トヨタはオリンピックを「利用せず」! パートナー企業なのにディーラーが「らしさ」ゼロなワケ
2011/8/11(水) 18:01
コロナ禍や半導体不足が目立つ自動車業界だが、トヨタは意外にも大きな影響を受けていない。そんなトヨタは、東京オリンピックでは公式スポンサーまでもやっている。
もしもコロナ禍でなかったらトヨタはどうしていたのか……
8月2日に自販連(日本自動車販売協会連合会)、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)それぞれから登録車、軽四輪車の2021年7月単月の新車販売台数が発表となった。登録乗用車の販売台数は21万2707台(前年比102.5%)、軽四輪乗用車の販売台数は(速報値)9万6756台(前年比78.5%)となった。登録乗用車と軽四輪乗用車を合算した数値をコロナ禍前となる2019年7月と比較すると約81%となった。2021年7月単月において登録乗用車は前年比で100%超えはしたものの、軽四輪乗用車は前年を割り込んでいる。
新車販売市場は相変わらず活況を呈しているのだが、半導体の供給不足が影響しているものと考えられる。登録車では販売トップのトヨタはカーナビなどの周辺機器については半導体不足の影響を受けているものの、車両自体については大きな影響を受けていない。
軽自動車では、ダイハツと販売台数競争を日夜展開しているスズキをはじめ、車両供給も含めて影響が顕在化していることがあるようだ。ここのところは軽自動車総販売台数ではダイハツがトップなのだが、軽四輪乗用車ではスズキがトップとなっていたが、2021年6月からはダイハツに軽四輪乗用車販売でも抜かれるようになっており、スズキのほうがより半導体不足の影響が大きいようだ。 ところで、今年の7月は23日から東京2020(東京オリンピック&パラリンピック)が開会した(閉会は8月8日)。オリンピックの影響は新車販売活動に出ているのかと考え、ディーラーに聞いてみると「とくに何か特別影響があったわけでもなく、いつも通りです」とのこと。テレビ放送はいつにも増して連日オリンピック一色だが、コロナ禍でしかも感染者が爆発的に増えているなかでは、オリンピックに対してそこまで世の中には高揚感は流れていないようだ。ちなみに訪れたディーラーのショールームにある点検・整備を待っているコーナーのテレビはオリンピック中継が流れていた(地上波だとほとんどオリンピック中継ばかりしかやっていないから仕方ない?)。
トヨタはオリンピックのパートナー企業なのに装飾すらない!
国内販売トップのトヨタはオリンピックの最高位スポンサー(ワールドワイド・パートナー)であるが、東京2020開会直前に東京2020に関するテレビCMを国内ではオンエアしないことを明らかにしたのはみなさんも承知のとおり。また豊田章男社長はじめトヨタ関係者は開会式にも出席していない。 本来なら、全国のトヨタ系ディーラーには東京2020関係の店内装飾などで華やかになっていると思いながら、7月上旬にあるトヨタ系ディーラーを訪れた時にはオリンピック関係の店内装飾はいっさいなく、「とくに東京2020絡みで何かやるとは聞いていない」とのことであった(コロナ禍ということもあり自粛したのかもしれない)。
ただ、大会公式スポンサーである某証券会社の、とある地域の店舗では、大会公式マスコット(青いほうが“ミライトワ”、ピンクのほうが“ソメティ”という名前なのを本稿執筆のため調べて初めて知った)の大判ステッカーがショーウインドウに貼ってあったが、トヨタ系ディーラーでは東京2020絡みの店内装飾はいっさいなかった。 東京2020が始まってから、別のトヨタ系ディーラーを訪れると、やはり東京2020絡みの装飾はなかった。しかし、店内に案内され商談テーブルに座ると、カタログとともにあるトヨタのロゴの入ったグッズが手渡された。赤いタオル地のものが丸められていたのだが、後で広げてみるとそれはタオルで、大きな日本地図には東京2020の聖火リレーの簡略コース図が描かれていた。 店頭で渡された時に、「これはもしかしてオリンピック関連のグッズなんですか?」と聞くと、「結構レアものかもしれませんよ」とのことであった。トヨタディーラーの店頭で、トヨタのロゴの入った東京2020関連グッズをもらったのは筆者としては初めてであった。聖火リレーのタオルなので本大会とは別扱いなのかもしれないし、聖火リレー実施の時には沿道のひとに配布していたのかもしれないが、最高位スポンサーであるトヨタの系列ディーラーにおいて、初めてそれを再認識した瞬間であった。
新型コロナウイルス感染拡大がなく(原則新車ディーラーは積極的な店頭誘致活動は感染拡大防止の観点から自粛している)、そして組織委員会などによる一連の“騒動“もなかったなかで東京2020が開催されたのならば、トヨタは系列ディーラーにおいて、どれだけ賑やかに東京2020関連の装飾をショールームに施したり、関連グッズを用意しただろうか、それとも現状みたいに何もしなかったのか(それはないだろう)。もらった赤いタオルを見て筆者の頭の中はさまざまな思いが駆け巡った。
前之橋三郎
https://news.yahoo.co.jp/articles/f131cd1258848236afb84ccc776b1d922a0e3349?page=1
トヨタのホームページを見ると、「東京五輪オリ・パラをモビリティとTPSでサポートする」と書かれていた。
しかも日付は、2018年07月23日であった。かなり古い。
その骨子は、次の3つである。
(1) Mobility for All
(2) H2による環境・安全
(3) TPSによる大会関係者輸送支援
しかし東京五輪2020は、2020.3.24にIOCと日本政府・JOCが1年延期を決め、3.30のIOC臨時理事会で正式に1年延期が決まっている。(2020.7.24開会式→2021.7.23開会式、名称はそのまま東京五輪2020)
その原因は中国武漢・新型コロナウイルスの蔓延のためであり、発生元の中国武漢病毒研究所の研究チームは既に2019.3月に「新型コロナウイルスのパンデミック」を論文で指摘していたのであり、2019.9.18の中国での「世界軍人スポーツ大会」では新型コロナウイルスの流行が問題視されていたから、このことは2019年にはトヨタも知っていた筈ではないのかな。
そのために2020.3月には東京五輪が1年延期となってしまった訳で、必然的にコロナ対策がオリンピック実行のためには最重要課題となった訳である。だから「Mobility for All」を重要テーマとしているからには、コロナ対策にも言及しておくべきではなかったかな。
「環境・安全」も重要テーマなっているからには、尚更である。
例えば、
(4) 輸送支援やモビリティにおけるトヨタのコロナ対策
(続く)