日本人のルーツは縄文人だ、渡来人はない。(50)

さて、日本の旧石器時代の遺跡は万箇所以上あると言われているが、どうも原人や旧人の化石は見つかっていないようだ。嘗て明石原人のが発見されたなどと言われていたが、今では否定されているようだ(P111)。

 

原人の頭骨は、言ってみれば、ラグビーボールを長手方向で半分にカットしたような形で、前後に長いが、新人の頭骨は丸くバレーボールを半分にカットしたような形である。その違いは見ればすぐわかる。

 

また、原人や旧人が作ったハンドアックスと呼ばれる大型の石器は、日本ではなかなか見つからないようで、原人や旧人は居てもわずかだったのではないかと書かれている(P113)。

 

しかし3万8000年前以降になると、旧石器時代ホモ・サピエンスの遺跡は急速に増えてくるのである。

 

このような旧石器時代の遺跡の中で、3万8000年~3万7000年前の遺跡として、この書では次の三つの遺跡を上げている

 

(1) 熊本県石の本遺跡群の8区と54/55

 

(2) 静岡県井出丸山遺跡、この遺跡からは神津島で採取された黒曜石が見つかっている。

 

(3) 長野県の貫ノ木遺跡

 

また東京の武蔵野台地国分寺市から杉並区に至る台地)には、旧石器時代の遺跡が密集しているという。

 

それは3万年前の鹿児島湾の姶良カルデラを作った巨大火山のテフラ(軽石や火山灰の層)のかなり下から見つかっているのである。

 

この武蔵野台地の地層は、およそ10層に積み重なっているようで、2層は弥生・縄文の黒っぽい地層で、3層以下が赤みを帯びたローム層だと記述されている(P116)。

 

姶良カルデラのテフラ層は6層からであり、旧石器時代の石器などはこの下の層から10層まで途切れなく見つかると言う。この最後の10層の年代は、3万5000年前頃のようだ。

 

だから武蔵野台地へは、この頃にホモ・サピエンスがやって来たのであろう。

 

 

ごく最近のニュースとしては、京都府京丹後市日本海側の都市)の上野遺跡で、約3万6000年前の後期旧石器時代の石器が発見されている。

 

先ずは石器の写真のある静岡新聞の記事から。

 

 

 

 

京都府京丹後市で後期旧石器発見 3万6千年前と推定、隠岐石材も

2020/9/17 19:06

 

京都府京丹後市の上野遺跡から出土した台形石器(左)と黒曜石=17日 
京都府京丹後市の上野遺跡から出土した台形石器(左)と黒曜石=17日

 京都府京丹後市上野遺跡で後期旧石器時代の石器152点が見つかり、京都府埋蔵文化財調査研究センターが17日、発表した。石器の特徴や地層などから遺跡は約3万6千年前と推定され、後期旧石器時代では最古級という。
 約3万年前の姶良カルデラ(鹿児島県)の噴火でできた火山灰層と、約6万年前の大山(鳥取県)の噴火に伴ってできた軽石層の間から出土。台形石器と呼ばれる狩猟道具の一部や、獣の解体に用いる石器も見つかった。台形石器を中心とした国内の遺跡は約3万4千~3万8千年前であることから、中間値として3万6千年前と推定した。島根県隠岐諸島産の黒曜石も5点出土した。

 

https://www.at-s.com/news/article/culture/national/809720.html

 

 

そして産経新聞の記事が詳しいので、ご一読を。

 

 

京丹後に京都最古の遺跡 上野遺跡、3万6千年前の石器群

2020.9.18 07:06 地方 京都

 

 ■後期旧石器時代前半、狩猟のキャンプ地か

 

 京都府埋蔵文化財調査研究センター(向日市寺戸町)は17日、京丹後市上野遺跡(同市丹後町)の発掘調査で、府最古となる後期旧石器時代前半(約3万6千年前)の石器群が出土したと発表した。同研究センターは「後期旧石器時代前半の石器人の活動が、京都でもあったことを明らかにする大きな成果」としている。

 

 同遺跡の発掘調査は平成29年から3回実施。2回目の調査で約3万年前の地層から数点の石器が出土したことから、3回目となる今回は石器の出土した地域を中心に調査(令和元年8月~同12月)を進めていた。

 

 今回の調査では計152点の石器が出土。約3万6千年前のものとされる台形石器などが見つかったことから、後期旧石器時代前半の遺跡と結論付けた。これまで府内最古の遺跡は、後期旧石器時代後半(約2万7千年前)の硲(はざま)遺跡(長岡京市とされてきた。

 

 同センターによると、遺跡内には道具の一部として使われた石器が多く、石器を作った形跡があまりないことなどから、同地域が「狩猟の移動にともなう一時的なキャンプ地だった」と推測されるという。

 

 石器の中には島根県隠岐諸島産の黒曜石も含まれており、同センター参事の中川和哉さん(59)は「旧石器人が海を挟んで、広範囲に交流していた可能性もある」としている。

 

 今回出土した石器は18~22日の午前9時半~午後4時、丹後古代の里資料館(京丹後市丹後町)で展示される。問い合わせは同館(0772・75・2431)。

 

https://www.sankei.com/region/news/200918/rgn2009180032-n1.html

(続く)