念のためもう一つ、3年ほど前のモノで一寸古いが、その論考を載せておきます。
2017年07月15日09:00
EVはハイブリッド車よりCO2が多い
EVは今の所火力発電で充電しているので、排出するCO2はHV車より多い
引用:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d9/JR_East_Kawasaki_thermal_power_plant_20101110.jpg/640px-JR_East_Kawasaki_thermal_power_plant_20101110.jpg
今は環境に役立っていない
最近先進国や自動車メーカーでEV(電気自動車)を急速に普及させるという発表が相次ぎました。
フランスは2040年にガソリン車販売を廃止するそうだし、ボルボは2018年から新型車をEVに切り替える。
そして欧州は燃費と排ガス規制を強化し、2020年ごろから従来型ガソリン車やディーゼル車を販売できなくなる。
だがこうした計画を発表するときに、EVの効果を大げさに言ったり、酷い例ではまるっきりの嘘を並べていた人も居た。
現状を整理するとまず最もEV普及が進んでいる国(中国や北欧)ですら1%に過ぎず、しかもEVはCO2削減に役立っていない。
EVは将来CO2の削減に役立つだろうが、現在はまだ役に立っていないのです。
それはこういう仕組みで、EVのエネルギー効率は約40%で、PHVではない普通のハイブリッドは約30%です。
EVそのものの効率は80%ですが何らかの燃料を発電所で燃やして、充電して走ると結局40%になります。
EVの充電は電気料金が安い夜間に行われるので、太陽光発電ではなく、ほぼ火力発電から充電されます。
するとCO2排出量としては、夜間の火力発電(と水力)のみとすると、HVよりEVが特に少なくはないです。
今後日本で原発が大量に再稼動すればEVが有利になるでしょうが、今は環境に役立っていません。
アメリカでも同様で、WSJによると全米のほとんどの州で、夜間の火力電力で走るEVは普通のHVより多くのCO2を排出している。
EV転換には膨大な発電能力が必要
夜間に太陽光発電はできないので、大量のEVを走らせるには結局、原発を大量に建設して稼動させるしかありません。
すべての自動車をEVにすると年間発電量の10%が必要で、この数字は一見すると「案外少ない」と感じます。
だが連休前の金曜の夜に8000万台のEVが一斉に充電したらどうなるか、間違いなく日本の電力網は電力不足に陥ります。
多くのEVが同時に充電しても不安がないようにするには、原発数十基が新たに必要になります。
EUではすべての自動車がEVになると、原発150基が新たに必要になると計算しています。
ガソリン車をEVにするには、ただ補助金をつけてEVを売りまくってもダメなのだという事が、分かると思います。
EVのもう一つの問題はその補助金で、現在世界のEVは価格の3分の1もの補助金を政府が支給しています。
あるいは補助金の変わりに税金を免除したり、購入者がガソリン車との差額を負担しなくても良いようにして販売しています。
この補助金がなくなったら、EVはユーザーにとって何のメリットも無くなり、おそらく誰も買わなくなります。
年間1万台なら政府は喜んで補助金を1台100万円出しますが、販売数が10万台や100万台になっても補助金を続けるでしょうか?
こんな事はできっこないので、販売数が増えたらEV補助金は廃止されます。
補助金が廃止された場合、ガソリン価格が過去最高値の数倍にならない限り、2040年にすべてEV転換など夢物語だと分かる。
EVの値段はHVより高く、バッテリはエンジンより高価で寿命が短く、数年で交換する必要がある。
そして充電は面倒くさく、購入した人にメリットが感じられない。
EV普及は簡単に解決できない問題が多く、それを一つ一つ解決していくしかない。
http://www.thutmosev.com/archives/71775070.html
こういうことを知ると、如何にボリス・ジョンソンが真正の馬鹿であることがわかるでしょう。大英帝国も落ちたものだ。まあEUも同じような考えの様だが、単なる客寄せ発言でしかないのである。
いくらCOP26が開かれるからと言って、政治家は、いやしくもそれなりに真実に基づいた発言が必要なのであり、民衆を煽るだけの体たらくではいけないのである。
(続く)