Ghosn,Gone with the Money(3)

当然日産自動車の社員たちは、動揺したことでしょう。それとも予期していたことだったのかな。

 

カリスマ逮捕、日産社員動揺 「いったい何が…」

2018/11/19 22:10
日本経済新聞 電子版

 「ただ驚いている」。日産自動車をV字回復させたカリスマ経営者、カルロス・ゴーン会長が19日夜、東京地検特捜部に逮捕され、同社社員らに動揺が広がった。逮捕容疑は役員報酬50億円分を過少申告した疑い。「何が起きているのか分からない」。本社から退社する社員は表情をこわばらせ、多くはうつむいたまま報道陣の前を足早に通り過ぎた。

東京地検前に詰めかけた報道陣(19日夜、東京・霞が関)=小幡真帆撮影

 「あまりにも不意のことで分からない」。午後7時の退社間際にインターネットニュースで知った男性社員(38)は本社前で足を止めずに首を振った。無資格検査、排ガスのデータ改ざん……不祥事が相次ぐ中、男性社員は「会長逮捕」の一報に「タイミング的にまずい」と不安を漏らし、立ち去った。

  別の男性社員(34)は「トップが逮捕だなんてありえない」とばっさり。ゴーン会長は、巨額の有利子負債を抱えていた日産を立て直した世界的な経営者だけに、職場では逮捕のニュースを知り「えっ」と大きな声を上げる人もいたという。「それでも社員は通常通り仕事をしていた。彼(ゴーン会長)はお金がほしかったんでしょう」とあきれた

 2年前に中途入社したという男性社員(34)は「この際しっかりうみを出し切ってほしい」と吐露。「職場はざわついている。会社からは何の説明もない」といら立った。

 50代の男性社員は「報道で知っただけの段階で今は何も言えない。ただ驚いている」と困惑気味。「社員としては申し訳ない気持ちだ。とにかく真実が明らかになるのを待ちたい」と言い残して本社を後にした。

 通用口から出てきた女性も「何も知らないです」とだけ話すなど、報道陣の問い掛けに無言で手を振る姿も見られた。

 ゴーン会長の自宅があるとされる東京都港区の高層マンション前にも報道陣が集まり、物々しい雰囲気に包まれた。

 特捜部がゴーン会長らを逮捕したのは、有価証券報告書に自らの役員報酬を過少に記載した金融商品取引法違反の疑い。ゴーン会長を数回見かけたという同じマンションに住む主婦(76)は「役員として多額の報酬を得ているはずなのに、なぜ不正してまで多くの金がほしかったのか。消費者への裏切りだ」と憤った。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37957490Z11C18A1CC1000/?n_cid=SPTMG053

 

 

それと言うのも、日産は、2018.7.9排ガス測定値の改ざんが行われていたと、公表しているからだ。

 

これは初めてのことでは無い。2017.9.には、出荷前の完成検査を無資格者に任せていた問題が発覚している。併せればこれで4回目となる車両検査がらみの不正である。4回も同じ不正が日産の現場では行われていたことになる。再発防止が機能していないと言う事は、ゴーン改革のシワ寄せが現場に押し寄せていた、と言う事ではないのかな。

 

これらは、明らかにゴーン改革の悪弊の一端であろう。だから日産の内部にいる社員たちには、それとなく、ゴーンによる構造改革の悪影響を肌で感じていたものと思われる。

 

2002年にV字回復した頃はそれほどでもなかったが、今は15~16年も経過している。そのころの未解決事案と言うよりも改革の負の遺産がどっぷりと、と言ったら語弊があるかもしれないが、日産社内に貯まりあちこちに波打っていたのではないのかな。イヤーな空気が淀んでいたと言う事。

 

カルロス・ゴーン復旧(再生)には力を発揮したが、復興(成長と革新)には力がなかったと言う事ではないのかな。どこかのテレビでもそんなことを言っていた。まあ考えてみれば、日産程のもともと力のある優秀な会社であるから、復旧にはそれほどの才覚は必要とはしない。情実を断ち切ることが出来れば、言ってしまえばゴーンでなくとも誰でもできることである。会社を潰さない程度にリストラをすればよいだけだから。日産のV字回復は、それほど、吃驚することでもなかろう。箸にも棒にもかからない貧弱な会社を再生させたと言うのであれば、それはそれで、称賛される吃驚事項であろうが、それなりに力量のある会社である日産の再生となれば、ハイライトを浴びることではあるが、それなりの努力ではあると評価はできるが、まあ言ってみれば緻密に検証してみれば当たり前のことではないのかな。

 

日産の4回もの排ガス検査がらみの不正が頻発していると言う事は、日産を単に再生させたと言うに過ぎない、まあ誰にでもできたであろうことをゴーンもヤッタと言う事ではないのかな。会社として本当に再生させたと言う訳にはいかなかったようだ。と、小生には思われてならないのである。

 

ただ強引に赤字を減らし借金を返済した、と言う事だけではなかったのかな。今の日産はゴーン改革によるものではなくて、もともとの日産の力量がなせる業での再生であろう、個々の社員たちがとても頑張ったからではないかと思っても間違いはないのであろう。ゴーンが音頭を取ってやったとは、とてもいえない。日産の社員たちが、全員頑張ったと言う事、それに尽きる。

(続く)