世界の流れは、EV化(31)

菅首相はすでに辞任していない。2021.10.4に第100内閣総理大臣に就任した岸田文雄首相の世となっている。



岸田は1014日の会期末に国会を解散し総選挙に打って出た。1031日の投開票では、予想に反して「絶対安定多数」の261議席を単独で確保し、現在は2021.11.10に第101内閣総理大臣となっている。

 

しかし、岸田首相に代わってもこの「脱炭素」の流れは強まるこそすれ変わることはない。

 

 

EUも米国も、内燃機関ICEであるEngine車は、ZEVとしては除外されている。そのためICEを持つトヨタのHV車は、エコであるにもかかわらず、除外されており、2035年からは新車として販売は禁止されることになる。

 

しかしLCAで計算してみると、EVとHVでは、CO2の排出量には差は無いのである。

 

 

 

EVHEVCO2を算出 LCAでも価格でもHEVに軍配

4の警鐘

藤村俊夫 愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)、元トヨタ自動車

2021.07.21



 日本の1次エネルギー供給量と電力が占める比率を示したのが1だ。2018年時点で電力は全体の46を消費する。内訳は、再生可能電力が9、石炭や天然ガスなどを使う火力発電所34原子力3となる。

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1●国内の1次エネルギー供給量
(作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]      



 2に消費構成を示す。電力に関しては産業や業務、家庭での消費が大半を占め、産業に関しては1/3を電力に頼る。1次エネルギーの54%はほぼ産業と運輸が占め、石炭や石油、天然ガスを使用する。1次エネルギーの88%は化石燃料に依存している。2030年にはこれらの45%を、2050年には100%をグリーン燃料グリーン電力に置き換える必要がある

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2●1次エネルギーの消費構成 (作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]

 日本は、世界第4位のエネルギー消費国でありながら、エネルギー自給率はわずか12%。これは先進国の中でも極めて低く、石炭や石油、天然ガスといったエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼ってきた。原子力政策に失敗し、電力の再生可能エネルギー化に関しても、先進国でワースト1であり、中国やインドにも劣る。

 2030年に2020年比で二酸化炭素CO2)の45%削減2050年にカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)を実現するには、CO2削減に見合う脱化石燃料化が必要となる。自動車の電気自動車(EV)化などと近視眼的な話をする前に、現在のエネルギー構成を今後どのように転換するかという政策立案が、政府にとっては急務なはずだ。

 電力セクターでは2030年に向け、50%程度を再生可能エネルギーの拡大(詳細は後述)でまかなう必要があるが、これまで1次エネルギーとして使用してきた、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を、カーボンニュートラル燃料やカーボンフリー燃料などのグリーン燃料水素やバイオ燃料、水素とCO2から製造される液体合成燃料(e-Fuel)、水素とCO2からメタネーションによって合成されるメタン、アンモニアなど〕に転換することも喫緊の課題となる。

 同時に、政府の後押しの下で関連企業がグリーン燃料の開発や大量生産に関わる技術の確立を推進すべきことは言うまでもない。

 とはいえ、グリーン燃料に関しては、国内での大量調達は非常に難しい。これまでの化石燃料と同様、輸入に頼ることになる。電気は輸入できないが、燃料は輸入可能だ。1次エネルギーの20%を消費する自動車をEVに転換するという、電力に頼った施策は非常に危うい。これは中国や米国、欧州連合EU)も同様だ。


(続く)