日産の経営陣の話はこの位にしておいて、次はLexus LF-30 Electrifiedの話に戻ろう。
と書いておいたのだが、昨日、今日(12/25)で吃驚するニュースが飛び交った。何と副COOの関潤氏が日産を辞めると言うではないか。早速トロイカ体制の危惧が現出した感じだ。
小生には、副COOに関潤専務執行役員(58)が内田氏より年上であり、しかも日産生え抜きと言う事もあり、社長・CEOにふさわしい感じがしていたのであるが、何とも日産にとっては惜しいことになったものだ。これで日産の先行きも、かなり不透明となったと言わざるを得ない。と言うのも関氏こそ、日産の独立派であったからである。それでこそこのトロイカ体制が、何とかうまくゆくのではないかと思われていたのだが。小生の感じ方では、次のようなトロイカであった。これからどうなることやら。
中立派 内田誠氏
ルノー派 アシュワニ・グプタ氏
日産派 関潤氏 → 日産退社表明(12/25)、日本電産に移籍('20/1/12)予定
再建途上の日産に激震、株価下落止まらず-関副COOが退社意向
堀江政嗣2019年12月25日 9:41 JST 更新日時 2019年12月25日 10:39 JST
ナンバー3の退社報道に日産株は5日続落、一時8月29日以来の安値
すぐ重要な人が辞めるのは日産にとり不信感につながる-アナリスト
Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
日産自動車の関潤副最高責任者(COO)が退社して日本電産に移籍することは、カルロス・ゴーン元会長の逮捕後の混乱と業績低迷から抜け出すため新経営体制を発足させたばかりの日産にとって打撃になると市場から受け止められ、株価は続落した。
日産株は25日、関氏の退社報道を受けて一時前日比2.7%安の636.1円と5日続落となり、日中安値としては8月29日以来の水準まで下がった。ゴーン元会長が最初に逮捕された昨年11月19日の終値との比較では約37%の下落となっている。
関氏は1986年の入社後、30年以上にわたって日産一筋に勤務してきた。生産技術畑の部署や北米での経験を経て2013年から日産の中国合弁の東風汽車に移り、総裁も務めるなど主要市場を知り尽くしている。西川広人前社長兼CEOの後継者の有力候補の一人と見られていたが、ナンバー3の副COOに選ばれ、今月1日に就任したばかりだった。
関氏は今月2日の記者会見では日産では生産や販売の現場と「経営層の間に大きな隔たりを作ってしまった」とし、この状況を是正するため内田誠CEOらと協力して改善に努力していく、と話していた矢先の突然の退任話だった。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は関副COOの退社について、「日産にとってはマイナスだろう」と指摘。経営トップ3人のうちの1人が抜けてしまうため、また体制を立て直す必要があり、「外部から見ると、すぐに重要な人が辞めるというのは日産の不信感につながりやすい」と述べた。
同社は7月に1万2500人規模の人員削減を実施する方針を明らかにしているが、業績低迷を受けて今後追加のリストラや生産能力削減を迫られる可能性も出ている。
新経営陣が直面するもう一つの課題がアライアンス相手のルノーとの関係の見直しだ。ルノーは日産株の43.4%を保有する一方、日産はルノー株15%を保有しているものの議決権はない。資本構成を巡る話し合いは進んでおらず、着地点を見つけられないままだ。
一方、日本電産は創業者の永守重信会長兼CEOは75歳の今も実質的な経営トップで強いリーダーシップを発揮。仕事に対する厳しい姿勢で知られ、日産から同社に移る関氏にも厳しい道が待ち構えている。
日産系の部品メーカー出身で日本電産副社長を務めた呉文精氏は退社して半導体メーカーに転身。家電大手シャープの片山幹雄元会長など後継候補と目された外部出身者の多くが社長になれなかった。現在の吉本浩之社長兼COOは関氏と同じく日産出身で昨年に後継社長に指名されたが、関氏の移籍が実現すればわずか1年ほどでその地位を追われることになる。
自動車調査会社、カノラマの宮尾健アナリストは猛烈な仕事ぶりで知られる永守氏は1年や2年といった短期で関氏の資質を見極めるだろうとした上で、関氏が同社で成功を収められるかはカリスマ創業者の「やり方についていけるかがポイントだ」と話した。
(外部コメントを追加し、株価情報を更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-25/Q2OO4YT0AFB401
日産のごたごたがどんな感じて納まるかは見ものではあるが、結局は日産派の関潤氏抜きで、日産は経営を進めてゆくことになったようだ。
日産のH.Pageを見ると、
(https://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/EXECUTIVE/)
執行役として8人
1) 社長兼CEO 内田誠
2) COO兼CPO アシュワニ グプタ (Ashwani Gupta)
3) CQO兼Vice CPO クリスチャン ヴァンデンヘンデ (Christian Vandenhende)
5) 副社長・4人 (坂本秀行、星野朝子、中畔邦雄、Jose Luis Valls・ホセルイスバルス)
取締役として10人
1) 社外取締役として、7人
2) 社内取締役として、3人(ジャンドミニク・スナール、西川廣人、山内康裕)
・COOだった山内康裕は、2019.9.16付で西川を辞任させ、社長・CEO代行・COOとなっていたが、新体制では取締役だ。
となっている。
このことをおさらいしてみると、2019.10.8に、日産は、内田誠専務執行役員(53)が社長兼CEO、三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏(49)がCOO(最高執行責任者)、そして副COOに関潤専務執行役員(58)が、新経営陣となる人事案を発表し、新経営陣は2019.12.1付で就任して新体制がスタートしたが、しかし2019.12.25には日産生え抜きの副COO関潤専務執行役員(58)が日産を退社する(日本電産入社見込み)ということである。これらは先に述べているのでご承知のことと思う。
その関潤氏は日本電産の社長に昇格している。
日本電産社長に元日産ナンバー3の関氏昇格へ
2020.2.4 12:57 産経WEST 経済
日本電産が、日産自動車の関潤元副最高執行責任者(COO)を4月1日付で社長に昇格させる人事を固めたことが4日、分かった。午後5時半から京都市内で記者会見を開き正式に発表する。
関氏は昭和61年に日産に入社して以来、生産部門に長く所属し、米国駐在や中国の合弁会社のトップを務めた経歴を持つ。日産のナンバー3として内田誠社長やアシュワニ・グプタCOOらと「トロイカ体制」で経営再建にあたる予定だったが、1月11日付で日産を退職。12日付で日本電産に入社し、社長就任に向けた準備を進めていた。
日本電産は永守重信会長が昭和48年の創業以来、経営トップを務める。永守会長は1月23日の会見で、関氏に日本電産が拡大方針を掲げる電気自動車(EV)向けの駆動用モーター部門の統括を任せる方針を示していた。
https://www.sankei.com/west/news/200204/wst2002040016-n1.html
その駆動用モーター(トラクションモーター)の生産には、合計で5000億円の投資を行うと言う。工場は、大連、ポーランド、メキシコに作られると言う。新型コロナウィルスが猛威を振るっているので、中国の大連と言う場所には一寸気にはなるが、その責任者がこの関潤氏だ。
日本電産が車載モーターに5000億円投資、元日産COOが事業を統括へ
永守会長が明言
2020年01月24日 トピックス
永守氏(左)と関氏
日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は23日、都内で開いた説明会で、電気自動車(EV)など向けのトラクションモーターについて「大連、ポーランド、メキシコの工場に約5000億円の投資が必要」との見方を示した。2019年度からの7年間の合計額。「立ち上がるのは22年、23年からだが、組立工場だけでなく、部品工場なども造る」とした。
「既に入社してもらって、この下準備をしている」として、この事業統括に日産自動車を退社した元副最高執行責任者(COO)の関潤氏が指揮することも明らかにした。
5000億円の内訳は、組み立て設備に約2000億円、関連する部品に対して約3000億円とした。
同社のトラクションモーターの受注は好調で、永守会長は「受注見込みが1000万台を超えるのは、当初は20年7―9月期とみていたが、19年10―12月期で超えた」と述べた。
日刊工業新聞2020年1月24日
(続く)