世界の流れは、EV化(67)

トヨタと世間とのズレは、ハイブリッド車HV)を主軸に置く戦略から生じている。1997年に「プリウス」が道を開いたHVの世界販売は1500万台を突破。新型「ヤリス」の燃費性能は現状、世界一に立つ。

 

豊田は過去にEVを造っていたことに触れつつ「HVEVにもつながる。核となる技術は同じ」と説明してきた。EVの充電インフラが盤石ではないことから、HVを含む全方位で電動化に臨む姿勢を崩さないでいた。「EVはいつでもできる」選択肢のひとつにすぎないとの認識だった。

 

だがこの間、世界が急転回する。欧州連合EU)は217月、HVを含む内燃機関車を35年に実質的な販売禁止とする方針を表明。その後開かれたミュンヘン国際自動車ショーはEV一色に。30年の「EV専業」を宣言した独メルセデス・ベンツ社長のオラ・ケレニウスは「(EVシフトは)もはや意思決定ではない。実行と加速の時だ」と述べた。

 

脱炭素をどう達成するかが重要なのにEVをやる』と言ったもの勝ちになっている」と冷ややかにみていたトヨタだったが、気付けば世界から取り残されていた

EUによるHV排除が決まった直後の724日、東京・南麻布の在日フランス大使館で豊田は仏大統領のマクロンと向き合っていた。「HVをもう少し使えるよう働きかけてもらえないか」。関係者によると選択肢を残す必要性を訴えたようだが、うなずき返したマクロンは帰国後、規制緩和には動かなかった。

 

思うように状況を打開できないせいか、豊田は政権にも迫った。「けんか別れしたと思われないように取材には応じましょうか」。122日、首相の岸田文雄と面会した豊田はこう岸田に話し、「有意義な意見交換ができた」と報道陣に笑顔を見せた。

 

その姿は以前とは大きく異なった。「石炭を燃やした電気で走っても脱炭素にならない」。豊田は政府が進めるEVシフトを痛烈に批判しており、2月に首相(当時)の菅義偉のもとを訪れた際には、取材に応じず無言で官邸を後にした。

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世界で広がるEVシフトの波に突き動かされるように、豊田が説明会の仕切り直しを決めたのは10月下旬のことだった。

 

1214日、東京・お台場で開いた説明会で豊田は「30年にEV350万台販売」の新方針を示した。「これでも前向きじゃないと言われるならどうすれば前向きな会社と評価いただけるのか」。準備期間は2カ月弱。披露したEV16台のうち11台は粘土製(クレイモデル)だった。

 

新方針の実現のため、EV4兆円を投じると説明。ライバルの独フォルクスワーゲンVW)、ヘルベルト・ディース社長はツイッターで「トヨタEV。競争は歓迎だ」とつぶやいた。

 

30年までに4兆円の投資は電動化戦略を転換したかのように映る。だが、株式市場によるトヨタ20年度から5年間の営業キャッシュフロー予測は16.7兆円。現金化しやすい流動資産で平均24兆円に上る。資金余力からみると決して高い金額ではない。EV350万台も新車販売全体の34割にとどまる。

 

「社内では350万台は目標というよりあくまで基準。私たちは今まで慎重すぎた。ただEVだけにかじを切ったとは思われたくない」。トヨタ幹部は率直な思いをこう語った。12月の説明会後、トヨタの株価はじりじりと値を上げ、22118日には時価総額が初めて大台の40兆円を突破した。

 

(敬称略)

ソニーグループが参入検討を表明するなど、業界を超え過熱するEVシフトの最前線を追った。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79911800W2A200C2PE8000/

 

 

 

'21.12.14に披露された16台のBEVのうち、前列の5台は模型などではなくて、れっきとした本物のクルマである。この5台は、いわゆる「bZシリーズ」のクルマである。

 

後ろの11台も、2025年までには発売されるであろうクルマのクレイモデルである。次の論考では2023年と言っているが、そうでなければ、2030年までに30車種で350万台も造って売れない筈だ。

 

この16台のほかに、14台のBEVトヨタの技術部内では、具体化されようとしているものと思われる。なんといっても、30車種、350万台である。ちなみに次の論考では17台としているが、それにはe-Palleteが含まれているからである。

 

 

とりあえず、前列の5台を次に紹介してみよう。

 

5車種は次の通り。

 

 

1.bZ SMALL CROSSOVER・・・・・2022年内には発売か。bZ1Xか。スズキ、DHと共同開発か。

2.bZ COMPACT SUV……ミディアムcrossoverC-HRの後継か。bZ3Xか。スズキと共同開発?

3.bZ4X ・・・・・すでに発表済み。スバルと共同開発。bZ4X

4.bZ LARGE SUV・・・・・・・・FRランクル似で、RRハリアー似である。bZ5Xか。

5.bZ SDN・・・・・・・・・・・・・・唯一のミディアムセダン、bZ3bZ4か。Xはつかない。

(続く)