世界自動車大戦争(89)

と言う訳で、話を元に戻すと、

 

簡単に言うと、中国は、たたでトヨタHV技術を手に入れることが出来た、と言う事だ。

 

中国の燃費規制のために、HVを優遇するとトヨタを(ある意味)騙して、HV特許を公開させたわけだ。公開させると、今度は、そのHVの優遇策を縮小すると言いだしたのだ。

 

しかも、2025年のNEV比率を20%から25%へ引き上げてしまったのだ。これではHV車優遇どころかある意味虐待である。HVを優遇すると言いながら、販売必要数のNEV車の台数を減らすどころか、+5%も上げてしまったのだ(20%→25%)。それだけEVなどを沢山売らなければならなくなってしまった、と言う事。トヨタが頑張ってそれだけNEVを売ってくれれば、北京の空は青くなる、と習近平は思っていると言う事だ。

 

(小生の理解では)トヨタは、踏んだり蹴ったりである。しかもNEV車である電気自動車・EVPHVを(FCVも)25%も、(製造)販売しなければならなくなってしまった訳だ。

 

これでHVのコスト低減が実現できなかったら、トヨタとしては、踏んだり蹴ったりである。

 

トヨタも、中国の甘い罠に嵌まってしまった、と言う事であろう。何人も中国の甘いささやきには、絶対にのらないことだ。中国と言う国は、全く信用が出来ない国と思って、付き合う事だ。トヨタも抜かったな、と言う事だ。

 

HVを安く売ってくれれば、最大限NEV規制に対して優遇しますよ、と言われたのではないのかな。優遇するにはするが、当初の目論見通りに優遇策ではなくなった、と言う事だ。

 

トヨタはあくまでも、何らかの危険回避策を講じておくべきであった。例えば、この程度の優遇策であれば、HV特許を「これこれしかじか」で使わせる、と言った条件を付ける、と言う事だ。

 

中国は、まんまと、トヨタHV技術をタダで手に入れた訳だ。手に入れた途端に、NEV規制を緩めるどころか強化してきた訳だ。

 

まあ、本当に、トヨタHV部品が売れてコストが下がればよいのだが、中国がそれらを国産化してしまえば、トヨタには一銭の徳にもならない訳だ。尤も特許公開の条件として、造ることはまかりならぬ、などの条件があれば別であるが。

 

とまあ、小生はこの動きに対して、こんな風に推論したわけだが、どんなものであろうか。賢明な読者諸氏のご意見を伺いたいものだ。

 

 

まあそうは言っても、中国ではCAFC(一般的にはCAFE)規制があるから、どうしても燃費を改善してゆかなければならない訳で、トヨタHV車(技術)は燃費低減のためにはどうしても必要となるものだ。ZEVNEVからは、HV車は外されてしまってはいるが、CAFEでは、当座どうしてもHVに頼らざるを得ないのだ。そのためにHVに頼りたくないEUではEVにシャカリキになっているのである。

 

そしてフランスとイギリスでは、2040にはICEV(Internal Combustion Engine Vehicle内燃機関自動車)の販売を禁止していることは、既に紹介しているのでご承知のことと思う。

 

フランス、「続続・次世代エコカー・本命は?(99)」(2017.8.19)を参照のこと。

イギリス、「続続・次世代エコカー・本命は?(102)」(2017.8.23)を参照のこと。

 

そのイギリスが、ICEVの販売禁止を5年も前出して2035にする、と言いだしたのだ。

 

先のフランスの2040年のICEVの禁止は、「パリ協定」をまとめ上げたフランスの意地が、言わしめたものであった。COP21の議長国であったフランスは、何とか「パリ協定」をまとめ上げた。地球の気温上昇を2℃未満に抑える、と言うものである。これを受けて目立ちたがり屋のマクロン大統領が、2017.7.7から始まる20カ国・地域(G20)首脳会議の直前に、自国の環境大臣に言わしめたものであった。そして、イギリスもそれに同調した、と言う訳である。

 

それが、今回これまた目立ちたがり屋のイギリスのボリス・ジョンソン(首相)が、5年も前出しすると言いだしたものだ。しかもHV車も禁止対象だと言う。これではCAFEどころではない。

 

これもCOP26がらみの演出だ。COP26は今年の11月にイギリスのグラスゴーで開かれる。その発足イベントの2020.2.4ボリス・ジョンソンがあいさつで述べたものだ。まあボリス・ジョンソンの暴走だ。何も具体策がある訳でもない。まあ環境対策は必須事項ではあるが、何らかの根回しは必要だったのでしょう。EUからの強引な離脱といい、5年前出しと言い、やることなすこと全くの向こう見ずだ。

 

 

英、ガソリン車販売禁止を35年に前倒し HVも対象に

2020/2/5 3:47
日本経済新聞 電子版

 

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気候変動対策の加速を呼びかけるジョンソン英首相(4日、ロンドン)=ロイター


【ロンドン=篠崎健太】英政府は2020.2月)4、ガソリン車とディーゼル車の英国内での新規販売を禁じる時期を従来計画から5年早め、2035年に前倒しする方針を表明した。新たにハイブリッド車HV)も禁止対象に加える。気候変動対策の目玉として、温暖化ガスを直接出さない電気自動車EV)の普及につなげたい考えだ。急激な電動化を迫られる自動車業界は反発している。

 

英政府は17、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を40年までに全面禁止する計画を打ち出した。19には英国の温暖化ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標を法律に明記した。より確実に達成に近づくため、EVシフトの加速が必要だと判断した。円滑に運べば、規制の導入を35年から前倒しする可能性もあると説明している。

英国では乗用車生産台数の5割近くを、日産自動車など日本のメーカーが担っている。規制の前倒しに加え、ガソリンと電気を併用するHVも禁止対象になることで、HVを得意としてきた日本勢はEV化対応の加速を迫られそうだ。

ジョンソン首相は4日、11月に英北部グラスゴーで開く第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の発足イベントであいさつし「我々は二酸化炭素CO2)排出に対処しなければならない」と強調した。自動車の電動化加速を自らの目玉策に掲げ、会議の主催国として積極的な気候変動対策を呼びかけたい考えだ。

自動車業界は新たな方針に反発している。英自動車工業会のマイク・ホーズ会長は「こ

した重大な問題で消費者と業界のゴールポストを政府が動かしたことは非常に懸念される」との声明を出した。「計画なき期限だ」と前倒しを批判した。HVなど現状の低排出技術にも配慮を求めた。

英国では19年の新車登録台数の9割をディーゼル車とガソリン車が占め、バッテリー電気自動車(BEV)は1.6%にとどまる。EV化には給電インフラの普及も課題となる。英政府は中長期の成長戦略としても自動車の電動化を重視しているが、約15年で新車市場を一新するには大胆な政策面での後押しが必要になりそうだ。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55265080V00C20A2000000/?n_cid=NMAIL006_20200205_A

 

 

 

このボリス・ジョンソンは、イギリス王室に通じる家系の人物だと言うが、馬鹿ではないかい、こんなことを本当にやろうとしているとしたら、真正の馬鹿である。



(続く)