Ghosn,Gone with the Money(78)

ただ、戦略的な販売目標を目指すには、駒が不足している。これもゴーンの蒔いた種と言われているが、ルノーも日産も魅力的なクルマ作りに、先ずは、取り掛かる必要があろう。特に北米は深刻だ、と言う。

 

 

 

 

日仏連合「1400万台」数値主義を修正へ 焦点は米国

2019/3/18 12:23
日本経済新聞 電子版

 仏ルノー日産自動車三菱自動車の3社連合の新たな会議体の議長に就くジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)が、連合でこれまで最重要とされてきた販売台数のみを追う「数値至上主義」の修正方針を打ち出した。焦点は連合の販売台数の5割強を占める日産だ。日産は販売数を追いかけるあまり、米国市場などで安売りを続けて収益が悪化し、ブランド立て直しは容易ではない。新体制で「ゴーン流」に代わる解を得るのに残された時間は長くない。



首位肉薄の裏で広がるひずみ



 「数カ月のうちに計画を定義し直すことになる。3社連合の会議で計画を再確認する」。

 スナール氏は日本経済新聞などとのインタビューで、2022年に3社連合で年間販売台数を1400万台に引き上げる中期経営計画を見直す考えを示した。3社連合は日産元会長、カルロス・ゴーン被告に権限が集中してきた体制を見直し、合議で連合の運営を決めるための会議体「アライアンス・オペレーティング・ボード」を新設し、スナール氏が議長を務めることが決まっている。

 日仏連合の18年の販売台数1075万台と、世界首位の独フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ規模だ。ゴーン元会長のもとで拡大路線をひた走り、業界首位に8万台弱の差まで迫った。だが17年からの増加分は15万台にとどまり、伸びは鈍化している。米国や東南アジアで低迷が続き、今後の4年間で3割も積み増すのは事実上不可能といえる。

 スナール氏は「3社連合を効率的にする」と強調している。懸念するのは数字の達成を最優先にするあまり、競合他社と比べた安売りや身の丈に合わない生産計画など無理な拡販策が各社の経営をむしばみ始めていることだ。

 特に日産は数値至上主義の影響が顕著で、19年3月期の連結純利益が前期比45%減4100億円となる見込み。日産の世界販売の約3割を占める米国市場ではトヨタ自動車ホンダなどに対抗するため、販売奨励金を使った値引き販売に依存してきた。日産の足元の1台当たりの奨励金はトヨタを約6割上回り、米国平均と比べても1割高い水準に高止まりしている。

 日産車は「バーゲンセールで買う車」とのイメージが定着し、正価での販売が難しくなり採算が悪化した。足元で北米の売上高営業利益率は2%台どまりだ。西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)も「奨励金がないと台数を取れない体質で、ブランド価値の向上が大きな宿題だ」と認めている。

米国以外も不振



 日産は対策に乗り出した。北米での収益悪化に歯止めを掛けるため、米ミシシッピ州の工場で最大700人を、メキシコの2工場でも約1000人をそれぞれ解雇する。だが、「米国市場を立て直すには最短でも2~3年はかかる」(日産幹部)とされ、さらなるリストラも避けられないとみられる。ゴーン元会長の側近で北米事業を統括してきたホセ・ムニョス氏は今年1月、西川社長が更迭した。

 ゆがみが目立つのは米国だけではない。欧州でも18年の販売台数は前年比12%減少しており、英国やスペインの完成車工場の稼働率は低い。販売車種の見直しなどは不可欠とみられ、12日には高級車ブランドインフィニティ」の西欧からの撤退も発表した。東南アジアやインド、ロシアでも低価格車ブランドダットサン」が低迷しており、完成車工場の生産能力を持て余している。

日仏首脳「脱数値主義」で一致



 日産は6月に開く定時株主総会で新たな経営体制が発足した後にも、抜本的な経営再建策を練るとみられる。合議制に移行した日仏連合も同時に経営計画の見直しに着手する見通しだ。



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日産は値引き販売で米国事業の収益が悪化している(米国の販売店



 スナール氏は4月8日の臨時株主総会から日産の取締役に就く。「(日産で)座って意見を聞いているだけになるつもりはない。3社連合の未来にも関わってくる」。西川社長もゴーン流の数値至上主義には「弊害がある」と述べており、スナール氏と基本的な考えは一致しているとみられる。

 ゴーン元会長の逮捕で日仏連合の関係はぎくしゃくしたが、肝心の経営の根幹も揺れている。ゴーン流の否定には業績を立て直して初めて説得力が生まれる。日産再建は待ったなしだ。

(伊藤正泰)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42591770Y9A310C1000000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

だからルノーの大株主のフランス政府・マクロンも大変だ。ルノー・日産連合に早く立ち直ってもらわないと、困るのである。更にマクロンの身の回りは、未だ騒然としているからだ。

 

316のパリのデモでは、シャンゼリゼ通りの商店が略奪や放火にあい、軒並み破壊されてしまった。あたかも内戦の様相を示し始めた、とは大袈裟であるが、20181117から18週連続で「黄色いベスト」運動デモが続いている。

 

「燃料税の削減」「富裕税の導入」「最低賃金の引上げ」、更には「マクロン大統領の辞任」まで要求している。生活費が上昇し貧富の格差が拡大し、中産階級まで生活苦が及んでいるようだ。

 

環境問題への理解はあるが、マクロンの経済政策が主に富裕層に利する形になっているとして、一般庶民の経済苦を解決せよ、とマクロンに迫っているのである。だからなかなか収まりそうにない。

今週末の323日の第19週目の土曜日のデモはどんな形となるのであろうか、見物である。

(続く)