「今の世代は金大中世代よりも日本に否定的」
このインタビューでブリーン氏はさらにこう言い切っている。
「(韓国人の歴史認識は)理解できるが、客観的なものではない」
「(韓国は)韓国と日本が東アジアで自由市場経済民主主義の2か国という事実を受け入れることにも失敗している」
「日本よりも中国が(韓国と)協力国とみるのは古代史的観点だ」
「記者として取材してみると、金大中世代は(日帝強占期*1について)今と比べてそこまで否定的ではなかった」
「ポスト金大中世代の方が(日帝強占期について)否定的になっている。(反日)教育のためだと考える。日帝強占期について(論ずること)は後回しにしなければならない」
*1=首都大学東京の鄭大均特任教授によると、「日帝強占期」(イルチェカンジョムギ)は日本が朝鮮を併合した1910年から1945年の35年間を指す。ワープロで「植民時代」とか「日帝時代」と打つと自動的に「日帝強占期」と転換されるという。
「1998年に金大中大統領と小渕恵三首相とが『韓日パートナーシップ』を通じて韓日の全面的交流・協力の道を開いたことを高く評価する」
「2006年に廬武鉉大統領が第2次大戦中の旧日本軍捕虜収容所で警備員として勤務していた韓国人戦犯を赦免したが、私はこの決定には否定的だ」
「これは韓国政府による権限乱用だ。韓国人は善、日本人は悪という単純なものではない、より複雑なものだ」
「『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河・世宗大学教授を名誉棄損で起訴したのは反民主主義的な行動だ。この問題は(政治の場ではなく)『知識人同士の場』で扱うべきだ」
「韓国人は自らのアイデンティティを抗日・反日の枠の中で模索することから抜け出すことだ」
「現代の韓国人のアイデンティティは、いくつかの意味で、(韓国の民主主義が本格化した)1987年に確立し始めた」
「民心をある種のリーダーとして考え、受け入れることこそが民主主義だと考えるのは民主主義に対する誤った認識だ」
「民心は常に正しいとは限らない。もし正しくないのであれば、リーダーシップがこれに対抗すべきだが、(韓国社会は)そのようにはできてはいない」
英語版では見当たらないインタビュー記事
最初にコメントしてくれた2人の米人ジャーナリストにこの記事を英訳して聞かせると、2人とも「模範的な対韓認識」と舌を巻いた。
筆者も2人の米国人ジャーナリストもまず勘繰ったのは、このインタビュー記事は韓国語の本紙にも掲載されたかどうかということ。
掲載されていたら文在寅大統領はじめ与党の政治家やジャーナリスト、一般大衆はどのような反応を示したのだろうか。
同紙日本語サイトにその内容が転載された直後から日本語を読む人たちの間で大反響を呼んでいる。
同記事には日本人(と思われる方たち)から多くのコメント*2が寄せられている。
(https://japanese.joins.com/article/557/250557.html)
*2=コメントの多くは「韓国では国民情緒が優先されるからなかなか冷静な判断ができない。そのことをブリーン氏もご承知のこと」「韓国紙の日本語版は日本人の感情に寄り添う記事を掲載していて気持ちが悪い」といったもの。
この日本語版の内容と同じ記事を英語版で検索したが見つからない。
中央日報にも問い合わせたが沙汰なし。アメリカ人ジャーナリストとも在韓米外交筋などを通じて調べてみたが、見つかっていないという。
つまりこの記事は英語版には掲載されていないことが判明した。なぜか?
ブリーン氏にこのインタビューでの生の発言を記録したトランスクリプトの提供をお願いしたが、本稿脱稿段階まで一切の連絡はない。
同氏は現在「インサイト・コミュニケーションズ・コンサルタンツ」というPR会社を設立、経営しているのだから、メディアからの問い合わせには敏感なはずだと、思うのだが。
(http://www.insightcomms.com/)
韓国紙の日本語版は記事を政治的に取捨選択している?
前述の米人ジャーナリストA氏がこの記事が英語版に掲載されていない理由についてこんな感想を述べた。
「中央日報はサムスン系の保守中道の夕刊紙だ。左派の文在寅大統領の内政外交政策には批判的な論調を堅持している」
「ブリーン氏はこれまで同紙に定期的に投稿してきている。したがって同氏が述べている主張は中央日報のそれと重なり合う部分があることは間違いない」
「ここで同氏が述べたことは日本人にとっては聞こえのいいことばかり。だから編集者は英語版よりも日本語版に載せようと判断したのだろう」
B氏はこうコメントした。
「ブリーンという人物は不思議な人物で、かって統一教会支持者だった。確か統一教会の教祖、文鮮明師の伝記を書いたことがある。一時統一教会傘下の『ワシントン・タイムズ』にも記事を書いていた」
「在韓欧米社会では一定の影響力を持ち続けているはずだ。これだけの露骨な文在寅批判を繰り広げている背景に何があるのか」
ブリーン氏が2年前に書いた著書に以下のようなくだりがある。
「韓国にとって、時として必要なのは多くの国民が望んでいること、正しいと信じていることに反して行動するだけの強いリーダーだ」
文在寅氏が大統領に就任したのは2017年5月10日。ブリーン氏の著書が出た1か月後である。
どうやら今の日韓関係は、単に政府間同士ではなく、メディアを巻き込んだ「心理戦争」に突入した感すらする。
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マイケルブリーンimg_5d71cd51f630968a39ebf13b862884f3156510
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55649)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55665?page=6
文在寅により、馬韓国の四足獣はより強くなり、大ぴっらに馬韓国中を闊歩することになってしまった。これは日本にとって由々しきことである。
(続く)