世界の流れは、EV化(66)

この論考の要旨を概略すると、次のようになろう。

 

(1) 2050年までに2℃以内の上昇に抑えないと地球は滅亡に向かう。

  だからCO2の排出は速やかにゼロに抑えなければならない。

COP26
では「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求する。そのための方策
  も検証してゆく。」と決まった。


(2) トヨタ2030年のBEV350万台はそれなりに評価されるものであるが、
  この命題からは物足りないものである。残りの70%CO2を排出する車だからである。

 

(3) EU2035年にはICEは禁止、米国でも2030年にはEV50%以上が目標だ。

 

(4) トヨタ350万台でOKとすれば、認識が甘い。少なくとも2030年、50%以上が必須だ。

 

(5) そのうちに目標の上方修正を迫られることになるので、今から準備することだ。

 

 

と言った内容だと、小生は理解した。まあ、それほど地球環境には危機が迫っている、と言うことだ。

 

と言うことは、トヨタだけに文句を言うのではなくて、全世界的に地球温暖化対策を迫る必要があるのではないのかな。

 

トヨタに文句を言うのであれば、それ以上に石炭火力をノウノウと使い続けている中国への文句を強めるべきである。中国の電気自動車の拡大に目を奪われているようだが、そのEVは石炭火力のCO2をもくもくと排出する電気で動いているものと、理解する必要があろう。中国は、そのため、透明性をもっともっと強めるべきである。

 

このことはトヨタ一社だけではどうにもならず、日本政府として日本のエネルギーをどうやって作るのかについて、抜本的な発想に転換が必要となる。即ち原子力発電を再稼働させて、CO2の排出を極力抑える手立てを実行してゆかなければならないのである。

 

日本での対策も必要であるが、更には、世界的にエネルギーをどうやって作ってゆくかの議論を強める必要がある。

さしあたって国際世論として、中国に石炭火力に削減を進めるように強力にプッシュしてゆかなければならないものである。

 

トヨタに対して「世界の論調は厳しいものがある」と言うことであるが、これこそが言うなれば(あえて言うが)「片手落ち」の議論と言うものである。「片手落ち」と言うよりも、「両手落ち」であろう。

 

中国は新型コロナウィルスの発生源を探らせないために、オーストラリアに制裁を加えているが、その制裁がオーストラリアからワインや石炭の輸入の制限であった。中国はオーストラリアからの石炭の輸入が滞ってしまったために、停電に追い込まれてしまったことは記憶に新しいことである。

 

さしあたって今は、北京に集中して電気を供給していることでしょう。オリンピック会場が停電にでもなってしまったら、それこそ、世界の大恥となってしまうからである。習近平も、その点気が気ではないのてはないのかな。

 

 

このようにトヨタの「全方位戦略」に対しての、有効な手立てはないのか、と言った場合には、水素エンジン合成燃料が役立つのではないのかな。これであれば、550万人の雇用は守られる筈だし、既存の設備も使うことが出来る。しかもCO2は排出されない。

 

水素エンジンについては、'21/12/27NO.35~、合成燃料については'22/1/10NO.38~などを参照願う。

 

決して豊田章男社長は、手をこまねいている訳ではない、着々と次の一手、二手を考えているようだ。

 

 

話は変わるが、2022.02.07日経新聞によれば、昨年の12.14に披露した16台のBEVのうち後ろの11台は、モックアップ(実物大模型)だったというではないか。クレイ・モデルと言うことだ。粘土で作られた模型と言うこと。

 

技術検討はすべて終わている」と言う豊田章男社長の言葉を信じたから、この16台はすべて動くものだと思っていたのだが、それにしても、16台ものBEVを一堂に並べることが出来る、と言うことは、相当深く煮詰めているな、と思った次第であった。しかしその大半は模型であったのだ。ちょっとがっかりしたものだが、よく考えてみれば、それも当然のことである。

「技術検討は終わっている」と言う車は、前列の5台だけだったのではないのかな。

 

 

 

EV急加速1 「慎重すぎた」トヨタ

2022272:00 

EV戦略について説明するトヨタの豊田章男社長(2021年12月、東京・お台場)
EV
戦略について説明するトヨタ豊田章男社長(202112月、東京・お台場)

「私たちの思いがまったく通じない世界があることも思い知らされました」。17日の年初のあいさつで、愛知県豊田市の本社に集う従業員約500人を前に、トヨタ自動車社長の豊田章男はこう語り始めた。

 

豊田が「通じない世界」を痛感したきっかけは202151230年に電気自動車(EV200万台を販売する方針を発表したが、燃料電池車(FCV)を含んだ目標を、世間は評価しなかった。「トヨタ社長はEV反対派だとイメージ操作されている」。それ以降、豊田は不満を口にするようになった。

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(続く)