日本、オーストリア、ドイツの各1選手、ノルウェーの2選手の5選手が、そのために失格となっている。この4カ国は外交的ボイコットとは言っていないが、政府要人を派遣しなかった国であるので、その報復措置であった可能性が高い。
中国に忖度した国際スキー連盟・FIS(Fédération Internationale de Ski )の有力幹部が仕組んだものであった、否、忖度と言うよりも中国より(金をもらって)委託を受けた幹部たちが仕向けたものと見られている。
間違いなく、中国にはオリンピックを開催する権利や資格はない。滅びよ、中国 !
北京五輪「ジャンプ混合団体の悲劇」でささやかれる中国忖度説
臼北 信行
2022/02/10 17:00
2月7日、ノルディックスキージャンプ混合団体で2本目のジャンプを飛んだ後、こぼれる涙をこらえようとする高梨沙羅(写真:ロイター/アフロ)
オリンピックには魔物が棲む――。言うまでもなく昔から格言のように浸透している表現だ。
有力代表選手が五輪特有の雰囲気に飲み込まれて本来の力を発揮できないケースもあれば、予期せぬアクシデントによって成績を大きく落としてしまうこともあり、こうした番狂わせの歴史は過去の大会から幾度か繰り返されてきた。
現在行われている北京冬季五輪ではフィギュアスケート男子の日本代表・羽生結弦がショートプログラムの演技の際にあろうことかリンク上の穴にハマってしまい、4回転サルコーが1回転となる不運に見舞われ、8位と大きく出遅れた。これは「魔物」による後者の事例に当てはまると言えるかもしれない。
しかしながら7日に行なわれた新種目のノルディックスキー・ジャンプ混合団体で起こった異常事態は「魔物」の仕業として捉えることが、どうしてもできない。何らかの力が作為的に働いたとしか思えないと多くの関係者の間でささやかれているからである。
感動を呼んだ高梨沙羅の2本目
この種目では日本、オーストリア、ドイツの各1選手、ノルウェーの2選手の計5選手が抜き打ちで行われた検査によるスーツ規定違反で失格となり、参加した10カ国中4カ国に失格者が出るという大波乱の展開となった。
日本は高梨沙羅が1回目で103メートルのビッグジャンプを見せて2位につけたかと思われたが、その直後に失格が告げられ、記録は一転して無効となった。その高梨が気力を振り絞って2本目に臨み、ジャンプを終えた直後に涙をこらえ切れず号泣したシーンは日本中に大きな感動を呼んだ。
ノルディックスキージャンプ混合団体で2本目のジャンプを終え、高梨沙羅をハグする小林陵侑(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
「今までと全く異なる方法でスーツを測定」の証言も
高梨と同じように他国4選手も1回目、もしくは2回目のジャンプを終えた後にスーツ規定違反で失格処分を下されている。ちなみに失格処分を課せられた5人はいずれも強豪国でビッグジャンプを見せた女子選手だった。
有識者の間からは「ビッグジャンプとなったことで狙われ、目を付けられた可能性は高い」とする声も出ている。
さらに、失格処分となったノルウェーの女子選手は欧州メディアに「彼らは明らかに今までと全く異なる方法でスーツを測定していた」との重大証言を口にし、そのスーツ計測の際にこれまでのワールドカップ(W杯)の時とはまるで違う姿勢で腕を頭の上に置きながら立つように強要されたことも赤裸々に暴露している。
ノルウェーだけでなくドイツ、オーストリアの代表チームの監督、チーフをはじめ各国のノルディックスキー・ジャンプ関係者は怒り心頭で、日本からも北京五輪において同競技のIF(国際競技連盟)として統括する国際スキー連盟(FIS)への批判が未だに止まらない。FIS;Federation Internationale de Ski、国際スキー連盟
ジャンプ競技のマテリアルコントロール(器具チェック)を担当するポーランド人のFIS所属役員は測定方法の変更を強い口調で否定している。FIS側の説明によると今大会で違反となったのは、すべてが北京五輪用のために製作されたスーツで規定よりも大きいことから浮力の面で有利になっていたという。
とはいえ各国のチームではW杯の転戦中に選手たちがスーツを着用しながら試行錯誤を重ね、規定ギリギリのいわばグレーゾーンでベストフィットの勝負服を完成させていく流れは主流となっている。こうした背景を基に総合的に検証し直してみると前出の4カ国を狙い打ちし、あえて北京五輪で通常とは異なる検査方法を強いることで意図的に違反へと結びつくように仕向けたとする説は、あながち「SF」と受け流すことはできない。
失格になったのは政府要人を派遣しなかった国ばかり
一体どういうことか。絶対匿名の事情通は「今回の北京五輪では中国が大会ホスト国となっていることで、明らかにおかしな出来事ばかりが起こっている」と首を傾げ、このノルディックスキー・ジャンプ混合団体で起こった悲劇に関しても妙な怪情報が現地で飛び交っていると次のように指摘している。
「日本、ドイツ、オーストリア、ノルウェーはいずれも北京五輪に政府からの要人を派遣していない。4カ国は『外交的ボイコット』という言葉を用いておらず、ノルウェーも『コロナ対策』を一応の理由としてはいるが、中国政府から見れば面白いはずがない。
FIS内部で有力幹部がホスト国の中国に忖度し、この競技において失格を与えることで中国側の代役として“報復措置”を食らわす目的で超厳格な抜き打ち検査を対象国の女性選手に仕向けたのではないかと一部でささやかれている。
もちろん現段階では確証を得られるようなレベルではないが、そのように邪推でもしなければ辻褄が合わないぐらいに北京五輪のスキージャンプ混合団体の悲劇は不可解極まりなく、冬季五輪史上でも間違いなく過去最悪レベルの汚点と関係者の間で断じられている」
中国へ融和政策をとってきたアンゲラ・メルケル前首相に代わり、ドイツの新たな元首となったオーラフ・ショルツ首相は打って変わって「脱・親中路線」へ舵を切っている。昨今は経済面で大きく雪解けしてきてはいるものの、ノルウェーは2010年に中国の民主活動家・劉暁波氏に同国のノーベル賞選考委員会がノーベル平和賞の受賞を決めたことで中国と激しく対立して根深い禍根を残した経緯もある。また、オーストリア政府は中国の押し進める広域経済圏構想「一帯一路」に懸念を示しており、日本は米国の同盟国だ。
そう考えると9日に欧州メディア「Eurosport」などでも報じられたように、スキージャンプ混合団体に出場した中国の宋祺武が71.5メートルだったにもかかわらず審判5人全員が飛型点で一時的に20点満点を付けていた“事件”はもはや笑うに笑えない。こんな“ショートジャンプ”に対して電光掲示板に掲示された点数が満点となり、さすがに場内も騒然となったとのことだが、後に機器の技術的な問題によるミスと判明し修正されたという。しかしFISや審判側からの説明は未だに一切なく、真相は謎のままだ。
繰り返しになるが、本当にFISはホスト国への忖度はなかったのだろうか――。ここまで中国絡みで不可解な状況が頻発すれば、誰もが疑いの目を向けたくなるのも当然である。
(続く)