Hot News 逆風EV、エンジンとの決戦は新局面
EVに載ったトヨタの全固体電池、開発に8年、走行試験に成功
同社元理事の石黒恭生氏が講演で明らかに
2018/11/16 05:00 2019/12/19 05:00 野澤 哲生=日経 xTECH/日経エレクトロニクス
トヨタ自動車は、電解質が固体のLiイオン2次電池である「全固体電池」を8年前から開発し、最近になって当初の目標値を達成。同社の1人乗り電気自動車(EV)「COMS」に実装して、走行試験に成功した。
同社元理事で燃料電池車や全固体電池の開発を手掛け、現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏が2018年10月の講演会で、開発の経緯と共に明らかにした。
トヨタ自動車の元理事で現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏
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当初は充放電数回で出力0に
石黒氏によると、開発開始当初、試作した全固体電池は充放電1サイクル目まではセルの体積エネルギー密度が100Wh/L超だったが、充放電を数サイクル繰り返すと体積エネルギー密度は数分の1、出力密度は0近くまで低下するなど前途多難だったとする(図1)。
図1 8年かけて開発目標を達成
トヨタの全固体電池開発の経緯を示した。当初は、セルを作製してもすぐに性能が劣化したが、(1)正極材料をLiNbO3で被膜、(2)電解質層を約1/10に薄膜化、(3)活物質の緻密化、(4)均一分散化などで徐々に性能が向上。約8年かけて当初の開発目標値である、体積エネルギー密度400Wh/L、出力密度2.5kW/Lを超える性能を達成した。(図:石黒氏の講演資料を基に本誌作成)
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そこでトヨタは、セルの性能が出ない要因を徹底的に洗い出した。(1)正極活物質と固体電解質の間の界面に抵抗値が高い抵抗層が形成されてしまうこと、(2)固体電解質層の膜厚が厚いこと、(3)正負極の活物質と固体電解質材料の混合領域で、活物質が凝集して均一性が大きく低下すること、(4)活物質材料間に空隙ができること、の大きく4点の課題が見つかったという。
(略)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00001/00048/?n_cid=nbpnxt_mled_dm
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/cpbook/18/00037/00011/
最後に、トヨタ e-Palette だ。これは2018.1.9~12の2018 International CESで発表されたものの発展型である。
(https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/20508200.html)
これはミニバス仕様でトヨタも特に力を入れているEVで、来年の東京オリパラ大会の選手村を巡回する自動運転バスとして大会をサポートすることになり、いわゆるC,Dセグメントには属さないが、トヨタはあらゆる用途に使える、また使おうとしている自慢のEVなのであろう、また別途言及してみよう。
C,DセグメントのEVの車両寸法は次のようななっている。
L W H ETC
(1) 日産 ARIYA Concept 4600 1920 1630 次期型 X-TRAILの電動型?2020年市販?
4WDオンロードSUV、Pro-Pilot,スマホと連動、ルノー三菱と共用PF
X-TRAIL 4690 1820 1730 2020年にModel Change
(2) Lexus LF-30 Electrified 5090 1995 1600 110kWh 500km In Wheel Motor 自慟運転
Lexus として2020年にはEVを市販
(3) トヨタ LQ 4530 1840 1480 4人乗り、300km は改善の余地あり。
(4) トヨタ e-Palette 5255 2065 2760 乗員20名 航続距離150km 19km/h
日産 ARIYA Concept のPFは、ルノー・日産・三菱グループで共用することでコスト低減を狙ったもので、EV専用だと言う。しかもあのカルロス・ゴーンが打ち出したものだ。来年からこの3社でEVが量産されることになる。電池の冷却は、空冷ではなくて水冷になるらしい。
期待したいものだが、あまり期待し過ぎるのも良くなかろう。日産はARIYAの性能についてはその詳細を公表していない。だから売れるかどうかは皆目不明だ、500km超は期待したいものだが。
東京モーターショー2019
生きていた“ゴーン計画”、日産がEV専用プラットフォームを20年量産
2019/10/23 20:36 久米 秀尚=日経 xTECH/日経Automotive 日産自動車は、電気自動車(EV)専用の新プラットフォーム(PF)の搭載車を2020年から量産する。フランス・ルノー(Renault)や三菱自動車などの連合で共用することで、コストの低減を狙ったもの。同PFなどを活用し、2022年までに連合で12車種のEVを投入する方針だ。カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)元会長の逮捕やトップ交代などがあったが、「3社でEV専用PFの仕様などを固めて開発を続けてきた」(日産のEV開発担当者)。 EV専用PFの投入計画はゴーン氏が打ち出したもの。同氏の逮捕などがあったものの、開発は「当初のスケジュール通りで実現できるように進めている」(同担当者)。
(続く)