世界の流れは、EV化(85)

自治体の政策に反映

 

ハービー氏は「当初は誰もヒューストンが低炭素を目指すとは思わなかった」と振り返る。ただ、世界の石油大手も脱炭素へと大きくかじを切るなか「技術などの課題があるのは分かっているが(地球温暖化防止の)目的を達成する必要がある。『さあ、始めよう』という気持ちだ」と、新産業の創出を側面支援することに意欲を示した。

 

石油メジャーも脱炭素へと大きくかじを切る(ヒューストンでのイベントに出展したシェブロン㊧とエクソンのブース)=ロイター

石油メジャーも脱炭素へと大きくかじを切る(ヒューストンでのイベントに出展したシェブロン㊧とエクソンのブース)=ロイター 

 

低炭素でGHPが注目するのはCCUS水素エネルギーだ。CCUSなどのワーキンググループを設置し、参加企業などが商用化に向けた課題を洗い出している。各社の意見をまとめ、自治体の政策に反映させるように働きかける。CCUSのワーキンググループには米エクソンモービルなど十数社が参加しており、ハービー氏は「小規模なパイロットプロジェクトを実施したい」と述べた。

Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素の分離・回収、有効利用、貯蓄)

CCUSについてはエクソンテキサス沖のメキシコ湾の海底CO2を大量に注入する計画を進めている。ハービー氏は「CCUSなどは、かつては企業が研究・開発をしていただけだった。いまや企業のビジネスの担当部門が立ち上がり(商用化に向けて)動き始めている」と語り、計画実現に期待を示した。

 

日本の技術力にも期待

 

日本企業については三菱重工業CO2回収・貯留(CCS)技術を例示し「日本は技術力があり、ヒューストンとリンク(接続)させたい」と話した。三菱重工はテキサスの石炭火力発電所CCS装置を設置した実績がある。

Carbon dioxide Capture and Storage 二酸化炭素の回収と貯留

ヒューストンでCCUSを開発しやすい背景には、同地にCO2用のパイプライン網がすでに整っていることもある。CO2は生産中の油田に注入して生産量を増やす「EOR」でこれまで活用されてきたため、パイプラインが整備されてきた。エクソンは周辺の製油所や石油化学プラントからCO2を回収するビジネスを検討している。

Enhanced Oil Recovery原油増進回収

CCUSの導入に向け、連邦政府は免税措置「45Q」を打ち出している。ハービー氏は「CCUSの事業化にはCO2排出に課税する『カーボン・プライス』も必要になる」と追加の政策が必要との見方を示した。

 

 

「脱シリコンバレー」組の誘引カギ
 「石油の街」ヒューストンが脱炭素の技術の集積地となれるかは、不動産や生活費が高騰するシリコンバレーから流出するスタートアップ企業の受け皿になれるかにかかってくる。
 シリコンバレーからテキサス州に移転する企業が目立ってきた。これまでヒューレット・パッカードエンタープライズHPE)などが表明した。移転先はヒューストンのほか、オースティンの場合もある。ヒューストンが企業を誘致するためには魅力的な街づくりも必要になりそうだ。ヒューストンの多くの大企業は郊外に移転し、中心部は昼間でも閑散としている。
 その中心部で2つのインキュベーター施設が21年に相次いでオープンした。地元の大学が中心となり今後数年かけて周辺の区画も開発される予定で、街のにぎわいを取り戻したい考えだ。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2308S0T21C21A2000000/

 

 

 

ヒューストン市(City of Houstonには、ジョンソン宇宙センター(旧有人宇宙船センター)がある。

 

1969S447202017分(協定世界時)に世界初の月面着陸を果たしたアポロ11号の月着陸船・イーグルから、船長の「ニール・アームストロング」が直陸第一報を送った先が、このヒューストン(ジョンソン)宇宙センターであった。

 

「ヒューストン、こちら静かの基地。鷲は舞い降りた」 「了解、静かな基地。月面にいる君たちの声、よく聞こえるよ。・・・・・・」と管制官は興奮して答えていた、その「ヒューストン」である。

 

そのヒューストン市が「脱炭素の町」へ、街全体を変革しようとしている、と言うことである。

 

ヒューストン市には、スーパーメジャーと言われる6大石油会社のうち、4社が主要業務拠点を置いている、とWikipediaには説明されている。

 

イギリスのシェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)の本社、エクソンモービルの上流部門と化学部門がヒューストンに拠点を置いているし、シェブロンのヒューストンオフィス、コノコフィリップスの本社もヒューストンにある。

 

もともとは綿花の集散地として栄えたが、1901年に油田が見つかると、ヒューストンは石油精製・石油化学産業の中心地として成長していった。更に20紀に入ると篤志家が彼の全財産を市に寄付したことから1941年にテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターが設立され、現在のテキサス医療センターの基となり、1961年にはNASAのジョンソン宇宙センターが設置されますます発展し、フォーチュン500に入る企業の本社数がNYに次いで多い都市となっている、ともWikipediaに記載されている。

 

ヒューストンはメキシコ湾に面しており、全米最大級の貿易港であるヒューストン港を持っており、更には空の玄関口であるジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港もあり、全米有数の交通の要衝でもある。

(続く)