Ghosn,Gone with the Money(20)

もう一度言うが、このように、保釈されてしまう可能性が出てきてしまったために、東京地検特捜部もそれなりに慌てた事と思われるが、年明けてからこの背任容疑での逮捕を想定していたモノを、早出しせざるを得なかったものと思われる。

 

但し、それなりに想定はされていたことでもあったのであろうが、地検側にも強がりも見られる。当分はゴーン側と地検との抗争は続く。

 

 

 

「前倒ししただけ」「非常手段」=ゴーン容疑者再逮捕で検察OB

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 一時は保釈間近とみられていた日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が一転、特別背任容疑で再逮捕されたことに、検察OBからは「捜査を前倒ししただけ」「非常手段だ」などとさまざまな見方が出ている。



【特集】日産ゴーン容疑者逮捕

 元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士は「年末年始は休んで年明けにやるつもりだったが、保釈されて日本からいなくなると捜査が難しくなるので着手したのだろう。司法取引で証拠は十分集まっている。別動隊がそれなりの捜査は進めていて、時間が早まったということだ」と説明する。

 これに対し、特捜部に在籍経験がある高井康行弁護士は「勾留延長が却下されて前倒しせざるを得なくなったが、2回目の時に特別背任で逮捕することもできたのではないか」と苦言を呈す。

 「特別背任は捜査に時間がかかるので、他に嫌疑があればそれを済ませてから取り掛かるのが常道だ。しかし、今回は司法取引をしているのだから、本来なら虚偽記載も特別背任も内偵段階で詰めた上でまとめて逮捕、起訴できれば一番よかった」と話した。

 元検事の郷原信郎弁護士は「経過を見る限り、特別背任が立証できる状況だったとは思えない。やれるならもうやっていたはずだ」と指摘。「ゴーン容疑者が保釈されたら、いろいろと捜査を批判される。非常手段的にもともと無理と思っていた事件に手を付けたのではないか。海外には身柄拘束を長引かせていると映るだろう」と話した。(2018/12/21-19:15

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122106978&g=soc

 

 

当然ルノーのフランスでは、このニュースは批判的に伝えられている。

 

 

「保釈の希望消え去る」=ゴーン容疑者に同情的-仏メディア

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 【パリ時事】日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者の再逮捕を受け、同容疑者が会長兼最高経営責任者(CEO)を務める自動車大手ルノーが本社を置くフランスのメディアは21日、「保釈の希望は消え去った」(経済紙レゼコー)と同情的に伝えた。20日に東京地検の勾留延長請求が却下された際には、フランスでは「(ゴーン容疑者側の)大逆転」だと報じられていた。


日本の刑事手続きに批判集中=ゴーン容疑者再逮捕で-仏メディア

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121000635&g=soc


 ゴーン容疑者の逮捕をめぐっては、仏メディアは勾留期間の長さや取り調べに弁護士が同席できない点などを厳しく指摘。保釈の可能性が出てきた直後の再逮捕について、日本の刑事手続きに対する批判がさらに強まる恐れがある。(2018/12/21-18:45

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122106806&g=soc

 

 

 

但しフランスのマスコミも、もう少しゴーンの行動にも取材の網をかけてほしいものである。この特別背任容疑となった損失の付け替え事件も、調査すればそれなりにゴーンの不正の事実も掴めることも出来た筈だ。

 

何と言ってもゴーンは新生銀行と、損失の付け替えに関してそれなりのやり取りはしていた筈なのであるから。それに、日産の関係者にも取材は出来た筈だ。

 

 

 

ゴーン容疑者「決議あればいいんだね」 損失付け替え、銀行難色を押し切る

   2018.12.23 07:00社会事件・疑惑

    カルロス・ゴーン容疑者と新生銀行の主なやりとり ゴーンやり取りafr1812230001-p1

 日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えたとされる特別背任事件で、損失が生じた通貨デリバティブ金融派生商品)の取引先だった新生銀行(東京)側とゴーン容疑者の間でなされた交渉の詳細が22日、関係者への取材で判明した。ゴーン容疑者は付け替えを自ら提案。銀行側が強く難色を示しても「取締役会決議があればいいんだね」と意に介さず、付け替えの実行を求めたという。



 ●巨額の評価損

 ゴーン容疑者は日産のCEO(最高経営責任者)だった平成20年10月、自身の資産管理会社と新生銀行との間で契約したデリバティブ取引で生じた約18億5千万円の評価損、資産管理会社から日産に付け替えたなどとして再逮捕された。

 関係者によると、ゴーン容疑者が契約したのは、通常より有利なレートで外貨と交換できる「為替スワップ取引」。ゴーン容疑者は日産からの報酬を円建てで受け取っていたが、生活の大半は海外のため、安くドルが買えるこの契約に大きな関心を寄せ、20年夏頃、自身の資産管理会社名義で契約したという。

 だが、同年秋に発生したリーマン・ショックの影響で急激な円高となり、取引で約18億5千万円という巨額の評価損を抱えることとなった。銀行側は同年10月、現金による追加担保を求めたが、ここでゴーン容疑者が持ち出したのが日産への契約付け替えだった。

 

 

 ●予期せぬ提案

 東京・東銀座にあった旧日産自動車本社で、新生銀行の担当者ら3人と向き合ったゴーン容疑者はこう語りかけた。

 「それじゃあ、この契約の当事者を日産との契約に変えたらどうか」

 評価損を含む全ての権利を会社に付け替えるという予期せぬ提案に、担当者は耳を疑ったという。

 担当者はすぐに「取引先が日産であれば追加担保は求めませんが、取締役会の決議が必要ですよ。でも常識的に考えて決議されませんよ」と強く難色を示した。

 ゴーン容疑者は「君、何を言っているんだ」と意に介さず、「なるほど、取締役会の決議があればいいんだね。分かった。法務部長、秘書室長をよこすから打ち合わせをしてくれ」と手続きを進めるよう促したという。

 その後、新生銀行の担当者は日産の法務部長と秘書室長と面会。「本当にいいんですか」と担当者が確認したところ、法務部長らは「取締役会で決議したので日産の契約に付け替えてください」「法的手続きは踏みました」と応じたという。同月、契約の当事者がゴーン容疑者の資産管理会社から日産へ変更された。

 ●監視委が問題視

 翌年の(平成)21年(2009)1月証券取引等監視委員会の検査官新生銀行を訪れた。監視委が問題視したのは、日産幹部が「問題ない」と語っていた取締役会での決議内容だった。

 取締役会の議事録に書かれていたのは「新たな為替取引の担当者選任について」という趣旨の案件名と、「全員承認した」との簡素な決議内容。取引内容の説明や他の取締役からの意見などは一切記載されていなかったという。



 監視委は取締役会での決議は事実上、偽装された疑いがあると判断。契約変更は会社法違反に当たる恐れがあると指摘した。結果として、契約は日産からゴーン容疑者の資産管理会社へ戻されることになった。

 取引の経緯を知る関係者は「議事録は、取締役会で実際に諮られたとしても、他の取締役たちは何の決議をしたか分かっていないだろうなと思われる内容。日産という会社はゴーンさんに逆らえないんだなと思った」と話した。

https://www.sankei.com/affairs/news/181223/afr1812230003-n3.html

 

 

 

実際には、この日産取締役会の議事録は、ゴーンとその配下の法務部長と秘書室長によって、捏造されたものであった。形式的には取締役会は開かれていた訳であるが、まともに「損失の付け替え」などと議題に挙げれば、私的なものであるから承認される筈がないものである。


(続く)