目が離せないと言えば日産が、2019年3月期の連結純利益が、大幅減となりそうだと発表している。これも日産にとっては、大きなニュースだ。
従来予想も33%減としていたものが、45%減と大幅な下方修正となっている。
これもいわばゴーンの蒔いたツケの結果のようだ。
日産自の今期、純利益45%減に下振れ ゴーン氏の報酬を一括計上
- 2019/2/12 16:58
- 日本経済新聞 電子版
日産自動車は12日、2019年3月期(今期)の連結純利益が前期比45%減の4100億円になりそうだと発表した。33%減の5000億円としていた従来予想から減益幅が拡大する。自動車の販売台数が想定を下回ったほか、これまで計上されていなかったカルロス・ゴーン取締役の役員報酬を一括計上した。
売上高は3%減の11兆6000億円(従来予想は12兆円)、営業利益は22%減の4500億円(同5400億円)に下方修正した。世界販売台数は17万台減の560万台と計画の592万5000台から下振れる見通し。中国や北米などの地域で販売が伸び悩む。また、過年度に計上していなかった役員報酬を追加で92億円計上した。
想定為替レートは1ドル=105円から110円60銭と円安方向に改めた。採算改善につながるが、販売減などの影響を補えない。
あわせて発表した18年4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期比1%増の8兆5784億円、純利益が45%減の3166億円だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12HLM_S9A210C1000000/?n_cid=NMAIL006
それと同時に、2018年のルノーも減収減益となっている。このため取りあえず、ルノーと日産のけんかは収めざるを得ないのかな。まあこんなにマクロンがしゃしゃり出ていれば、ルノーもまともに事業は出来ないと言う事か。
ルノー、前期は5期ぶり減益 新興国と日産の不振響く
- 2019/2/14 16:33
- 日本経済新聞 電子版
【パリ=白石透冴】フランス自動車大手ルノーが14日発表した2018年1~12月期決算は、純利益が前の期比37%減の33億2百万ユーロ(約4130億円)だった。売上高は2%減の574億1900万ユーロ。新興国販売が振るわず、43%を出資する日産自動車の収益も低迷し日産から受け取る利益が目減りしたことも響いた。減益は5期ぶり、減収は6期ぶりとなった。
ルノーは新興国事業が低迷し、日産からの持ち分法投資利益も減った=ロイター
中国を含めた複数の新興国で収益が伸び悩び、日産同様に前会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン被告が続けた拡大路線が曲がり角に来ている。売上高営業利益率は0.3ポイント悪化して6.3%だった。
通期の販売台数は17年比3.2%増の388万台と過去最高を記録した。ただ中国・華晨汽車集団と新しく設立した合弁会社が作る小型商用車「金杯」ブランドなどが寄与した約16万5000台を除くと、1.2%の減少だ。中国合弁へのルノーの出資比率は49%にとどまるため売上高としては計上されず、減収となった。
地域別では、主力の欧州市場が1%増の192万台と堅調だったが、中国での不振が目立つ。中国の合弁設立の効果を除くと、中国を含む「アジア太平洋」の販売台数は16%減って16万4000台。中国では東風汽車集団と組み多目的スポーツ車(SUV)などに力を入れているが、米国との貿易戦争に伴う景気減速や、価格競争のあおりを受けた。
政治・経済環境の逆風も大きかった。「アフリカ・中東・インド」の販売は16%減って44万9000台。米国の経済制裁再開に伴うイラン市場からの撤退が響いた。トルコでの景気減速に対応した車種を投入できず、仏誌トリビューンによると同国で35%減となった。
日産の収益も低下し、ルノーが日産から受け取る「持ち分法投資利益」が減った。この利益を中心とした「関連会社から受け取る利益」の項目は45%減の15億4千万ユーロだった。
ルノーは19年の新車市場の見通しについて、英国が欧州連合(EU)と合意なく離脱する事態が起きないことを前提に、「世界も欧州も18年に比べて横ばいになる」と予想した。売上高営業利益率は6%台を目標とした。
ルノーではゴーン被告が1月に会長兼CEOを辞任。ナンバー2だったティエリー・ボロレ氏がCEO、ミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏が会長に就いている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41268000U9A210C1000000/?n_cid=NMAIL006
ルノーも日産も自身の業績が悪化しているさなかでの、トップ会談となった訳だ。
「日産の会長職取り」や「持ち株会社構想」の議論もさることながら、そんなことにうつつを抜かしている時ではなかろう。と言う事で、トップ会談は穏やかな雰囲気の中で進んだようだ。
ルノーも減益となって初めて(かどうかは知らないが)、己の置かれた立場と日産の大きさに気が付いたようだ。
ルノー、日産と対話路線にかじ スナール会長融和演出
業績低迷の両社 信頼再構築急ぐ
- 2019/2/15 11:30
- 日本経済新聞 電子版
【パリ=白石透冴】訪日中のフランス自動車ルノー、ジャンドミニク・スナール会長は15日も、日産自動車首脳らと面会する。ルノーが14日発表した2018年度決算は6期ぶりの減収減益となり、日仏連合の維持・テコ入れが必須になっている。そのため日産会長人事など反発を生みかねない話題は深入りせず、日産との柔軟な対話路線にカジを切っている。
スナール氏は14日には日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)、三菱自の益子修会長兼CEOなどと会った。15日にも2社幹部との面会を続け、まずは3社連合の安定を呼びかける。
「3社連合は最も大切な財産だ」。ティエリー・ボロレCEOも14日、パリ郊外での記者会見で語った。「日本人は我々よりもずっと速く量産し、規模を広げられる」と日本側を持ち上げてみせた一方、懸案となっている日産会長人事については「まだ分からない」とかわした。
前会長兼CEOのカルロス・ゴーン被告が18年11月に逮捕されてから、ルノーは日産に攻撃的な姿勢をみせる場面があった。逮捕直後にはゴー
ン前CEOの不正疑惑に関する書類が日産から送られないことに「互いを信用し、尊敬する原則がある」といらだった。仏メディアによると、19年1月には弁護士を通じ、日産の社内調査の手法を厳しく批判した。また、日産に対し、臨時株主総会の開催を繰り返し要請した。
記者会見する仏ルノーのボロレCEO(14日、パリ郊外)
しかし、ゴーン前CEOを巡る疑惑が次々と明らかになり、仏世論もゴーン氏への批判を強めた。アムステルダムにある企業から不透明な資金がゴーン前CEO周辺に流れたと指摘されるほか、親族への不自然な送金疑惑も明るみに出た。
ルノーの体制がボロレCEOとスナール会長に変わった1月下旬のタイミングから、対話や関係改善を模索する態度に一転した。日産をけん制してきたルノー筆頭株主、仏政府のルメール経済・財務相も発言を控えている。3社連合が崩れてルノーの雇用に不安が出るようなことがあれば、政府への批判につながりかねないからだ。
ルノーはもはや日産と離れられない関係だ。43%を出資する日産から受け取る「持ち分法投資利益」などはルノーの純利益を支えてきた。例えば17年度は純利益の半分以上に相当する約28億ユーロを日産から得た。
逆に18年度は日産の減益が響き、受け取った額は15億ユーロに落ち込んだ。日産と良好な関係を結び、日産の業績を上向かせることがルノーの利益に直結する。
ルノーの時価総額は日産の約半分の170億ユーロ(約2兆1千億円)で、販売台数も7割の388万台だ。資本の上では株式43%を持つ日産を支配するが、企業規模は日産が上回る。研究開発費でも2倍以上の予算を持つ日産への期待は大きい。
3社連合は22年までに、17年は57億ユーロだった「シナジー効果」を100億ユーロに高める計画だ。共通のプラットフォームでの車両生産や、部品の共通化などをさらに進め、徹底した低コストの生産体制を早期に築き、次世代車開発への対応も進めたい考えだ。
ルノーの18年1~12月期純利益は中国での不振などが響いて前の期比37%減の33億200万ユーロ(約4130億円)となった。世界全体の自動車市場の拡大に陰りがみえる今、3社連合を活用して生き残る戦略がこれまでになく必要になっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41305150V10C19A2000000/?n_cid=NMAIL006
いくらぼんくらなルノーの経営陣でも、次世代車の開発では日産にはかなわない(かも知れない)と気が付いたようだ。
(続く)