日本のご皇室と英国王室(43)

周囲が明かす「冷たい女」「野心家」という評価

メーガン妃は子どもの頃から、白人と黒人の混血として生まれたことに対する葛藤があったようだ。こんなエピソードが『ヘンリー王子とメーガン妃』のなかにある。

メーガン妃が7歳の頃、クリスマスプレゼントにバービー人形のファミリーセットが欲しいと思っていた。だが、売っているのはすべてが白人家族か、もしくはすべてが黒人家族のもので、彼女の家のような混血の家族のものはなかった。

当日、彼女が父親からもらったのは白人の父、黒人の母、黒人と白人の子どものいるセットだった。父親が2セット買って組み合わせたものだったという。彼女にとって人種差別問題は原点であり、王室で子どもの肌の色についてとやかくいわれたことは、死ぬほど辛いことだったのだろう。

メディアは、彼女の両親が離婚していることや、彼女自身も離婚歴があり、わずか2年足らずで別れたことなどを書き立てたため、当初、英国民の反発は大きかった。

また、メーガンは「冷たい女」だという身内や親友たちの評価が付きまとう。17歳上の異母姉は彼女のことを「薄っぺらな成り上がり者」「野心家」と口を極めて罵倒し、メーガンの暴露本まで執筆していたという。

異母兄も、結婚式の2週間前にヘンリー王子に手紙を送り、「メーガンとの結婚をキャンセルしたほうがいい」という主旨のことを書いたそうだ。

かつては親友だった女性は、「メーガンは人との付き合いをとても計算していて、戦略的でした。ある人が自分の人生に必要ないと思ったら、簡単に切り捨てるんです」と語っている(『ヘンリー王子とメーガン妃』より)。

異例ずくめの王室生活では気苦労も

最初のメーガンの結婚式に出席した友人たちも、その多くは、彼女と口もきかなくなっているという。

カナダ人のシェフと真剣交際していたが、ヘンリーと出会ったメーガンは彼氏をあっさり捨てたといわれているそうだ。

英国紙「デイリー・ミラー」は結婚式のわずか3週間前に、「過去を消すタイプの人物は、今後も同じことをするものだ」と、ヘンリー王子が同じような目に遭わないかと心配する記事を出した。

ヘンリーとメーガンの結婚式も異例ずくめだった。兄のウィリアムたちが行ったウエストミンスター寺院ではなく、セント・ジョージ礼拝堂という小さなところを選んだ。

メーガンは式には母親以外の親族を一人も招待しなかった。ジョージ・クルーニー夫妻やセリーナ・ウィリアムズなど、女優として有名になってから友人になった「有名人」ばかりだったようだ。



説教に立ったのはアメリカ聖公会の黒人大主教で、公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キングの言葉から始まった。

説教が終わって礼拝堂に流れたのは、アメリカの黒人ソウルシンガー、ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」だった。

独特で、多様性のある結婚式を行ったメーガン妃に、メディアや国民はおおむね好意的だったといわれるが、一部には強い反発もあったようである。

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 写真はイメージです 

人目を憚らず夫と手をつなぐ、公務の際にジーンズをはく、車から降りて自分でドアを閉めるなど、「英王室ではマナー違反」だという声もあり、メーガン妃にとっては何かと気苦労の多い生活が始まった。

「離脱したい」女王の返答は厳しいものだった

メーガン妃は結婚する前、ヘンリー王子と2人で「世界を変える」と、周囲に語っていたという。

そのためにはまず、古い因習にがんじがらめになっている王室を変えようと考えたのかもしれないが、そのことにより、彼女は追い詰められていくのである。

結婚後はウィンザー城からほど近い場所に引っ越し、3億円以上かけて改修した。衣装代には年7000万円以上をかけた。出産も皇室が使うセント・メアリー病院ではなく、高額なポートランド病院だった。

さらに、毎年エリザベス女王の家族が集うのがしきたりになっている2019年のクリスマス礼拝に、カナダで休暇を取っていて参列しなかった。

その10日後、エリザベス女王は、「ヘンリーとメーガンは、2020年春以降、殿下、妃殿下の称号を返上して、一切の公務から退け」と、きっぱりといい渡したのである。

公務ができなければ、公的資金も受け取ることができなくなる。

厳しい決断だが、『ヘンリー王子とメーガン妃』の亀甲は、「セレブ気取り、浪費ぶりが目についていたメーガン妃の振る舞いは、エリザベス女王が長年苦心して築き上げたイギリス王室にとって『蟻の一穴』となる可能性は大いにあった。女王は王室の将来を考え、2人を切り離すと決めたのではないだろうか」と推測している。

転機を迎えている2つの“ロイヤルファミリー”

そして、ロイヤルウエディングからわずか1年半後の20201に、2人は「主要な王族の地位から退く」と“王室離脱宣言”したのである。しかもこのことはエリザベス女王チャールズ皇太子には相談せずに行われたといわれる。

2人はカリフォルニア州サンタバーバラ郡に、16億円といわれる豪邸を購入して暮らしている(ヘンリーは、母親のダイアナ元皇太子妃の遺産がなかったらこうしたことはできなかったと語っている)。



そして今年の3月、テレビのインタビュー番組に2人で出て、冒頭の発言をするのである。

長男のアーチーが生まれる前に、子どもの肌の色への懸念に加えて、「子どもには警護が与えられず、称号も与えられないだろう」といわれたというのだ。

これが事実なら、エリザベス女王を含めた英王室の人種に対する偏見は、メーガン妃にとって許しがたいものだったことは理解できる。たった一人の女性の行動と決断が、1000年以上続いてきた王室を根底から揺さぶっているのである。

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翻って、日本の皇室も転機を迎えているように、私は思う。その一つが秋篠宮眞子さんと小室圭の結婚問題であろう。


(続く)