世界自動車大戦争(81)

と言うよりも、中国側からトヨタHVシステムを格安で使わせてほしい、と要請があったからの無償公開なのであろう。だから中国はHV優遇に舵を切ったとみえる。

 

 

 

中国、ハイブリッド車優遇に転換 トヨタなどに追い風
【イブニングスクープ】

2019/7/12 18:00
日本経済新聞 電子版

 【北京=多部田俊輔】中国政府はハイブリッド車(HV)を優遇する検討を始めた。ガソリン車と同等としてきたHVを「低燃費車」とみなし、普及支援に転じる。中国は今月、世界で最も厳しい基準とされる新たな排ガス規制を導入するなど大気汚染の解消自動車業界の構造改革を急ぐ。電気自動車(EV)の普及に限界があるなか、HVを含め環境対策を強化する。中国政府の方針転換はHVに強みを持つトヨタ自動車など日系メーカーの追い風となる。

 

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中国政府によるハイブリッド車(HV)などの低燃費車を優遇する方針は、トヨタ自動車などに追い風になる可能性がある(広東省広州市の販売店

イブニングスクープ

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 中国では2019に新エネルギー車を一定比率、生産することを義務付ける「NEV規制」が始まった。ガソリン車やディーゼル車などの製造販売台数を基準に、複雑なポイント制度で新エネ車の製造販売台数を算出する。自動車行政を担当する工業情報化省はこのほどその修正案を公表した。8月上旬までメーカーや専門家などの意見を聴取し、今年中の決定をめざす

 例えば、19年にガソリン車を100万台製造販売するメーカーについては、10%の10万ポイント分の新エネ車の製造販売を義務付ける。今回の修正案ではポイント算出時に低燃費車については0.2の係数をかける。これまではHVを年間100万台製造販売する場合、EVなら2万台を製造販売しなくてはならなかった。修正案では6000台で済む。

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 修正案では、ポイント算出で優遇するのは低燃費車と記載されており、HVと明記していない。ただ、中国メディアは低燃費車は燃費が良い上位5%の車種になる見通しとし、HVを持つ自動車大手に有利に働くと報じている。トヨタホンダにとっては追い風で、中国市場でHVが一気に広がる可能性がある。

 今回の修正案ではこれまでのEV重視から、水素を燃料に使う燃料電池車(FCV)の普及を目指す内容にもなっている。同分野で相次いで中国企業と提携しているトヨタの後押しにつながるとの見方も多い。

 また、新エネ車を規則よりも多く製造販売した場合は一定の条件をクリアすれば、翌年に持ち越せる内容も盛り込む。19年は10%、20年に12と決めた新エネ車の製造販売の義務付け台数を決める基準も、2123年に2%ずつ増やすなど規制を強化していく方向だ。

 今回の修正案は、深刻な大気汚染の改善や石油資源の有効活用をするのに、中国政府が低燃費で環境負荷が小さいHVを評価したことが背景にある。習近平(シー・ジンピン)最高指導部は18年に「青空を守るための戦いに勝利する3年行動計画」を策定。大気汚染が深刻な都市などを対象に排ガス規制を強化する。

 18年の中国の新車販売台数は世界1位で、米国の1.6倍、日本の5倍に相当する。25年には3500万台前後を見込む。今回の修正案がそのまま実施されれば、世界最大の中国市場でのHVの普及が進む

 電動車の中でもHVを「現実解」とし当面の主力と位置付けるトヨタには追い風だ。「燃費規制強化などを背景にもともとHVへの潜在ニーズは大きい」(トヨタ幹部)。新エネ車規制での優遇対象になれば、他の中国メーカーもHV生産を増やす可能性が高まる。

 トヨタ2018、中国で前年比14%増の149万台弱を販売した。「カローラ」など販売の1割強をHVが占め、20年をめどにHV比率を3割超まで引き上げる計画だ。

 中国では地場メーカー中心に燃費規制への対応が急務だ。トヨタは4月にHVの特許無償開放を発表しており、HVシステムの外販も強化する方針だ。HVの関連技術の提供でも商機があるとみている。

 また、中国政府が優遇する見通しの燃料電池車(FCV)でも、トヨタ北京汽車集団などと部品供給などで相次ぎ提携。最大の自動車市場である中国での展開を加速する。

 世界の主要国も自動車の環境規制を強めており、新エネ車規制と並んで「CAFE」と呼ばれる燃費規制への対応が喫緊の課題だ。自動車メーカー別に燃費の平均値を規制する方式で米国や欧州、中国では導入済みで日本でも20年から適用される。

 基準が最も厳しいといわれる欧州では、1キロメートル走行当たりの二酸化炭素(CO2)排出量の目標値を15年に平均130グラムと定め、21年には平均95グラムと、15年に比べ3割近く減らすよう求めている。達成できなければ罰金が科せられる。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47294650S9A710C1MM8000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

トヨタの電動化戦略の要は、あくまでもHVなのである。5年前倒しもHVが売れると見たからであり、EVがそれだけ売れるから前倒ししたわけではない。

 

EVは「見せ球」に過ぎない、と言う論稿を先に紹介した。

 

トヨタは少なくとも、中・大型のSUVタイプの)EVはそれほど普及はしないのではないか、と危惧している筈だ。何と言っても、中・大型のSUVとなると、大量のバッテリーが必要となり、そうすると重くて高価な車両となってしまうし、航続距離も満足のいくものではない筈だ。

 

これでは好き者には少しは売れるであろうが、流行らない。供給者としては、採算に乗せるのに相当苦労する筈だ。と言うよりも、採算には乗らないことは確かだ。

 

と、トヨタは考えている筈だ。では「見せ球」のEVをどのように工夫して商業化してゆくのか、と言う問題に悪戦苦痛した筈だ。

 

その答えが、小生は、「超小型EV」と「e-Palette」ではないかと推測している。


(続く)