世界自動車大戦争(68)

さて「ゴーン逃亡」の話から本来のクルマの話に戻ろう。と言っても約1.5ヵ月程もどって、2019.12.30NO.40からの続きとなる。日産の「トロイカ」体制の話をしていた、相当旧くなってしまったが、その続きとなるが悪しからず。

 

 

 

 

日産、新経営陣に「トロイカ」リスク

 

北西 厚一

日経ビジネス記者

2019109

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 社長兼CEOに就任予定の内田誠氏(中央)。COOに就く予定のアシュワニ・グプタ氏(左)と副COOに就く予定の関潤氏(右)。

 日産自動車8日、内田誠専務執行役員53が社長兼CEO最高経営責任者)に昇格する人事を発表した。遅くとも来年11までに就任するという。これと合わせ、COO最高執行責任者)に三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏(49)、副COOに関潤専務執行役員58)が就く。3人の協力のもとで会社を運営する「トロイカ体制」で経営再建に臨む。

 「経験豊富な3人が、多様性のあるリーダーシップを発揮していく体制が望ましいと判断した。(新たな経営目標は)3人で決めることになる」。日産の指名委員会の豊田正和委員長(元経済産業審議官)は8日、新たな体制についてこう述べた。

 いずれも次期CEO候補に挙がっていた3人のバックグラウンドは確かに多様だ。内田氏は同志社大学神学部を卒業し、日商岩井(現双日)を経て2003年から日産に合流。グプタ氏はインド出身で、ホンダ、ルノー、日産を経て今年4月に三菱自動車COOに就いた。3番手の関氏は中国法人のトップを務めるなどしてきた生え抜きだ。

 西川広人前社長兼CEO65歳、山内康裕暫定CEO63歳だったことを考えると、大幅な若返りとなる。「お互いが切磋琢磨(せっさたくま)し、支え合いながらいくことで、透明性もあり、公平な判断ができる」(木村康取締役会議長)という新たな経営体制からは、権力の集中から経営者の暴走を許した過去への反省もくみ取れる。

 ただ、3人が率いる「トロイカ体制」は時としてリーダーシップの散乱を招く。15年前後に経営危機に陥ったシャープには、3つの頭を持つ怪獣をもじって「キングギドラ経営」と呼ばれた時期があった。会長、社長、副社長がそれぞれ存在感を発揮し、陣地争いを繰り広げたからだ。

 日産でも1311月に志賀俊之COOが外れた後、西川氏、アンディ・パーマー氏、トレバー・マン氏の3副社長がCOOの役割を分担する体制をとったが、このときは重石としてCEOだったカルロス・ゴーン氏がいた。経営環境が良好なときはいざ知らず、決定のプロセスが不明瞭な状況は、逆風下では責任の押し付け合いにもなりかねない。

 日産の経営は今、極めて困難な状況に直面している。米国で販売報奨金が膨らんだことの影響などで、1946月期の営業利益は前年同期比で98.5%減った。業績回復に向け、世界の全従業員の約1割に相当する12500人を削減するなど構造改革を進めている。筆頭株主であるルノーとの関係の再構築も大きな課題として残る。

 課題山積の中、「日産ほどの大企業で合議制などあり得ない。今回の形は妥協の産物だが、結局は内田氏がどれだけリーダーシップを発揮していくかに尽きる」と経済産業省の有力関係者は話す。ましてや自動車業界は自動化や電動化への急激な変革の真っただ中。他業界との連携など意思決定にスピード感が求められている。 新経営陣の向かう方向が少しでもずれれば、トロイカはリスクとなる

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/100900750/?n_cid=nbpnb_mled_epu

社長兼CEO最高経営責任者)に昇格する内田誠専務執行役員53、どれだけリーダーシップを発揮していくかに尽きる、と書かれているように、将に日産の将来はこの3人の経営手腕に掛かっている、と言う事だ。

 

小生に言わせれば、ゴーンはただ単に積極的にリストラをやって業績を回復させただけのことだと思っている。まあ言ってみれば、非情な経営者が、潰れそうになっている会社でやるべきこと(リストラ)をきちんと(非情に)やっただけのことである。まあ、ゴーンが非情な経営者だった、と言う事に過ぎないのでは。決して日産に愛着なんぞは持ち合わせてはいなかったものと思われる。そうでなければ、あんな悪事は働かなったものと思われる。

 

日産・ルノーの将来については、フランス政府もルノーも一大決心をして43%も持っている日産の株式をある程度減らして、日産との協力関係をより緊密にして、FCA業務提携資本提携を敢行して、次世代技術の開発に専心する、と言った道もあったと思っている。折角先方から提案された話だったのだが、逃した魚は大きかったのではないのかな。まあフランス政府が絡んでいる以上、こんな話は有り得ないもの。

 

 

これからの日産の経営は、この若い3人に任されることになる訳だが、どれだけ経営手腕を発揮して、ルノーとの関係や日産の車が消費者に喜ばれるようになるか、見物(みもの)である。今はその面影は薄れて仕舞っているが、昔は「技術の日産」と誇らしげに宣伝していた訳なので、1日も早く技術の日産に返り咲いてほしいものだ。

 

今のところは「燃料電池車」からも距離を置いており、一途にEVだけにすがっているような感じがするが、どんな技術が次世代の主流となるのかは、まだ決まってはいない。ましてやEVが主流になるとも、思えないのだが、と言うよりも、LiIon Batteryが一世を風靡するとも思えないのである。

 

マツダ副社長の藤原清志大明神が言っていた「・・・バッテリーひとつとっても、使われる技術が「これだ」と確定していないんです。だから我々自動車メーカーとしても、本気で行っていいのかどうかが分からない。そうなると当然利益も出しにくい。「投資するのが怖い」、というのが正直なところです。だから日本の自動車メーカーは、世界的に見ればEVの開発がちょっとゆっくりしたペースなんです。」と言う状況なので、当座の流行こそなれ、いまだリチウムイオンバッテリーが大本命と言う訳にはいかないのだ。

2019.12.19NO33参照のこと)


(続く)