東京五輪2021、成功するか?(41)

一つ重要なことを指摘しておこう。それは馬韓国の台頭である。G7のメンバーが日本から韓国に代わる可能性がある、と言うものである。

 

このことは、安倍晋三菅義偉に責任がある、と言われても仕方がないことである。

 

日本の就業者一人当たりのGDPが、あの馬韓国に2019

年で抜かれてしまったと言うことである。日本の労働生産性が、あの馬韓国よりも低い、と言うことである。

アベノミクスとはやされたが、実質経済成長は進んでいなかった、と言うことではないのかな。

 

 

 

G7メンバーが日本から韓国に代わる日が来る?

野口悠紀雄:一橋大学名誉教授

連載 野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

2021.8.26 4:15        

 

Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:PIXTA 

 

生産性で韓国に抜かれた

2018年に並ばれ19年に逆転

 OECD(経済開発協力機構)によると、日本と韓国の就業者1人当たりGDP国内総生産)は、2019年に韓国に抜かれた

 

 就業者1人当たりGDPは、「労働生産性」と呼ばれる。この指標で日本はすでに韓国に抜かれているわけだ。日本は2017年ではまだ韓国より高かったが、18年でほぼ等しくなった。そして、19年で逆転が起きたのだ。

 

 日本の生産性はG7の中では最下位だ。そして、OECDの平均より13%ほど低い。

 

 韓国はG7入りを熱望していると言われる。

 

 想像もしたくないことだが、日本がG7から追い出され、韓国がその代わりに入っても文句は言えない状態になりつつある。

 

 労働生産性2013年には、韓国より9%ほど高かった。ところが、アベノミクスの期間である13年から19年の間に、日本の値は下落したのだ。一方、韓国の値は上昇を続けたので、逆転現象が起きた。

 

f:id:altairposeidon:20210909155018j:plain

 労働生産性の水準が低く、しかも成長率が低迷していることは、日本経済の根幹に重大な問題があることを示している。

 

 アベノミクスで成長戦略が「第3の矢」と言われた。しかし、掛け声だけで日本経済が抱える最も深刻な問題を解決することはできなかったのだ。

 

 労働生産性の低下を反映して日本の実質賃金は低下を続けている。毎月勤労統計調査の実質賃金指数の推移を見ると、2000年に112.4だったものが、13年には103.6となり、20年には98.6になった(現金給与総額、事業所規模5人以上)。

 

(注1GDPなどの国際比較にあたっては、異なる通貨間の換算レートをどのように選ぶかによって結果は異なる値となる。日本と韓国の1人当たりGDPや生産性はかなり接近した値なので、換算レートの違いによって順位は微妙に異なる。図表1OECDデータは「2015年基準の購買力平価による米ドル」を用いている。これは、2015年時点と同じ購買力を持つように為替レートが変化した場合の値だ。15年から19年までの間に、日本の賃金は上昇せず、他方でアメリカの物価が上昇した。したがって、購買力を維持するには、円が増価しなければならない。

 

中国の驚くべき成長

就業者1当たりGDP98年の30

 他方で、中国の生産性は驚くべき勢いで上昇している。

 

 1998年には、中国の就業者1人当たりGDP5401ドルで、日本の67627ドルの約8%でしかなかった。比較にもならないほどの違いだったのだ。

 

 しかし、2019年には3532ドルと1998年の30倍になっており、日本の78293ドルの約4割の水準にまでなっている。

 都市部の労働者だけを比較すれば、日本とあまり違わない水準になっているのではないだろうか?

 

 わずか21年の間にこれほど大きな変化が生まれてしまった。

 

 しかも、今後を見ても中国の生産性の上昇が著しい半面で、日本の生産性の伸びは高まらない。

 

 IMF国際通貨基金)の予測では、22年の日本の実質GDP19年とほとんど変らない。これまでの回復がIMF予測より遅れていることを考えると、22年の実質GDP19年に及ばないことも十分考えられる。

f:id:altairposeidon:20210909155124j:plain

 長期予測を見ると、これまでと同様の傾向が今後も続くことが分かる。

 

 PwC17年に行なった長期推計では、16年~60年の間1人当たり実質GDP成長率日本が1.4なのに対して、韓国は1.8、中国は3.1だ。

 

 韓国との差は開き、中国が日本の水準に近づいてくることになる。

 

なぜ日本の生産性が低いのか?

目立つデジタル化の遅れ

 賃金を引き上げるには最低賃金を上げることなどが必要だと言われることが多い。しかし、こうしたことをしても賃金は上がらない。これは経済的メカニズムを無視した考えだ。

 

 賃金を引き上げるには、生産性が高まらなくては解決できない。経済の実態面で生産性を上げることによってしか賃金を引き上げることはできないし、結局、成長率も高まらない。

 

 先日、ある手続きで、銀行の窓口に出向かなければならなかった。相も変わらず、何枚もの紙の書類に住所、氏名、口座番号なそなど、同じようなことを書く。そして印鑑を押す。

 

 周りを見渡すと、案内をすることだけが仕事のような人がいる。カウンターの向こうには紙の書類と奮闘する何人もの銀行員がいる。

 

 これでは労働生産性が伸びないのも当然だ。

 

 いまや金融の世界では、銀行の支店に行かなくても自宅にいたままで銀行サービスを利用できるようになっている。それにもかかわらず、日本の銀行は何十年も前の仕事ぶりから変らない。

 

 役所の窓口になると、もっとひどい。どんな細かい手続きでも窓口に出向かなければならない。そして、紙の書類に同じようなことを何度も書く。銀行の窓口。紙ベースの仕事。いまだにハンコなくしては進まない。

 

 こうしたことが一変しない限り、日本の生産性が上昇することはないのだ。

 

デジタル庁は停滞を克服できるか?

仕事がなくなる人の雇用支援が必要

 デジタル化の遅れ日本の生産性の低さの大きな原因だ。コロナ禍でも、在宅勤務が広がらず、学校や医療のオンライン化の遅れが改めて暴露された。デジタル庁を作ってこの状態を挽回するというのだが、はたしてできるだろうか?

 

 デジタル技術を導入すれば銀行支店の状況や官公庁の窓口の様子は一変する。スマートフォンだけですべての手続きが瞬時にできるようになり、紙の書類のコピーを取ったり、帳簿と照合したりするような仕事はなくなる。だから、労働生産性は一挙に上昇する。

 

 しかしそれが実現すれば、いま銀行支店や役所の窓口で紙の書類と奮闘している人たちの仕事はなくなる。その人たちが生活するためには、新しい別の仕事を見いださなければならない。それは容易なことではない。デジタル化という革新的技術によって経済全体の生産性を上げるというのは、そうしたプロセスに取り組むということなのだ。

 

 日本はこれまでの数十年間、そうしたことに取り組むことをせず、これまでと同じ仕事のやり方を文字通り「十年一日のごとく」続けてきた。

 

 その結果、10年前と同じような生活を大きな波乱なしに続けることができた。「生産性が低下し、賃金が低下を続けている」というのは、こうしたことが原因になっているのだ。

 

 デジタル庁はこうした状態を本当に覆せるのだろうか?

 

一橋大学名誉教授 野口悠紀雄

 

 

https://diamond.jp/articles/-/280351

 

 

 

東京五輪2020では散々世界の不評を買った馬韓国ではあるが、労働生産性でその馬韓国に先を越されてしまっては日本は元も子もないのである。どうする、次期総理殿!

(続く)