Ghosn,Gone with the Money(57)

次世代車開発で置いてかれてしまっては、いくら株式を沢山保有しているからと言っても、生きてゆくことはできない。そのためにも後戻りできない」関係に、ルノーは日産を落とし込めたいのだ。

 

 2017年度     日産      ルノー

研究開発費は  5000億円   2200億円

税引き前利益   5700億円   4800億円

 

と日産はルノーの比ではない。研究開発費は、約2.3倍なのだ。これではルノーに勝ち目はない。

 

 

 2018年度   日産     ルノー

販 売 台 数  560万台   388万台

純 利 益  4100億円   4130億円

          ▲45%    ▲37%

 

 

しかし2018年度は、台数の割には純利益が激減しているのは、アメリカでの販売奨励金の増加が影響している。台数は維持したが利益は激減した、と言う事だ。

 

日産の米国における販売奨励金は、直近で約4102ドルでホンダの2倍、トヨタの7割増しとなっており、しかも開発費抑制のあおりを受けて魅力ある車の投入もないにも拘らず、台数稼ぎの悪循環に陥ってしまったのである。これでは利益が出る余地はない。

 

 

 

日産、米国復活握る ゴーン流値引き販売の見直し
証券部 岡田達也

2019/2/12 5:30
日本経済新聞 電子版

 日産自動車12日、2018年4~12月期の連結決算を発表する。カルロス・ゴーン元会長の有価証券報告書の虚偽記載事件が発覚してから初の決算となる。事件に関連して日産はゴーン元会長への役員報酬91億円を費用計上する。ただ事業面では米国販売の苦戦が続く。10年代を通じて採算よりも販売台数に重点を置き、魅力的な新車も少なかった影響だ。ゴーン元会長が主導した戦略で、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)らが18年から見直しを進めている。新生日産の経営が軌道に乗るかどうか、主力市場の動向が焦点だ。

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  「アメリカ販売がなかなか戻ってこない」。ある日産幹部は現地から届く販売データに困り顔だ。景気拡大が最終フェーズに入りつつある米国では、181012月期の日産の自動車販売は前年同期比7%減37万台とさえなかった。19年1月は19%減とさらに落ち込んだ。 日産連結業績 s5nk

 

 米国で日産は1割のシェアがあり、北米全体で日産は販売台数の約4割を稼ぐ。ただ北米の営業利益は18年4~9月期に850億円と、直近ピークの3年前より6割減った。日産の18年4~12月期は前年同期に比べ営業減益になるとの予想が多く、19年3月期の通期業績も見通しから下振れするとの見方もある。市場予想平均(QUICKコンセンサス)の連結営業利益は前期比10%減の5152億円と、会社予想を200億円以上下回る。株価は昨夏から下落基調で、18年7月末と比べ13%低く、下落率は日経平均株価10%)を上回る。

 北米での販売は奨励金頼みに陥っている。奨励金は自動車メーカーから販売店に自動車価格を値引きする「軍資金」として渡すお金で、日産にとっては費用となる。18年4~12月期は1台あたり4102ドルと、ホンダ1937ドルの2倍トヨタ自動車2460ドルを7割上回り、米国平均の3739ドルよりも10%高かった。車1台売るのに米国では平均で45万円値引きして販売していた格好だ。

 元凶とされるのは、売れば売るほど階段状に販売奨励金が増える「ステアステップ」と呼ばれる仕組みだ。顧客だけでなく販売店も「日産にバーゲンセールの常態化を求めるようになった」(証券アナリスト)。

 

 日産が「質より量」を追ったのは、限られた成長市場で目先の利益を稼ごうとしたためだ。東南アジア市場で出遅れたうえ、日本市場では伸びが期待できなかった。ライバルが販売奨励金を抑えた10年代半ば以降も、ゴーン元会長や当時の北米トップのホセ・ムニョス氏らが販売台数の目標達成に強くこだわったという。開発費を抑制して新型車の投入も遅れた。別の日産幹部は「すべてをゴーン元会長のせいにしてはいけないが、米国について計画をどうしたら達成できるかを問われ続け、計画そのものを引き下げることは許されなかった」と語る。ムニョス氏はゴーン元会長が逮捕された後に日産を去った。

ゴーン元会長は北米市場で採算より販売台数の計画達成を優先したという

ゴーン元会長は北米市場で採算より販売台数の計画達成を優先したという

 西川社長や軽部博・最高財務責任者(CFO)ら現在の経営陣は、販売奨励金を抑え、信用力の低い顧客へのリースやローン契約を減らして貸し倒れ率の引き下げに取り組んでいる。採算が低い法人向け比率も下げ、個人客を増やそうとしている。ただ「ブランド価値を取り戻すには、かなりの魅力がある自動車を市場投入しなければ達成できない」(ナカニ自動車産業リサーチの中西孝樹氏)との見方もある。

 

 仏ルノー筆頭株主であるフランス政府が経営統合を望むなど、日産の経営体制を巡る混乱は続いている。ただ現場の苦闘ぶりを見るに、主導権争いに時間をかけている場合ではなさそうだ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41077330Y9A200C1000000/?n_cid=NMAIL006

 

 

アメリカの販売責任者は、ゴーンチルドレンの一人ホセ・ムニュス氏であった。現在、日産ではゴーンチルドレン外しが進行しているようだ。ホセ・ムニュス氏は20184月に、悪化した北米事業の責任者から中国事業の責任者に異動している。北米での責任を逃れさせるために、ゴーンのとった処置であった、と言われている。

 

(続く)