Ghosn,Gone with the Money(19)

ブラジルにはゴーンの姉が住んでいる。そしてゴーンはこの姉とコンサルタント契約を結んで、毎年数千万円のコンサルタント料を支払っているが、この契約は空の契約で実体はなかったようだ。

 

こんなことから、日産はこの姉もリオの裁判所に提訴すると言う。日産から不正に金品を受け取っていた、ということが提訴の理由なのであろう。これもゴーンの、日産からの経費の不正支出に当たるものである。

 

もちろんこのリオの高級マンション購入も、経費の不正支出によるものである。

 

 

ゴーン元会長の姉を提訴へ 日産、リオの裁判所に

2018/12/14 16:52
日本経済新聞 電子版

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、日産は14日、ゴーン元会長の姉をブラジル・リオデジャネイロの裁判所に提訴する準備を進めていることを明らかにした。日産は姉とコンサルタント契約を結び、少なくとも数千万円の報酬を払っていたが、社内調査で業務実績を確認できなかったという。

 同社は経費の不正支出にあたる疑いがあるとみて、すでに裁判所に関係書類を提出した。報酬の一部は民事上の時効が成立している可能性があり、請求額は未定という。

 関係者によると、姉が居住するリオの高級マンションは、日産がベンチャー投資名目で2010年ごろオランダに設立した子会社の資金を流用し、元会長の自宅用に購入したとされる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38948400U8A211C1CC1000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

さて今一度、ゴーンとケリーの逮捕のいきさつや経過を再確認する必要があれば、次のURLを参照されるとよい。

 

 

保釈の可能性から一転、“拘束”継続へ ゴーン容疑者を特別背任の疑いで再逮捕

 めざましテレビ 

カテゴリ:国内 20181221日 金曜 午前11:59


https://www.fnn.jp/posts/00403570HDK

 

 

 

さてその「特別背任」とは、どんなものであったのであろうか。

 

 

一般的に「背任」とは刑法247によれば、他人にために仕事をしている者が、自分や第三者の利益のために、その仕事に違反して、財産上の損害を生じさせることを言うのであるが、「特別背任」とは、他人にために仕事をしている者が、会社などの役員やそれに該当する者に限定されたもので、いわゆる一定の責任ある地位にある者の背任行為を、特に重く罰するためのものであり、更には刑法の背任罪の特別規定であるために、「特別背任」となっているものである。

これが、会社法960条・特別背任罪である。

 

 

日産の会長であったゴーンの場合は、既に巷には言い古されてはいるが、2008年の私的な金融取引で、185千万円の評価損を被ってしまったものを、日産に付け替え支払い義務の損害を与えてしまった、と言う事なのです。

 

 

その金融取引の銀行は新生銀行で、そのため、新生銀行から約185千万円の評価損に対する担保を要求された時に、ゴーンはそれにこたえることが出来なかった。そのために、その損失を日産に付け替えることを提案した。新生銀行は当然そんなことは不正な事なのでできる筈がないと思い、取締役会の承認を要求したのである。

 

ゴーンは「取締役会の合意があればよいのですね」と了解して、訳の分からないような議題で取締役に提案して、了解を取ったことにしたのである。

 

それで日産と新生銀行を煙に巻いて、2008.10にゴーン個人の185千万円の負債を日産に移し替えたのである。

 

この時点では日産には金銭の支払いは発生していない、但し支払い義務が日産には降りかかったのである。これだけで(日産から金銭の支払いがない状態でも)、既にゴーンの特別背任罪が成立するのである。

 

しかも2009年初めに証券取引等監視委員会新生銀行に定期立ち入り調査に入った時に、この損失の付け替えが見つかってしまい、問題視されたのである。

 

これを受けてゴーンは、この契約を再度自身の資産管理会社に戻したのである。するとまた厄介な担保問題が降りかかってくるのである。

 

このためゴーンはサウジアラビアの実業家の知人ハリド・ジュファリ氏に、30億円ほどの担保の保証を依頼したのである。そしてその謝礼に2009.6月から2012.3の間に渡って4回、日産の子会社の預金口座から1,470万ドル(現在レートで約163400万円相当)を振り込ませたのである。

 

この時点で、日産に損失を負わせた特別背任罪が成立することになる、と言う事ではないのかな。

 

この金融取引は、次のようなもののようだ。間違いがあればご指摘願う。

 

(0) ゴーンの新生銀行への資産は、ドル建てとしよう。そのドルを円に換えてドルをまた買うのであ  

  る(Swap)、と考えてみよう。

 

(1) ゴーンは、新生銀行と「ドル」を例えば100=1ドルで相当額を購入する契約を結んでいた。

  仮に円が110円と安くなれば、ゴーンは100/ドルで済むことになるので、ゴーンの同じ額の

  ドルはよりたくさんの円と交換できるので、110円より安い100円で沢山のドルとなる取引である。

 

(2) ところがリーマンショックで、円が高騰して80が仮に「1ドル」となってしまった。

 

(3) しかし100円で1ドルを買う事を契約していたので、ゴーンのドルは80円にしかならないので

 

(4) 為替レートより沢山のドルを提供して円に換えて相当額のドルを購入しなければならなくなった

  のである。


(5)
こんな取引を大量に契約していたので、更に大量のドル・円が必要となってしまったのである。

  その額、185千万円相当となったと言う事ではないのかな。


(6)
この負債を、2008.10に日産に移し替えたのである。


(7)
こんな大量な額のドル(や円)を融通することが出来なかったので、サウジの実業家に助けを

  求めたのである。しかも30億円と言うタダで頼めるような額ではなかった。


(8)
その謝礼が1470万ドル(現在レートで163400万円相当)となったのである。

  この金額は2009.6~2012.3にかけて、日産(の子会社)から支払われていた。


(9)
この取引をSwap(交換)取り引きと言っているようだ。通貨を交換しながら売買するからなのか。

 

と、大体こんな状況ではなかったのかな。

 

そしてゴーンに逃げられないように、この特別背任容疑で、東京地検はゴーンを再逮捕したのである。

 

 

ゴーン前会長を再逮捕=特別背任容疑、日産に損失転嫁か-「私物化」解明へ・地検

201812212307

東京地検特捜部による再逮捕を受け、カルロス・ゴーン容疑者の自宅前に集まる報道陣=21日午後、東京都港区

 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が自己の資産管理会社の損失を日産に付け替えるなどしたとして、東京地検特捜部は21日、会社法違反(特別背任)容疑で、ゴーン容疑者を再逮捕した。同容疑者の逮捕は3度目。関係者によると、「日産に損害を与えていない」などと容疑を否認しているという。

側近は保釈判断へ=ゴーン前会長事件-東京地裁

 ゴーン容疑者をめぐる事件は、巨額の役員報酬隠しから、日産の「私物化」疑惑の解明に移る。
 逮捕容疑は、日産の代表取締役最高経営責任者(CEO)として忠実に職務を行う任務を負っていたのに、自己の資産管理会社が銀行と締結したスワップ契約で多額の評価損が生じると、自己の利益を図る目的で、2008年10月、契約を日産に移転。評価損約18億5000万円などを負担する義務日産に負わせた疑い。





 また、契約を日産から資産管理会社に戻す際、尽力したサウジアラビアの知人実業家が経営する会社口座に、09年6月~12年3月の4回日産子会社の預金口座から計1470万ドル(現在の相場で約16億3400万円相当)を振り込ませた疑い。

 会社法特別背任罪公訴時効は7年だが、仏自動車大手ルノーの会長兼CEOでもあるゴーン容疑者は海外生活が長く、時効は成立していないとみられる。

 関係者によると、損失はリーマン・ショックによるもので、当時、契約移転を把握した証券取引等監視委員会が銀行側に、契約移転は違法の恐れがあり、銀行も加担した状態になるなどと指摘した。ゴーン容疑者は周囲に「指摘を受け、移転をやめた」などと話し、日産への損失転嫁を否定していた。

 特捜部は先月19日に10~14年度の役員報酬有価証券報告書に虚偽記載したとして、ゴーン容疑者らを金融商品取引法違反容疑で逮捕。今月10日、17年度までの直近3年分の報酬も隠した容疑で再逮捕した。特捜部は20日までだった勾留期限の延長を東京地裁に請求したが、地裁が認めず、近く保釈される可能性が出ていた。(2018/12/21-23:07

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122105122&g=soc

(続く)