Q4 政府の再エネ目標が達成できないとしたら、その理由は何か(複数回答可)
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Q3で「達成できない」「どちらかというと達成できない」と回答した人に、目標を達成できないと考える理由を尋ねた。「再エネ設備の設置コストが期待ほど下がらない」が7割強と最も多い。「国内では、再エネ設備を設置する場所が限られてきている」という回答も6割弱に上る。設備の設置コストや設置場所が目標達成のネックになると考えている人が多い。「その他」の自由記述では、「政府の無策」「電力業界の抵抗」など、技術的な課題以外の外部要因を指摘する声が目立った。
Q5 今後10年以内に、水素エネルギーは普及すると思うか
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「普及する」「どちらかというと普及する」を合わせると48.8%と、5割弱が「普及する」とみており、水素エネルギーに対する期待は高いといえる。「その他」の自由記述では、「特定の業種では普及する」など限定的な範囲で普及するとの見方もあった。
Q6 水素エネルギーを用いたどのような技術に期待するか(複数回答可)
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Q5で、「普及する」「どちらかというと普及する」とした回答者に聞いた。「水素と酸素で走る燃料電池自動車(FCV)」が7割強、「内燃機関で水素を燃やす水素エンジン自動車」が6割超と、水素を燃料とする自動車への期待が高い。「水素を燃料にした火力発電」も6割弱に上った。「その他」の自由記述では、「水素と二酸化炭素を原料とする有機化合物合成/石油化学代替」「水素と炭酸ガスを用いた化成品の合成」など、水素を原料とする化学製品に期待する声が目立った。
回答者プロフィール
調査方法:ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知した上で回答を依頼。2021年12月28日~22年1月6日に実施し、678の回答を得た。
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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01936/00004/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard
「ガソリン車からEVへ」だけが正解か、公共交通シフトも選択肢に
高市 清治 日経クロステック/日経ものづく 2022.02.09「電気自動車(EV)ありきで議論が進んでいるように思う」「あたかもEVがカーボンニュートラルの切り札のように世論が操作されていないか」─。
日経ものづくりが2021年12月から22年1月にかけて実施した「EV・水素・再エネなど炭素中立の疑問点に関する調査」には、回答者からこんな意見が多数寄せられた。「EVの普及が炭素中立に貢献すると思うか」という問いに対し、「貢献する」という回答は61.5%となった一方で、「貢献しない」との回答も33.0%あった(図1)。3割強がEV偏重の議論に懐疑的な見方をしている。
図1 3割が「貢献しない」と回答 貢献せず40zu01
「EVの普及が炭素中立に貢献すると思うか」という問いに対しては、「貢献しない」との回答は3割を超えた。ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知した上で回答を依頼。2021年12月28日~22年1月6日に実施し、678の回答を得た。(出所:日経ものづくり) [画像のクリックで拡大表示]
電気だけを使ってモーターで駆動するEVは走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。そのため一般的にはEVが普及してCO2を排出するガソリン車に取って代わるのを無批判に認める風潮が見受けられる。しかし、アンケート調査の結果からは、こと製造業に関わるエンジニアや経営者の間ではその論調が必ずしも受け入れられていないと分かる。
アンケート調査の回答や専門家への取材から、EVに対する「疑問」は大きく3つに分類できる(図2)。[1]EVは本当にカーボンニュートラルなのか。[2]仮に貢献できたとして、EVが一般的に普及するのは現実的なのか。そして[3]EVがガソリン車に取って代わる「脱・ガソリン車」が本当に唯一の解なのか─である。
(続く)