Ghosn,Gone with the Money(71)

ちなみにカルロス・ゴーンは、1954.3.9レバノン人の両親からブラジルで生まれている。従って上記の記事の64才という年齢は、2019.3.7時点の記事なので64才としているが、現時点では誕生日が過ぎているので、65才になっているので念のため。



さてゴーンとしては、「クーデター説」を展開するかもしれない、と言うよりも展開するのでしょう。マクロンの意を受けて、ゴーンがルノーと日産の経営統合に舵を切ったために、西川社長ら日産勢がゴーン排除に動いたクーデターだと、裁判で大演説をするかも知れないのだ。まあ、したければすればよいのだが。

 

 

日産が懸念するゴーン保釈後の「時限爆弾」

逮捕から108日、3度目の請求でようやく保釈

岸本 桂司 : 東洋経済 記者

20190307

保釈され、東京拘置所を出る日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(写真:時事通信社

世界中に衝撃を与えた逮捕から108日目、かつてのカリスマ経営者は刑事被告人に立場を変え、再び世間に姿を現した。日産自動車カルロス・ゴーン前会長が36、勾留されていた東京拘置所(東京都葛飾区)から保釈された。ゴーン氏は逮捕以降、一貫して無罪を主張しており、不正を告発した日産とは全面対決の様相を呈している。

東京地検特捜部に昨年1119日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕されてから、会社法違反(特別背任)容疑など2回の再逮捕を経て108日間に及ぶ長期の身体拘束には、国籍があるフランスなど海外メディアから批判が高まっていた。前任の弁護人による2回の保釈請求はいずれも却下されたが、2月に弁護人が「無罪請負人」の呼び声高い弘中惇一郎弁護士らに交代して初めての請求でいきなり保釈が認められた。

5日の保釈決定から一夜明けた6日午後4時半ごろ、作業着とマスクで「変装」したゴーン氏は東京拘置所弁護団が用意したスズキ製の軽自動車に乗り込んだ。その後、都内の弁護士事務所に向かったとみられる。

保釈されても、息苦しい生活

保釈されたとはいえ、ゴーン氏は今後、裁判所から示された保釈条件に従った少々息苦しい生活を強いられる。例えば、事前に裁判所に届け出た東京都内の場所に居住は制限され、住居の入口には監視カメラが設置される。ほかにも、パスポートは弁護人に預け、海外渡航は禁止、日産幹部など事件関係者への接触禁止、携帯電話はインターネットとメールは使用不可、通話先記録も裁判所へ提出、日中は弁護人の事務所に滞在、など数々の細かな条件がある。ただ、食事や居住環境などの面で拘置所よりはるかにストレスの少ない生活に戻ることができそうだ。

 

ゴーン氏はこれまで一貫して無罪を主張しており、裁判でも検察側と全面的に争う構えだ。その一方で、会長を務めていた日産やフランスのルノーにおけるほぼすべての役職はすでに失い、経営に対する直接的な影響力は限定的だとの見方が強い。2月には日産とルノー連合の統括会社「ルノー日産BVRNBV」の会長も退いた。ルノーではゴーン氏の後任として就任したジャンドミニク・スナール会長による新体制がスタート。ルノーティエリー・ボロレCEO5日、保釈後にゴーン氏が経営陣に復帰する可能性を明確に否定した。

日産単独での不正調査は現在も継続しているほか、RNBVを舞台とした不透明な金の流れについてルノー、日産両社が共同調査を進めている。共同調査は3月中旬にも結果が公表される見通しだ。「刑事裁判の結果がどうであろうが、ゴーン氏を会長から解任した判断には揺るぎない」(日産幹部)としており、民事面でもゴーン氏に対して損害賠償を請求する方針を固めるなど強気の姿勢を崩していない。

カルロス・ゴーン被告の弁護人に2月に就任した弘中惇一郎弁護士。34日に開かれた記者会見では「無罪をとれておかしくない裁判だ」と述べ、検察側と全面的に争う姿勢を鮮明にした(記者撮影)


日産は現在、規模拡大を追い求めた「ゴーン流経営」からの脱却を急いでいる。特に北米ではここ数年、ゴーン氏の指示で採算より販売シェア拡大を優先してきた結果、収益性が急激に悪化。昨年前半からブランド重視の戦略に転換した。その北米トップを務め、業績悪化の「戦犯」と言われながらもゴーン氏に重用され続けたホセ・ムニョス氏は今年1月、会社を追われた。今後もゴーン氏の息がかかった幹部を駆逐する流れは続くとみられ、日産の「脱ゴーン」化は着々と進んでいくだろう。

その一方で、ゴーン氏の影響が完全に払拭されたわけではない現実もある。48に予定される臨時株主総会まで、ゴーン氏には日産の取締役としての地位は残っている。ルノーでも取締役のままで、ゴーン氏が各社の取締役会への出席を希望するかどうかは大きな注目点だ。

裁判所が示した保釈条件の中でも、「裁判所が許可すれば取締役会への出席は可能」(弁護人の弘中惇一郎弁護士)とされている。その場で、日産の現経営陣に対する批判を本格的に展開していく可能性も否めない。ただ、保釈条件では事件関係者への接触も禁止されており、そこには日産の西川廣人社長ら現経営陣も含まれるとみられ、裁判所が出席を許可するハードルは高い。

内幕を暴露する可能性も

それ以上に日産などが恐れる最悪のシナリオは、ゴーン氏が国内外のメディアを集めた記者会見を開くなどして、社内での権力闘争の内幕を暴露することだ。ゴーン氏が退任後に受け取る報酬額が記載された書類に日産の西川社長がサインしていた疑惑が一部で報じられており、報酬虚偽記載に関する起訴内容に日産幹部が関与していたとゴーン氏が断言すれば、日産へのダメージは大きい。

6日に保釈されたゴーン氏は作業着とマスクで変装していた(写真:AP/アフロ)

知人への巨額送金や世界各地での豪華住宅の購入などについても、複数の日産幹部がその内容を事前に承知していたなどと具体的に証言する可能性もある。ゴーン氏は経営者として世界的な知名度があり、解任されたとはいえその発信力は侮れない。

また、日産が検察へ告発したことについて、西川社長らによる「クーデター」を主張する可能性も懸念材料だ。ルノーとの経営統合に傾いたゴーン氏を排除し統合を阻止するため、日産経営陣がゴーン氏の「不正」を利用した――。経営の全権を掌握していたゴーン氏が経緯を詳細に語ればそれなりの説得力を持つため、クーデター説を全面否定する日産側のシナリオを崩しかねない。

刑事裁判では最高裁まで争えば、終結までに数年間を要する可能性が高い。日産にとっては経営統合や出資比率など提携関係見直しを巡り対立が続くルノーだけでなく、すでに切り捨てた元トップとの間でも大きな火種を抱え続けることになる。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/269672

 

 

 

なお上記の記事の中に「日中は弁護人の事務所に滞在、など数々の細かな条件がある。(東洋経済)」との表現があるが、その一つ前の記事には「当初、弁護側は平日の昼間は弁護人の事務所で過ごすことも条件に加えていたが地裁は条件の一部を緩和して滞在場所を制限しなかった。(itmedia」とあるが、どちらが正しいのか。同じ37日の記事なのだが、「東洋経済」の記事は弁護側が届け出た条件の羅列であり、”itmedia側は届け出た条件に対する裁判所の決定条件を述べている、と言う違いがあるようだ。

(続く)