世界の流れは、EV化(89)

世界のEV競合、早い経営スピード

 

世界のライバルに目を向けると、EV企業のスピードは速い。台湾の鴻海精密工業2110月、同社初となるEV試作車3種を発表した。EV事業への参入を表明してから2年足らずで、開発中のEVプラットフォーム(車台)のパートナー数は2000社を超える。米新興のフィスカーなどとの提携も決めた。米国のほか、24年末までに欧州、インド、南米で工場進出も検討している。

 

モビリティー市場を切り開くディスラプターになれるか。今回の提携でそれぞれの創業者が持っていた「創造性」と「チャレンジ精神」を取り戻せるかがカギとなる。

 

人まね嫌いの井深氏と本田氏、40年の友情

 

ソニー創業者の井深大氏(左)とホンダ創業者の本田宗一郎氏は、親交が深かった

ソニー創業者の井深大氏(左)とホンダ創業者の本田宗一郎氏は、親交が深かった

 

ホンダの三部社長が入社した1987には創業者の本田宗一郎氏は終身最高顧問としてホンダの創業精神の支柱だった。本田氏が91年に亡くなったのと軌を一にして、ホンダはバブル崩壊後の国内販売不振や円高で経営危機までささやかれるようになった。

 

ソニーも創業者の井深大盛田昭夫の両氏が世を去って2000年代に入ると主力のエレキ事業の不振が続き、123月期に過去最大の4567億円の最終赤字に陥った。両社とも創業者から世代交代が進むとともに、意思決定のスピードが鈍り、経営の混乱につながった苦い歴史を持つ。
本田氏と井深氏は、戦後まもない同時期に町工場から出発し、ものづくりで世界企業を育てた。2人は根っからの技術者かつ名経営者であると同時に、互いを尊敬しあう親友で、公私にわたり40年の交遊があった。井深氏は2歳年上の本田氏を「おあにいさん」と呼び兄貴分として慕った。
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人の友情を示すエピソードがある。評論家の大宅壮一氏が「ソニー・モルモット論」を唱えたときのことだ。ソニーは色々と新しいことを先駆けてやっているが、最終的には大企業に取り込まれてしまい、モルモットを使った「実験」にすぎないという意見だった。

 

井深氏は怒るどころか、「ソニー・モルモット論には大賛成だ。いつでも、この役を喜んで引き受けましょう」と応じた。むしろ、怒り心頭になったのは本田氏だった。「金をふんだんに持っている大企業は万能であるという考え方は、1世紀前のマルクス主義と同じ考え方で、もしそれが真理ならば、今日のソニーや私の会社はありえなかっただろう」と自著「俺の考え」でその理由を記した。

 

ソニーが開発したビデオ「ベータ方式」は、「VHS方式」との規格競争に敗れたが、本田氏は最後までビデオはベータを使い続けたほどだ。
井深氏は自著「わが友 本田宗一郎」で本田氏との関係をこう記している。「性格的にはまったく正反対なところがあるが、哲学・考え方に大きく共通するところがあった」とし、「技術者として本田さんと私で共通していたのは、厳密にいえば技術の専門家ではなく、ある意味で"素人"だったこと」と記した。
「この技術があるから、それを生かして何かしようなどということは、まずしませんでした。最初にあるのは、こういうものをこしらえたい、という目的、目標なのです。二人とも人まねが嫌いですから、今までにないものをつくろうと、いきなり大きな目標を立ててしまいます」と本田氏との共通点を回想した。

 

人まねをせず、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する。モビリティーの革新に挑むソニー・ホンダの新タッグにとって、色あせないメッセージである。

 

(大本幸宏、広井洋一郎、伴正春、阿部晃太朗)

 

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC04E6U004032022000000/

 

 

 

ソニーとホンダが注目を浴びる特別な電気自動車を開発しようとしているが、BEVである以上避けては通れない問題が存在している。

 

それは頻繁にバッテリーに充電しなければならないであろう、と言うことである。と言うのも乗る人各自に最適な車内空間や移動体験を提供する」とあるように、ソニーカーの車内ではテレビなどが映り、さらにはステレオ音響が響き渡り、快適な空調の「エンタメ空間」となっていることでしょう。

 

この快適な移動空間では、それなりの電力を消費することになる、と思われる。それなりに大きなバッテリーが必要となり、快適であればあるほど電気の消費量は多くなると言うことを意味する。

 

快適な空間は利用すればするほど、バッテリーの電力が消費されることになり、頻繁のバッテリーに充電する必要に迫られることになる。当然航続距離も短くなってくる。

だから、頻繁に充電が必要となってくること、これが問題である。

 

そのためには「バッテリーへの充電インフラ」が必要となる、と言うことである。この充電インフラの整備は、BEV普及のための3条件の一つでもある。

 

尤もBEVの基本条件はその航続距離車両価格であり、上記条件にこの二つを足してBEV普及の3条件と言われている。

 

それにしてもBEVを使用していて、ガソリンスタンドならいざ知らず、バッテリー充電スタンドを容易に見つけることが出来ることが一番大事なこととなる、と言うことであろう。

(続く)