西野氏:できないと思いますよ、しばらくは。
これも日本の中で理解されていません。当然、韓国の人たちにとって南北統一は大義名分としては捨てられないものです。けれども、本当に統一したいと思っているかどうかは、いろいろな意見があるのです。
多くの若者は統一したくない。一方で高齢層は統一できるに越したことはないけれども、仮にできないにしても昔別れた北朝鮮にいる家族や親戚には会いたいと思っています。
では文政権はどうかというと、長期的には統一を目指したいけれども、自身の政権の間に実現できるとは思っていません。
そもそも文政権の公約は南北経済共同体を作ることでした。今は実現が難しくなっていますが、少なくとも南北の経済交流は進めたい。統一は遠い先のことだと考えています。
山川:光復節の時も「2045年までにワンコリアができるよう約束する」「ソウルと平壌で2032年の五輪共催を目指す」と文氏は演説しています。確かに2045年というのは、国のリーダーとしては遠い先の目標設定ですね。
私が疑問に感じるのは、統一は先のこととしても、その過程で北朝鮮の核も含めた軍備縮小を、文氏はどこまで本気で考えているのかという点です。北朝鮮に武装解除をさせておかないと、北朝鮮側の立場が強くなってしまい、金委員長はそれを交渉材料に使うでしょう。そこが気になりませんか。
韓国もミサイル発射
西野氏:実はそういう認識は韓国の安保の専門家の間では非常に強い。
しかし、文政権は基本的には緊張緩和が進んでいると考えています。昨年の南北首脳会談によって南北の非武装地帯(DMZ)での緊張緩和を約束し、履行している。それを南北のより広い地域に拡大していきたいというのが文政権の認識なのです。
もちろん、北朝鮮の相次ぐミサイル発射は望ましいとは思っていません。ただ、それについては韓国自身も実は国防力を強化しているから問題ないと考えているようです。韓国政府は発表しませんが、ミサイル開発や発射実験をやっている。
国防当局は本当は言いたいところでしょうが、言ってしまうと北朝鮮を刺激してしまう。国民向けには安心させたいところでしょうが、北にはマイナスのメッセージになってしまう。そこが悩ましいところなのです。
西野:変化のスピードが目まぐるしくて、正直、勉強するのも大変です(笑)。韓国がアメリカを離れ、中国や北朝鮮に近づくなど、20世紀の常識が通じない世界になっています。
山川:そうですね。今回のGSOMIAの破棄が発端となって、今後、在韓米軍の縮小が進み、東アジアの前線が日本になってしまうような懸念はありませんか。安全保障上、日本が孤立するといった不安を口にする人もいます。
西野氏:日本政府もそこはおそらく強く意識していると思います。
日米同盟を引き続き強化していくと同時に、日本自身の防衛力を高める努力は安倍政権に入ってから進んでいます。
近年ではご承知の通り「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、オーストラリアやインドなど、同じ価値観を共有する国々を準同盟国的に扱い、アメリカの後退を補完しようとしています。
西野:来週にはまた世界の情勢がガラッと変わっているかもしれません。(このコーナーの第1回に取り上げた)年金2000万円問題でトークしていたのが懐かしい(笑)。
山川:どちらも大事なテーマですけどね。
文政権の行方について、最後にもう一つ質問させてください。高い失業率など経済問題や側近のスキャンダルで支持率が低下しているようです。今後、経済問題で政権運営が行き詰まってしまうことはないですか?
西野氏:その可能性は十分あります。来年4月の総選挙に向けて、財政出動を実施すると思いますが、それでも米中摩擦が激化していることもあって、経済はあまり改善しないでしょう。国内的には労働組合からの突き上げが強まっています。
経済で追い込まれていることが、対日政策など、他の政策に対する柔軟性を失わせている側面もあります。文政権の中には日本をたたくことによって難局を乗り切ろうという意見もあるようですが、それで総選挙まで乗り切れるとは思えません。
国民はだんだん気づいてくるでしょう。日韓関係の悪化は、経済的にマイナスだと。皆、潜在的には分かっている。文政権にとって、日韓関係は大きな負担なのです。
山川:どこかでそういう理解が進み、関係改善のきっかけになるといいですね。
西野:そうですね。西野さん、本日はありがとうございました。
西野氏:ありがとうございました。
(注:この記事の一部は、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の番組放送中のコメントなどを入れて、加筆修正しています)
■変更履歴
1ページ目、「日米関係がギクシャクしている」とありましたが、正しくは「日韓関係がギクシャクしている」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/8/29 10:15]
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00070/082700009/?P=6
8月15日の終戦記念日(馬韓国では光復節、Koreaとは日本は合邦していたので、戦争はしていない)に、文在寅は寝ぼけたことを言っていた。
『光復節の時も「2045年までにワンコリアができるよう約束する」「ソウルと平壌で2032年の五輪共催を目指す」と文氏は演説しています。確かに2045年というのは、国のリーダーとしては遠い先の目標設定ですね。』などと記述されていたが、何を寝ぼけたことを言っているのかとよく見れば、文在寅は”寝巻”を着ているではないか。寝ぼけていたに違いない。
(続く)