世界自動車大戦争(76)

序に言うと、トヨタは既に199612に(パナソニックと)パナソニックEVエナジー(株)と言うHV車用の「ニッケル水素電池NiMH」を造る会社を稼働させている。199712月に「21世紀に間に合いました。」と発売された初代プリウスは、ここの「ニッケル水素電池」を搭載していた。20106PEVEプライムアースEV エナジー()へと社名を変えている。20111月からPHV用のリチウムイオン電池LiBの生産も始めているが、BEV用はこれよりも数十倍も高容量となるためここでは作られない様だ。

 

 

 

ニュース

トヨタパナソニック、車載用角型電池事業の合弁会社20年末までに設立へ

開発の加速、安定供給体制の確立、規模を生かしたコスト削減を狙う

2019/01/22 20:37 富岡 恒憲=日経 xTECH/日経Automotive

 

 トヨタ自動車パナソニック2019122日、車載用角型電池の開発・生産技術・製造・調達・受注・管理を一貫して受け持つ合弁会社を設立することで合意し、設立に向けた事業統合契約と合弁契約を締結したと発表した()。合弁会社には、トヨタからは電池セルの開発・生産技術領域の設備・人員、パナソニックからは車載用角型電池事業の開発・生産・製造・調達・受注・管理に関わる設備・人員・その他資産・負債などを移管する。移管する人員はトヨタが約500人、パナソニックが約3000人となる。

 

f:id:altairposeidon:20200220223655j:plain

左がパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社事業開発部部長の人見健氏、右がトヨタ自動車パワートレーンカンパニー主査の好田博昭氏
[画像のクリックで拡大表示]

 2020年末までに設立する。出資比率はトヨタ51%、パナソニック49合弁会社トヨタの子会社となる。事業の対象とする車載用角型電池は、リチウムイオン電池、全固体電池、および次世代電池で、それらのセルとモジュールを対象とする。製品は、原則としてパナソニックを通じて幅広い自動車メーカーへの販売を目指す。

 今回、合弁会社の合意に至ったのは、車載用電池には高い技術力が求められる上、安定供給能力の確保やリサイクルなど多岐にわたる対応が求められており、電池メーカーや自動車メーカーの単独の努力では解決が難しいため。トヨタからは、電動車のノウハウと市場データ、全固体電池などの先行技術、トヨタ流ものづくりを、パナソニックからは、高容量・高出力電池の技術、量産技術、国内外の顧客基盤を持ち寄り、開発を加速するとともに高品質・低コストの安定供給体制の確立と規模を生かした調達・製造コストの削減を図るという。

 同じ両社の合弁会社であるプライムアースEVエナジーPEVEは、車載用の角型のニッケル水素電池に加えて、ハイブリッド車HEV)向けにリチウムイオン電池も製造している。今回の合弁会社ではニッケル水素電池は扱わないことに加え、リチウムイオン電池については、PEVEHEV用の高出力タイプ、今回の合弁会社は電気自動車(EV)用の高容量タイプとすみ分けるという。

 また、車載用角型電池事業でパナソニックに残るのは、円筒形リチウムイオン電池の事業。さらに、車載用の円筒形と角型で共通の要素技術の研究・開発については、パナソニックに残す。

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/03919/?P=1

 

 

次に同じ内容の日経の記事を紹介しよう。こちらの方はやや柔らかい内容となっているが、日経xTECHの記事の方が深堀されているので、全貌がよくわかる。

 

 

 

トヨタ、EV挽回へ共闘 パナソニックと電池新会社
中国開拓、規格統一で主導権狙う

2019/1/22 23:20
日本経済新聞 電子版

 トヨタ自動車22日、パナソニックと電気自動車(EV)などの車載電池の新会社を2020年末までに設立すると発表した。ハイブリッド車(HV)などでは先行したトヨタが最も慎重だったのがEVで、電池の安定調達が課題だった。車載電池の技術を多くもつパナソニックと組むことでEVが急速に普及する中国市場を開拓するほか、電池の規格統一に向けて主導権を握る思惑もある。

 

 出資比率はトヨタ51パナソニック49研究開発から生産、調達まで一貫で手がける。新会社にはトヨタから約500人、パナソニックから約3000人が移る予定。外販に力を入れるため、新会社で生産する電池の販売はパナソニックが担う。同社は米テスラ向けを除く車載電池工場を新会社に移す。

 

 トヨタがEV電池会社を設立するのは、今後の収益のカギを握る世界最大の中国市場の開拓がある。EVが世界で普及するにはコストや航続距離、資源確保などの課題が多いとみていた。  

f:id:altairposeidon:20200220223804j:plain

 だが中国は19年から燃費規制に加え、EVや燃料電池車(FCV)などの一定の製造・販売を義務付ける。トヨタが得意とするHVは優遇の対象外だ。

 世界の自動車大手は中国でEVシフトを加速している。フォルクスワーゲン(VW)上海市で、年産能力30万台のEV専用工場を着工し、20年に稼働する。比亜迪(BYD)北京汽車集団は中国の補助金を追い風にEVの車種を広げる。

 トヨタ20年には独自開発のEVを出す計画だが、商品化や量産体制で遅れていた。パナソニックと組むことで、EV電池の標準化で主導権を握る狙いもある。

 パナソニックは車載用リチウムイオン電池(出荷量ベース)の世界シェアで17年に中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に首位を明け渡したが、世界2位の大手だ。NECなど日系電池メーカーは事業採算性の難しさから車載電池から相次ぎ撤退した。このなかパナソニックトヨタにはHV、テスラにはEVの車載電池をそれぞれ大量に供給し、量産技術を蓄積する。

 EVの航続距離を伸ばせる次世代の全固体電池なども開発する計画だ。車載電池で中韓勢が台頭するなか、EVの課題である航続距離を伸ばせる高容量電池などの分野では「パナソニックに一日の長がある」(みずほ銀行国際営業部の湯進主任研究員)。

 トヨタはEVの基盤技術で提携するマツダスズキSUBARU(スバル)など7社のほか、ホンダにも電池新会社からの供給を協議している。欧米メーカーにも採用を呼びかけ、規模によるコスト削減のほか、リユースやリサイクルをしやすいように電池パックの規格統一をめざす。

 電動車向け電池はサイズや仕様に明確な規格がない。トヨタパナソニックが共同生産する角形電池でも各社で仕様がバラバラのため、製造ラインなどの設備コストが高止まりしている。両社は汎用的に使える電池の開発を急ぎ、幅広い自動車メーカーの採用を通じて標準化に布石を打つ。

 世界でEVシフトが加速するなか、新会社は電池の競争力を高められればトヨタパナソニックの成長を後押しする。一方で、競争力を失えば大きな投資リスクを抱えることになる。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40321510S9A120C1EA1000/?n_cid=SPTMG002

 

 

 

パナソニックは、米ネバタ州にテスラとギガファクトリーを共同運営しているが、そこで作られている186502170と言った円筒形のリチウムイオン電池はすべてテスラに納入されているが、まだ採算ラインには載っていないようで、これ以上の投資にはなかなか踏み切れていないようだ。

 

そのためと言う訳でもないが、車載電池の採算性向上のためにも、トヨタと組むことが経営上のメリットが多いと踏んだわけだ。

 

(続く)