邪馬台国とはなんぞや?(14)

208Pb/206Pbを横軸の左、207Pb/206Pbを横軸の右側に、207Pb/204Pbを縦軸の上に、206Pb/204Pbを縦軸の下にプロットする四軸のレーダーチャートで示すことにより、菱形の鉛同体比のチャートが出来上がる。

 

このレーダーチャートは、産出地ごとに異なった菱形を示すことになる。同じ形状の菱形であれば、同じ産出地の青銅から作られてもの、と判断できるのである。

 

イメージ的にこれらのチャートを次の示すと、こんな風になる。

 

これを見ると、三角縁神獣鏡は明らかに前漢鏡や漢鏡とそのチャートは異なっていることが判る。

 

 

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これを見ると、三角縁神獣鏡は明らかに前漢鏡や漢鏡とそのチャートは異なっている。

 

三角縁神獣鏡は中国鏡とは全く異なったチャートを示していることから、従って、中国で製作されたものではないことが判る。

 

しからばどこで作られたのか。当然それは倭国である。神岡鉱山でとれた鉱物だけがこの菱形の値を示すと言う。きっと神岡鉱山から産出された鉱物を使って、三角縁神獣鏡は作られたものであろう。

 

卑弥呼が鏡を下賜されたのは景初二年三年が正しい?239年か十二のことで、三世紀半ばのことである。しかも三角縁神獣鏡四世紀の古墳からしか出ていない、とも記述されているので尚更だ。

 

もう一つ鏡を吊るすために紐を通す穴の形状が、三角縁神獣鏡は殆どが長方形か方形であり、通常の鏡と異なっている、と言われている。通常の鏡は、紐口は円や半円状で鋳バリなどはないが、三角縁神獣鏡はこの点非常に異なっていることになる。

 

従ってこの三角縁神獣鏡は、紐につるすことは想定されていなかったものと、推定される。と言うのも弥生から古墳時代への変革期に、人の死後の平安を祈願して墓に埋葬されるためだけに、製作されたものではないのかとも考えられている。このことを、この論考は、次のように表現している。さもありなん。

 

この鏡は死後の不安を解消してくれる。この鏡の鋭くとがった三角縁が現世あの世の結界となり、現生の未練と俗念を断ち切りあの世へと入っていく。そこには山(鋸歯文)や川(複波文)の試練があるが、この鏡があれば軽く越えることが出来る。するとそこは待望の神仙世界で神像がやさしく迎え、獣像とともに死者の安穏を約束してくれる。三角縁神獣鏡ではこの世界観が一目でわかり、数多の鏡を押しのけて葬儀の必需品となり古墳から出土することになる。

 

だから三角縁神獣鏡倭国独特の鏡であり、これに反して卑弥呼の鏡は、九州北部を中心に出土する「内行花文鏡・方格規矩鏡」などの漢鏡である、とこの論考は結論付けている。

 

但し、小生にはよくわからないが、直径46.5cm、円周は46.5×3.14146.01cmものでかい青銅鏡は中国や朝鮮では出土していないと言われているので、日本製の鏡かも知れない。稲作にせよ、鉄器や青銅器にせよ、倭国では相当高度な技術や知識を弥生時代初めから有していたようなので、この内行花文鏡の鉛分析も知りたいものだ。

(続く)