バイオ燃料とは、生物資源・バイオマスを原料とする燃料のことで、木材などが該当する。
例えば、
1) バイオエタノール・Bioethanol
サトウキビや木材などを発酵・蒸留して製造されるエタノール(アルコール)で、利用方法はガソリンに混合させて使用する。例えば、E3(3%混合)、E10(10%混合)と表記される。
2) バイオディーゼル・Bio Diesel Fuel:BDF
菜種油や廃食用油、大豆油などをメチルエステル化して製造されるディーゼルエンジン用燃料で、軽油と混合されて使用される。B5、B20などと表記される。BDFは硫黄酸化物・SOxをほとんど含まないためディーゼル車の排気ガス対策として有効である。
メチルエステル化とは、動植物油の脂肪酸とグリセリンの結合をメタノールではがして、脂肪酸とメタノールの結合体とすることで、この結合体が脂肪酸のメチルエステルである。
ユーグレナ(ミドリムシ)と廃食料油から作られるバイオ燃料も、この類の燃料である。サトウキビ、大豆、トウモロコシといった食料などを原料としないため、今後に期待されている。
3) バイオガス
家畜排泄物や食品廃棄物を発酵させた時に生じるガスから製造されるメタンである。主に発電や熱供給に利用されている。ドイツなどで盛んに生産されている。
次にe-Fuelとはどんな燃料なのであろうか。
e-Fuelは合成燃料の一種で、合成燃料とはCO2とH2、即ち二酸化炭素と水素を合成してつくる炭化水素化合物の集合体で、液体でありエネルギー密度が高く石油に似ているため人工的な原油といわれているものである。
この合成燃料の水素の製造では、再生可能エネルギーで水を電気分解して作られたものはCO2の排出がないため、この水素・H2を使った合成燃料を特に「e-Fuel」と呼んでいる。
二酸化炭素と水素でできる合成燃料って何?脱炭素で石油業界などが研究を本格化【エネルギー自由化コラム】
更新日:2021.09.03 高田泰(政治ジャーナリスト)
合成燃料は、二酸化炭素と水素を合成して製造される新燃料で、人工的な原油ともいわれています。二酸化炭素の排出削減ができるため、2050年のカーボンニュートラルに向けて注目されています。
二酸化炭素と水素を合成して製造される液体の合成燃料に注目が集まってきました。経済産業省がカーボンリサイクル技術ロードマップを改訂し、合成燃料を新たに追記したほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は合成燃料の研究開発を採択し、大学や民間企業で構成されるグループで研究が本格化しています。
エネルギー密度が高い人工的な原油
合成燃料は二酸化炭素と水素を合成して製造するもので、炭化水素化合物の集合体です。液体であるうえ、エネルギー密度が高いのが特徴。成分が石油に似ているため、人工的な原油と考えられています。
資源として活用する二酸化炭素は当面、発電所や工場で排出されたものを利用しますが、将来は大気中から分離、回収したものを使用することが想定されています。水素は製造工程で二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー由来の電力を使い、水を分解して作ります。再エネ由来の水素を使った合成燃料は「e-fuel」と呼ばれています。
原油に比べ、重金属や硫黄の含有量が少ないのも合成燃料の特徴です。排ガスや大気中にある二酸化炭素を利用するため、燃焼させても大気中の二酸化炭素濃度が高まることはありません。このため、脱炭素燃料の1つと考えられ、石油や自動車業界などで研究が進められています。
合成燃料の概要
出典:経済産業省合成燃料研究会中間取りまとめ
(略)
https://enechange.jp/articles/synthetic-fuel
現在EVやFCVが実用化されているが、e-Fuelが実用化されれば、既存のエンジンが使えるので、クルマにとってはこの上ない燃料となるものである。ましてや航空機や船舶にとっては、CO2フリーのまたとない燃料なのである。
そのため日本の政府、業界をはじめ、世界中がこの合成燃料の開発に血眼になっている。
それでは皆様、よいお年を、来年またお会いしましょう。
(続く)