ガソリンやディーゼルなどの化石燃料は燃やせはCO2が排出されて、大気中の二酸化炭素が増えることになってしまうが、この合成燃料は取り込んだCO2を大気中に排出するので、マイナス・ブラスで大気中の二酸化炭素は増えるわけではない。と言うことで「カーボンリサイクル」などと呼ばれているようで、CO2が減少するわけではないのである。だからちょっと残念ではあるが、原油のように使えてCO2を増やさない、と言うことに意義があるわけである。
その点、水素エンジンは水素を燃やすだけなので、CO2の排出はないが、この合成燃料にも水素が必要となっているので、再エネ電気で水を電気分解して作る水素はCO2の排出はないので、そうすればこの合成燃料としては、CO2は増加しないものとなる。
合成燃料
CO2 大気中のCO2を「DAC」(Direct Air Capture)で分離・回収し、排出する。
(CO2マイナス・ブラスでゼロ、大気中のCO2は増えない。)
H2 再生可能エネルギーで電気を作り、それを使って水電解でH2をつくる。
(CO2フリー)
と言ったメリットがあり、航空機や船舶にも使える燃料であり、しかも既存設備が活用できるという点が、最大のメリット言える。その点で、この合成燃料はどこでも作ることが出来るため、エネルギーセキュリティの面でも大いにメリットがあるものである。
この点で水素を直接燃やす水素エンジンとは異なり、非常に有用性があることになる。
今後の開発が期待されるものである。
エンジン車でも脱炭素?グリーンな液体燃料「合成燃料」とは
2021-07-08
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2020年末に策定された「グリーン成長戦略」(「カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは?」参照)のもと、あらゆる分野・産業でさまざまなチャレンジがおこなわれています。グリーン成長戦略については、2021年6月よりさらなる具体化がおこなわれているところですが(
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました」参照)、そのひとつに位置づけられるのが「合成燃料」の開発です。合成燃料とはどんなものか、どのような分野での活用が期待できるのか、研究が進む合成燃料について解説します。
CO2とH2から製造される「合成燃料」
合成燃料は、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造される燃料です。複数の炭化水素化合物の集合体で、 “人工的な原油”とも言われています。
原料となるCO2は、発電所や工場などから排出されたCO2を利用します。将来的には、大気中のCO2を直接分離・回収する「DAC技術」(Direct Air Capture)を使って、直接回収されたCO2を再利用することが想定されています。CO2を資源として利用する「カーボンリサイクル」(「未来ではCO2が役に立つ?!『カーボンリサイクル』でCO2を資源に」参照)に貢献することになるため、「脱炭素燃料」とみなすことができると考えられています。
もうひとつの原料である水素は、製造過程でCO2が排出されることがない再生可能エネルギー(再エネ)などでつくった電力エネルギーを使って、水から水素をつくる「水電解」をおこなうことで調達する方法が基本となります。現在主要な水素製造方法は、石油や石炭などの化石燃料から水蒸気を使って水素を製造する方法ですが、この方法と組み合わせると、①化石燃料から水素をつくる ②その製造過程で発生したCO2を分離・貯留する ③その後別の回収したCO2と合成する…ということとなり、非効率な製造プロセスになるためです。
なお、再エネ由来の水素を用いた合成燃料は「e-fuel」とも呼ばれています。
こうして製造された合成燃料は、原油にくらべて硫黄分や重金属分が少ないという特徴があり、燃焼時にもクリーンな燃料となります。
合成燃料におけるCO2の再利用のイメージ
(続く)