日本のご皇室と英国王室(46)

旧宮家の方は時間をかけて馴染む

 女性宮家の創設にも、私は反対です。なぜなら、女性宮家から女系天皇につながる可能性が大いにあるからです。先程も少し別の形で触れましたが、愛子さまが結婚なさっても降嫁せず、女性宮家をお作りになり、やがてお子様が生まれます。玉のような賢い男の子だったとします。するとやはり「次は、あの方でいいのではないか」という議論が起こるでしょう。お顔を見たら可愛いとか、利発そうだとか国民の心も動かされると思います。

 とはいえ、現在の皇位継承有資格者は、秋篠宮さまと悠仁さま、常陸宮さまの3人だけですから、この先大丈夫なのかという心配はもっともです。皇族の方々の数をふやし悠仁さまをはじめ、現在の皇室を支えていく体勢作りが必要です。

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秋篠宮ご夫妻と悠仁さま ©JMPA

 日本には、GHQによって無理やり臣籍降下させられた11宮家の人たちがいらっしゃいます。中には絶えてしまったお家もありますが、きちんとした生活を維持して、男系男子をたくさんお産みになっていらっしゃるお家もあります。

 日本が戦争に負けたという政治的な理由だけで、皇族であることをおやめなさいといわれた人たちですが、お血筋はきちんとつながっています。皇族にお戻りいただくことに、何の問題もないはずです。

「戦後70年も俗世にまみれた人たちが、今さら皇籍に?」という反対意見も聞きます。まず誤解があるのは、臣籍降下させられて今は民間にいらっしゃる元皇族の方々が皇籍に復帰するとしても、この世代の方々は決して天皇にはならないことです。なぜなら、悠仁さまが即位されて崩御なさるまで、少なく見ても今から7080年はあるでしょう。2世代半から3世代に匹敵する時間です。悠仁さまのご成婚があり、男子がお生まれになれば、その方がお継ぎになるわけですから、百年先までも現在の皇統が続く可能性が高いのです。

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昭和天皇マッカーサー 

 皇族に復帰なさった旧宮家の方たちがお役に立つときが来るとしたら、悠仁さまに男のお子様が生まれない場合でしょう。それはずっと先のことで、この方々はその間に皇族として国民である私たちに馴染んでいかれるはずです。

 統計学的に見て、天皇家以外に4宮家があれば、男系男子でつないでいくことが可能だそうです。4宮家に皇籍復帰していただければ、男系男子を保つことが可能になります。お子様がいらっしゃらない宮家や断絶しそうな宮家の家族養子となって継ぐこともひとつの方法です。あるいは生まれたばかりの赤ちゃんを宮家にお預けして皇族として育てるとか、いろいろな方法があるはずです。

 絶対に男子を産まなければいけないというプレッシャーの中、悠仁さまに嫁ぎたいと思う女性が現れるのかという危惧に対しても、4宮家が後ろに控えていれば、安心は増すことでしょう。





堂々と王道をいけばいい

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©文藝春秋

 現在の天皇家をさかのぼると、第119代の光格天皇が即位するとき、皇統断絶の危機がありました。急逝した後桃園天皇に、幼い内親王しかいらっしゃらなかったからです。傍系の血筋を引いている方を探し、幾世代もさかのぼって探しましたので、手間取りました。空位を避けるために崩御を伏せ、ようやく見つけたこの方を後桃園天皇の養子にして践祚させるという段取りを経た後、初めて天皇崩御を公表したのです。

 神武天皇以来、2千数百年の歴史を男系男子でつなぐためには、さまざまな危機がありました。それでも、民族の知恵で私たちは乗り越えてきたわけです。その結果が、国民皆が受け入れている、今の私たちの皇室です。

 現在の皇室は、光格天皇のときよりずっと恵まれていると思います。悠仁さまがいらっしゃるからです。このままご健康に成人なさって、結婚なされるのをあたたかくお見守りするのが、私たちの責任です。

 皇統の問題に関しては打算も利害もなく、誰もが善意で意見を言います。そのとき深く考えたいものです。そして気づきたいものです。女系を主張すれば廃嫡を意味するということに。女性天皇を認めれば、女系も認めざるを得なくなるということに。それは、今の日本国の天皇の在り方とは本質的に異なる天皇が誕生することを意味し、これから何百年も皇室を存続させることは非常に難しくなると思います。

 間違った方向へいかないためには、中途半端はやめて、すなおに男系男子の天皇に限るほうがいいのです。日本の伝統を守るには、堂々と王道をいけばいいと思います

 皇籍復帰するかもしれない旧宮家の方々には、改めてお覚悟を持っていただく必要があります。私たち国民も日本の長く深い伝統を踏まえて、日本国の在り方の基本を大切にする覚悟を持ち、努力したいものですね。大切なことは、ずっと昔からの伝統に基づいて、また憲法にも皇室典範にも明記されている男系男子の方針を堅持するという最も大切なことを守り通すことです。



https://bunshun.jp/articles/-/15727?page=4





最後に皇族の教育の在り方を論じている論考を参考に供しておこう。


(続く)