第四回目
さて、次が第四回目の検査不正である。
問題は「底なし」だと、次のニュースは報じている。ゴーン改革により、生産に直接関係のない検査工程では、人員が補充されず、更には設備も更新されず状態で、行わざるを得なかった、というような書きっぷりである。日産も、四回目の検査不正を起こして、初めてゴーン改革の悪弊に言及している。
日産、「ゴーン事件」最中にまた不正=問題、底なしの様相
2018年12月06日18時38分
カルロス・ゴーン容疑者の逮捕で揺れる日産自動車で、新たな品質検査関連の不正が明らかになった。日産は今年9月、昨年秋以降に発覚した一連の品質不正の終結を宣言したばかりだったが、問題は「底なし」の様相を呈してきた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018112000988&g=eco
「コストカッター」と呼ばれたゴーン容疑者が1999年に日産の実権を握って以降、同社の生産現場では、採算性を過度に重視する傾向が強まった。データ改ざんなどの不正が起きたのは、品質検査を担う人員や設備が不十分で、現場に作業をやり直す余裕がなかったことが一因とされる。
日産の不正に関する第三者委員会が今年9月に公表した報告書は「2000年代以降に排ガス測定値の書き換えが常態化した」と指摘。不正の背景について、コスト抑制に力点を置くあまり、「工場の維持・発展に不可欠な要素が失われた」と利益偏重に傾く企業体質を批判した。
日産は9月、不正の再発防止に向け、検査担当者の増員などに取り組む方針を表明したばかりだが、問題を食い止められなかった格好。多額の利益を稼ぎ出し、首脳陣に億円単位の高額報酬を支払う一方、現場は疲弊し、士気が低下している恐れがある。西川広人社長ら現経営陣の責任も問われそうだ。
ゴーン容疑者が金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたことを受け、企業統治改革の断行も迫られている。同容疑者が長年トップに君臨し、絶大な権限が集中していた体制からの脱却が急務だ。
今月4日には社外取締役3人が起業統治改革の協議を始め、近く報酬制度などの在り方を検討する委員会を立ち上げる。不祥事の連鎖にもがく日産は、品質問題の克服と企業統治改革という難題の両立を突き付けられている。(2018/12/06-18:38)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120600741&g=eco
企業統治改革を起業統治改革と誤植しているのは愛嬌であるが、時事通信社も原稿の読み直しはしないのであろうか、と言われても仕方がないのであろう。
結局日産は、リコールを届けることになった。まあリコールを届けなくてもよかろう、とは思ってはいない筈であるが、どうなっちゃっているのか、日産、と言いたい気分ではないのかな。
再発防止対策を施した筈なのでもう再発はないと思っていた所で、再発しているとはどういうことか。
結局、本気で再発防止対策を行っていなかった、と言う事ではないのかな。
こんなことであるから、ゴーンに大金を持っていかれるのであろう。
検査不正で4度目リコール=日産、14万台超を届け出-ブレーキやステアリング
2018年12月13日14時54分
日産自動車は13日、出荷前のブレーキ検査などで不正が行われていたとして、乗用車「ノート」など11車種計14万8780台(2017年11月~18年10月製造)を新たにリコール(回収・無償修理)すると国土交通省に届け出た。
日産が出荷前の検査不正でリコールを実施するのは17年秋の発覚以降4度目で、対象車の総数は129万台余りになった。検査不正に伴う費用などとして17年度分は約900億円を計上しており、今回のリコールで影響はさらに拡大する。
日産によると、駐車ブレーキの制動力検査で、操作すべきではないブレーキペダルを使用したり、ステアリングの検査で測定値を社内基準に収めるために、不適切な手法が取られたりしたケースがあった。不正は追浜工場(神奈川県横須賀市)とオートワークス京都(京都府宇治市)の工場で行われていたという。
7日に開いた会見で、日産幹部は現場の検査員に不適切という認識はなく、頻度も少なかったと主張。追浜工場では40年前の古い設備が使われ、投資が不足していたとの考えも示した。
リコールの対象車はノートのほか、乗用車「リーフ」「ジューク」「シルフィ」「キューブ」「マーチ」、小型トラックの「アトラス」、マイクロバスの「シビリアン」、いすゞ自動車から受託生産した「エルフ」「ジャーニー」、三菱ふそうトラック・バスから受託生産した「ふそうキャンター」。
自動車の出荷前の検査不正は、SUBARU(スバル)やスズキなどでも発覚している。(2018/12/13-14:54)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121300466&g=eco
「現場の検査員に不適切という認識はなく」と幹部が言っているが、これこそ大問題ではないのか。
即ち完成検査に対する認識が全く間違っていた、という証拠となろう。法定の完成検査を完成検査と思ってなかったのである。
現場も現場なら、日産自体のマネジメントもマネジメントである。これでは全く管理の体を成していないのではないのかな。
だからISO9001の認証取り消しは、国内向け車両だけに限らずに日産全体に対しての認証取り消しとすべきだったのではないのかな。管理その物が行き届いていない訳であるから。
ゴーンがそれほど(会社経営に関して)立派だと言うのであれば、この体たらくな日産のマネジメントにはすぐ気付いて改革の俎上に乗せた筈だ。このように4回も検査不備が続いていたと言う事は、言われるほどゴーンが秀でている(日産を立派に再生させた)とは言えないのではないのかな。
以上が日産の4回に渡る車両の完成検査不正のあらましであるが、整理のために一覧表にしてみよう。
(1) 2017.9.18
日産車体湘南工場へ国交省が立ち入り、無資格検査員の検査実施を指摘。調査の結果、追浜、栃木、九州の日産3事業所と日産車体、同九州の関連2工場でも無資格検査が見つかっている。
2014年9月以降(2017.9月までに)新規登録を行った車両が該当するとして、再検査実施。
(2) 2018.7.9
日産の国内5工場で、新車の排ガス検査の試験で測定値の改ざんと試験環境が法規からの逸脱があった、と発表。栃木、追浜、日産車体湘南、同九州、オートワークス京都の5工場で、不正を確認する。対象は1171台。
(3) 2018.9.26
車の構造や性能を調べる「精密車両測定検査」で、測定値の改ざんや検査未実施が新たに見つかったと発表する。1205台。ここにきて漸くゴーン改革の悪弊に言及する論調が現れる。
(4) 2018.12.13
駐車ブレーキの制動力検査やステアリング検査で測定方法に不適切な手法を使っていたことが判明した。追浜工場とオートワークス京都の約14万9千台が該当する。旧式測定機による不良検査であり、人手と設備への投資不足が原因と言う。
この4回に渡る完成検査にまつわる不正は、ゴーン改革のコストカットの結果による人員不足と老朽化検査測定機器の更新遅れによるものが主なものであった。
しかもゴーン改革は、マネジメントレベルの向上には一切寄与していなかったことが、図らずも暴露されてしまったのである。
ゴーンが来てから日産の業績が向上したことは、紛れもない事実である。しかしその結果、会社としてのマネジメントレベルは、反対に停滞していったのではないのかな。
そうでもなければ、4回も同じような不具合は連続しなかったのではないのか。
尤もゴーンにとっては、日産と言う会社の管理レベルが向上しては困ることになるかもしれないと、危惧していたのでないのかな。都合よくお金を引き出せなくなるかもしれないから。
業績が向上するの従って、ゴーンは、日産を自分の財布だと思うようになってしまったのであろう。
日産を自分の便利な財布にしておくためには、会社としての管理レベルがそうそう向上しては困るのである。ほどほどにしておくことが重要であったのであろう。
そのためにも社内に、自身のテコを作ることから始めた様である。自分に意見をする者、反対意見を述べる者などは、次々と左遷されていった。いわゆる報復人事と言う奴である。このようにしてゴーンは、日産を自分の手の内に入れていったのであろう。
日本にいる期間よりも海外特にフランスにいる期間の方が長かったのではないのかと思われるので、ルノーでも同じように悪さはしなかったのかと疑問が出るが、ルノーでは金をくすねるようなことはしなかった筈だ。と言うのも、なんとなくカルロス・ゴーンの高慢な態度を鑑みると、日本人や東洋人に対する人種的偏見があるのではないかと、小生は勘ぐってしまうのである。東洋の倭人・JAPに恵みを垂れに来た、という蔑みの感覚が無きにしも非ずだ。だからJAPから金をくすねても、問題はないと考えていた筈だ。だから今でも(囚われの身になっても)悪さはしていない、と息巻いている。
(続く)