既存事業に手詰まり感
VWが社運をかけてソフトウエアに注力する背景には、既存事業が深刻な手詰まり状態に陥っていることがある(図2)。2015年に発覚したディーゼル不正問題をキッカケに、パワートレーン戦略をクリーンディーゼルから電気自動車(EV)に転換したが、EVがさほど売れないことはVWも分かっている。EVへの転換だけではディーゼルの穴は埋められない。EVシフトと同時にソフトウエア戦略を推し進めることが、事業の立て直しに不可欠とみられる。
図2 苦境にあえぐVW
VWはディーゼル不正問題をキッカケに戦略の見直しを迫られた。ディーゼルに代わってEVを新たな主力に育てる戦略だが、実現は容易ではない。残るは、ソフトウエア企業への脱皮である。日経Automotiveが作成。[画像のクリックで拡大表示]
同社がEVを選択したのは、欧州連合(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制に対応するためだ(図3)。EUは2021年までに乗用車のCO2排出量を平均95g/km以下に削減することを義務付けた。基準を1g上回るたびに販売台数1台当たり95ユーロ(約1.1万円)の罰金が科せられる。VWの場合、「単年で2000億円規模の罰金が発生する可能性がある」と複数の調査会社が指摘する。
図3 2018年時点での欧州CO2規制への対応状況
2021年の欧州CO2規制への対応状況を見ると、VWはトヨタなどの競合に比べて遅れている。目標を達成できなかった場合、巨額の罰金を支払うことになる。国際クリーン輸送協議会(ICCT)の資料を基に日経Automotiveが作成。
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その対策の一つとして、VWをはじめとするドイツ自動車メーカーは48Vのマイルドハイブリッドシステムを規格化した。もともと欧州市場は走行距離が長く、EVは力不足とみられている。48Vシステムは既存のエンジン車に安価に取り付けられ、燃費を改善できる。VWが2019年10月に発表した主力車の8代目「ゴルフ」も48Vシステムを搭載し、燃費をWLTPモードで10%改善した。
ただ、48VシステムによるCO2の削減効果は限定的であり、21年比で37.5%減と厳しくなる2030年のEU CO2規制には対応できない。今さらストロングハイブリッド車(HEV)を出すわけにもいかない。HEVで20年の実績があるトヨタ自動車にコスト競争で勝てる見込みがないからだ。残る選択肢は、走行時のCO2排出量をゼロにできるEVしかないのである。
(略)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/01125/00001/?n_cid=nbpnxt_mled_dm
EUでは、CO2の排出規制がとても厳しい、もちろんEUだけではないが。
2021年にはEUで販売する乗用車のCO2の平均排出量を95g/km以下にしなければならない。
2030年には、95g/kmを更に37.5%も減らさなければならない。と言う事は59.375g/km以下としなければならないと言う事か。これではCO2を排出しない車・EVを相当数販売しないと達成できないのである。だから空恐ろしいのである。
だからVW始め欧州のクルマメーカーは戦々恐々としているのである。FCAもPSAと一緒に研究開発しないと、やってゆけないと考えたのだ。
ストロングハイブリッド車・HEVばかりのトヨタくらいしか、この95g/km規制には対応できないのではないのか、と言われている。もちろんトヨタもEVを投入した上のことである。
VWと言えども、EVを主流にしないと、この排ガス規制は達成できないのだ。EVと言う事は、そのもとになるバッテリーの(温度)管理やバッテリーからの電気の出し入れなどの管理が、非常に重要になってくる。電気自動車は、バッテリーとモーターとそれらをコントロールするソフトウェアシステム(コントロールユニット)がないと、うまくゆかないのだ。
そこがEG車とEVとの最大の違いとなるのである。だからVWは、EVの会社、即ちEVを管理するソフトウェア(EVのOS)の会社になる、と言っているのである。
EVはいわば走るコンピュータ―となるのであるから、コンピューターにOSが必要なように、走るコンピューター・EVにも、基盤となるソフトウェア・OSが必要となるのである。VWは、それを牛耳ると言っているのである。
この話は、またあとで触れる。
さて次は、いよいよ本命のC,DセグメントのEVの話に移ろう。まあここらあたりのセグメントのEVが本命となると、世間では見られているから重要なのである。
(続く)