界自動車大戦争(115)

トヨタと日野、燃料電池大型トラックの共同開発を推進

エボル

2020/03/31 15:55



トヨタ自動車日野自動車はこのほど、燃料電池大型トラック共同開発し、今後、走行実証などを通じて実用化に向けた取り組みを進める、と発表した。

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共同開発する燃料電池大型トラックの車両イメージ   

両社は、地球環境問題を重要な経営課題の一つとして位置づけ、積極的に取り組んでいる。両社とも、2050年までに走行中CO2排出量の大幅削減を掲げ、電動車の技術開発と普及促進に尽力。今後、さらなるCO2排出量の削減を実現するためには、国内商用車全体のCO2排出量の6を占める大型トラックの環境性能の大幅な向上が必須となるという。

商用車の電動化においては高い環境性能はもちろん、事業に使う車両としての実用性が求められるため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレインを採用していくことが重要となる。幹線輸送に使われる大型トラックには十分な航続距離積載量、そして短時間での燃料供給が求められるため、両社はエネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池車が有効であると考えているという。

共同開発する燃料電池大型トラックは、日野の大型トラック「日野プロフィア」をベースに、両社が培ってきた技術を最大限に活かして開発。シャシは燃料電池車に最適なパッケージングを専用設計し、徹底した軽量化により十分な積載量の確保を目指す。パワートレインにはトヨタ次期「MIRAI」用に新開発されるトヨタFCスタック2基搭載し、日野の強みである大型車ハイブリッド技術を応用した車両走行制御を組み合わせる。航続距離は600kmを目標とし、環境性能と商用車としての実用性を高次元で両立することを目指している。

両社は、水素を将来の有力なエネルギーと位置づけており、2003燃料電池バスの共同実証から15年以上にわたり、燃料電池商用車の技術開発および普及促進に努めてきている。今後さらに関係を強固にし、水素社会の実現に向けて取り組みを加速していく、としている。



https://news.mynavi.jp/article/20200331-1007570/

 

この共同開発のFCトラックは新型ミライのFCスタックを2基搭載し、600kmも走ると言う。トヨタや日野にすれば600kmではやや不満だと思うが、先ずは実際に商用車として使われることが最優先である。いつ発売されるのかはわからないが、環境対策車として期待しておこう。
燃料電池車と電気自動車に関しては、燃費・電費の性能が注目されるところであり、いわゆる航続距離が何キロだとか言った表現が、現在は普通である。
乗用車であれトラックであれ、燃料電池車であれば、水素1kg当たり何km走るのかは性能評価として注目したいところである。
電気自動車であれば、先ず何km走行できるのかに注目が集まる。
日産のリーフは40kWhの電池で(カタログ値では)400kmの走行距離となっているが、米国では240kmがカタログ値の走行距離であり、実用距離は200km程度だと言う。(2020.3.13NO.91参照のこと。)
従って比較するには、ある基準に則って燃費・電費を測定できることが必要となってくる。
この度、いわゆるWLTPモードによる燃費・電費の測定が義務付けられるようになるようだ。そうすれば公平な比較ができることになる。
燃料電池車とEVに燃費・電費測定を義務付け WLTP方式

202043日(金)1630

トヨタのFCV、MIRAI(参考画像)
ミライ1517573

国土交通省は、道路運送車両の保安基準を改正し、燃料電池車や電気自動車について国際基準(WLTP)に基づく燃費・電費測定を義務付けると発表した。

燃料電池車はこれまで、燃費の計測が義務付けられていなかったが、20196月の国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第178回会合で燃費試験法の国際基準(WLTP)の改正が採択された。これを踏まえて今後販売される燃料電池車は、WLTPによる水素の燃費(km/kg測定を義務付ける

これによって水素の燃費が燃料電池車の諸元表に記載されることになり、燃料電池車同士で国際基準によって環境性能を比較することが可能となり、環境性能の高い燃料電池車を選択できるようになる。

また、2030年度乗用車燃費基準で燃費測定法についてはWLTCモード法を採用した。これを受けて従来、JC08モード法での計測も許容されていた電気自動車の電費(Wh/km)についても、ガソリン乗用車と同様、WLTPで測定することを義務付ける。

41日に公布・施行した。

   《レスポンス編集部》

https://response.jp/article/2020/04/03/333278.html

燃料電池車や電気自動車について国際基準(WLTP)に基づく燃費・電費測定を義務付けられれば、FCVEVの性能比較が容易に出来るようになり、環境対策車・ZEVも本格的な優勝劣敗の世の中に入ってゆくことになる。

 

現在はまだZEV車がそれほど多く巷を走っているわけではないが、クルマ社会を享受しているクルマメーカーとしては、早々に社会的責任を果たしてゆく必要がある訳である。

 

昨年のTMSでは、電気自動車が各社から発表・展示されているのは、こんな社会情勢を睨んだ結果なのであろう。乗用車に限らず、トラックやバスにもZEV車が登場してきたことは、環境社会の構築に対して非情に有意義な事である。

 

CO2が年々増加している現状を鑑み、いち早くZEV車が多く巷を走らんことを祈念して、このテーマは終了としたい。長いことお付き合いいただき、感謝する次第です。

(終わり)