どうもトヨタは本気のようだ。などと言ったら怒られそうだが、トヨタは真剣に350万台に向き合っている、社内全体が350万台で、ある意味湧きたっているのではないのかな。2030年と言えば、今年も含めるとあと9年しかない。
それにしても、すべて技術検討が終わっている電気自動車を一度に16台も発表して見せるということは、並大抵の実行力ではできない相談だ。
今一度、それら16台の電気自動車を見てみようではないか。
トヨタが衝撃の発表! 2030年までにEV販売350万台、30車種投入の真の狙いとは
2021年12月15日 17時00分更新 文● 鈴木ケンイチ
ついにトヨタが本気を見せた!?
突如EVのフルラインナップを公開
トヨタが驚きの記者会見を実施した。12月14日の「バッテリーEV戦略に関する説明会」だ。
その内容を簡単に言えば、“これから本格的にEVをやる”という宣言だったのだ。先だって発表した、スバルと共同開発したEV「bZ4X」を皮切りに、ミディアムクラスのSUV、コンパクトSUV、ミディアムセダン、3列シートも可能なラージSUVのEVを展開。さらにレクサスはEV中心のブランドへ変化するという。
具体的には、2030年までに30車種のEVを投入。それは、トヨタの乗用車やレクサスだけでなく、商用車までを含む、いわゆるフルラインになるという。
そして2030年までにEVの年間販売350万台を目指すと宣言したのだ。
その内訳は、トヨタが250万台、レクサスが100万台だ。このとき、欧州、北米、中国の販売はEVが100%になる。さらに、2035年にはグローバルでEV販売100%を目指すという。
発表会場には、「bZ4X」をベースとしたEVコンセプトを5車種、レクサスが4車種、さらに未来のトヨタEVとして7車種、合計16台ものEVコンセプトを並べたのだ。そこには、セダンやSUVだけでなく、スーパースポーツからピックアップトラック、商用のマイクロカーや商用バンまでが含まれる。まさにフルラインナップという内容であった。
ここで驚くのは350万台という数字だ。現在のトヨタの年間販売台数は年間約1000万台で、そのうちEVはほぼゼロと言っていい状況だ。それを、わずか10年弱で350万台にまで伸ばすという。ちなみに、世界最大のEVメーカーと言われるテスラでさえ、2020年の販売は50万台ほど。今年は2倍ペースで売れているというが、それでも100万台にすぎない。エンジン車中心のマツダとスバルの年間販売台数は、どちらも100~150万台であるから、トヨタが目指す350万台というのは、その2社をあわせた数よりも上。
わずか10年弱で、テスラの3.5倍、マツダとスバルを足した数より上のEVを販売しようというのだ。
しかも、これは掛け声だけの目標ではない。トヨタは350万台を基準として、2030年までに研究開発・設備に巨額な投資をするという。その額、4兆円。そのうち2兆円が電池への投資となる。「年間350万台EV販売」にかけるトヨタの本気度が見える投資額と言えるだろう。
しかし、年間350万台、4兆円の投資に驚いて「これまでEVに消極的だったトヨタが、一気にEVへ舵を切った」と勘違いしてはならない。
今回の発表は、「トヨタのEVシフト宣言」ではないのだ。
どういうことかと言えば、年間350万台という数は膨大ではあるが、年間1000万台メーカーであるトヨタにとっては、全体の35%に過ぎない。残りの65%はエンジンを積んだ、エンジン車、ハイブリッドなどとなるのだ。さらに投資で言えば、EVの4兆円と同額を、ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッド、FCV(燃料電池車)にも投資するという。
豊田章男社長
(続く)