが、日大の施そうとしている再発防止策は、(1)指導者の意識改善と(2)過去の試合映像等を利用したプレー検証の徹底とである。
本気でそれが原因だと思っているのであれば、これだけで対策が出来ると思われないのである。
これらの対策は、いわゆる表面上のもので日常の監督と選手間の当たり前の行為を述べているに過ぎない。要は、「しっかりやります」と言う事を言っているだけである。
真の対策になっていないし、これでは本当にこの事件を深刻に考えて対策しようとしているとは思えないのである。ただ恭しく回答書を書いた、と言う事だけである。
まあ先にも述べたものだが、「危機管理学部」が泣くと言うものであろう。どうせこの学部も、
大したレベルの学部ではないのでしょう。
監督が「1プレー目でQBにケガをさせてこい」と指示したので、日大としては本当のことは書けないので、適当に回答書をしたためているだけなのである。
関西学院大学側の、この再回答書に対する考察と反応は、次に載せられているのでぜひご一読願う。
関学大 26日に発表した今後の対応など全文
https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/201805/0011295007.shtml
そしてその最後には、今までのような日大の対応ではらちが明かないので、捜査機関の捜査に委ねるべきである、と結んでいる。
『・・・・学校法人日本大学による第三者委員会、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会等による客観的な立場からの真相究明を強く要望いたします。真相究明にあたっては全面的に協力いたします。
・しかし、上記いずれの団体・組織とも調査機能には限界があり、最終的には捜査機関の捜査によって真相が究明されることを強く希望いたします。捜査には全面的に協力いたします。
・被害を受けた選手およびそのご家族の支援を継続していきます。
・日大の当該選手およびそのご家族に対しても可能な限り支援の可能性を模索していきます。
・・・』
また被害を受けた関学QB選手の親御さんは、到底この再回答書では収まらない筈だ。監督・コーチの指示が原因だったと言う、確たる結論がなければ納まらないのだ。当然被害届から告訴状の提出になってゆくことになる。
関学QB選手の父・日大選手への減刑嘆願書を公開「刑事責任を負うべきではない」
2018.05.26.
大学アメリカンフットボール定期戦で、日大選手に悪質な反則タックルを受けた関学大は26日、西宮市内で3度目の会見を行った。関学大アメフット部の鳥内秀晃監督と小野宏ディレクターに加え、反則を受けたQB選手の父である奥野康俊氏も出席。24日に提出された日大からの再回答書も公開した。
奥野氏は日大の対応次第では「被害届けを取り下げる準備をしていた」というが、改めてその意向がなくなったことを表明。「今後、告訴に向かうか、息子、家族、関学さんと相談して決定したい。被害届けを出しているので、(捜査が)前に進んでいると聞いている」とした。
奥野氏は指導者の内田前監督、井上コーチの処罰を求めたい意向を示したが、被害届や告訴にはいずれも反則プレーをした宮川選手を対象にする必要があると説明。苦渋の決断としながら、減刑の嘆願書を東京地方検察庁立川支部に提出する意向を示した。
嘆願書も公開した。書面には「宮川君は記者会見で謝罪をし、勇気をもって真実を話してくれました」などとする一方で、日大の対応について「宮川君に責任を押しつけ、矛盾があり疑義が残るものであったため、到底受け入れるものではなく、激しい憤りを感じております」と記された。
締めくくりには「宮川君は世間から多くの批判にさらされ、すでに社会的制裁を十分に受けていると思っていますので、さらに刑事責任を負うべきでないと考えます」とつづられ、「そこで今の私にできることは宮川君に寛大な処分を集めることだと思いました。嘆願書をできるだけ多く集めて検察官に、宮川君への寛大なる措置がなされるよう求めたいと思います」とした。
https://www.daily.co.jp/general/2018/05/26/0011295103.shtml
以後様子を見守ってゆくつもりであるが、ここで事の経過を整理しておく。
(続く)