ロシアのウクライナ侵攻(8)

なんと言っても、2ヵ月で約1万5000人のロシア兵が死んでいる、と言われていることはすごい被害である。しかも補充などの兵站面も満足に機能していないようだ。

 

59はどのように過ごすつもりか、プーチンは。

 

 

 

ウクライナに投入した傭兵が4割戦死の衝撃…プーチン大統領5.9勝利宣言」は絶望的

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/04/28 06:30

© 日刊ゲンダイDIGITAL 仲間の戦死はロシア兵には隠せない(C)ロイター/SputnikKremlin    

 

プーチン大統領59日の対独戦勝記念日での「勝利宣言」を目指し、攻勢を強めようとしているが、絶望的になってきたのではないか。ロシア兵の戦死者数が膨れ上がっている可能性があるからだ。ウクライナに投入した傭兵の4割近くが戦死したとの報道もあり、衝撃が走っている

 

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ウクライナ戦争のファクトチェックを続けている英調査報道機関「ベリングキャット」の常務取締役、クリスト・グロゼフ氏は19日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」ウクライナに派遣した傭兵8000人のうち、37.5にあたる3000人が戦死したと考えられると語った。21日付の英デーリー・メールが報じた。

 

ワグネルはプーチン大統領の料理人と呼ばれるプリゴジンが資金提供している。ロシア西部に訓練場があり、これまでにシリアやリビアなど28カ国で活動。民間人殺害や拷問などの疑惑が持たれている。ロシアによるウクライナ侵攻直後から、シリアなどで傭兵を募集。ブチャなどの住民虐殺にも関与したとされている。軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。

 

「外国人が中心の傭兵の戦死はロシア軍に責任は生じず、国内世論の批判も起きにくい。このため傭兵は最も危険な最前線に投入されることが多く、戦死する確率も高い。それにしても、2カ月間で投入の4割近くの傭兵が亡くなるというのは、かなりの確率です。ロシア側が相当苦戦しているということです」

 

死者激増で士気の低下が深刻に

ウクライナ国防省23日、ロシア軍が、占領したウクライナ東部や南部の地元住民を徴兵していると非難した。

 

「住民の徴兵はロシア兵の不足が深刻なことを示しています。兵士の戦死数について、報道統制などによりロシア国民には覆い隠せても、兵士は仲間の死を目のあたりにしています。ロシア兵の死者数が膨れ上がれば、兵士数が減るだけでなく、士気の低下も避けられない。ロシア軍が戦争を続け、戦果を上げるのは苦しくなっていくと思われます」(世良光弘氏)

 

英国のウォレス国防相25日の下院で「15000人のロシア兵が死亡していると見積もっている」との分析を披露。10年間で14000人超の旧ソ連兵が亡くなったアフガニスタン侵攻をわずか2カ月で上回っている。英国防省25日付の戦況分析でロシア軍地上部隊の進撃は「小規模」にとどまっていると報告している。補給や戦闘面で支援が行き届いていないという。

 

軍の弱体化に追い詰められたプーチン大統領はどんな手に出るのか。

 

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304537

 

 

 

こんな状態ではプーチンとしては、おいそれと59日の対独戦勝記念日を祝うこともできないし、ましてやウクライナ」からの撤退も出来まい。もし撤退するとしたら、その時は、プーチンの政治生命が断たれるときであろう。

 

だからプーチンは、「第一段階は終了した、次の第二段階に移る」と言って、ウクライナの首都であるキーウから東部のドネツクやルハンシクの攻略に目標を変更していったのである。

 

かといってロシア軍は目ぼしい戦果などはさらさら上げてはいないし、前進も出来ていないようだ。場合によっては、全滅の可能性も否定できない、のではないのかな。

 

 

 

 

 

ロシア軍総崩れの可能性も、兵站への無人機攻撃で

西村 金一 2022/05/02 06:00


 NATO
の提供する無人機や榴弾砲などがロシア軍に脅威となっている(写真は米海兵隊の移動式ロケットシステム「M142」、414日撮影、米海兵隊のサイトより)      

 

1.ロシア軍の攻撃が停止、一進一退に

 ロシア軍機甲部隊の突進を止めたのは、NATO北大西洋条約機構)軍、特に米軍の対戦車ミサイルであった。

 

 ロシア軍は、東部と南部それぞれに、北部から戦力転用するとともに、約5万人の兵員と関連兵器を補充した。

 

 そうして再編成を完了し、422日頃から攻勢(総攻撃)に出ている。

 

 だが、ロシア軍が絶対的に優勢という状況ではない。ウクライナ軍が善戦し、相互の衝突が激しくなっている。

 

 

 ロシア軍の攻撃は、わずかに前進しているというが、苦戦していると見てもよいだろう。

 

 ウクライナ軍参謀部の報告によれば、423日から26日までの34日の間に、ロシア軍の戦車85両、装甲車137両、火砲・多連装砲24門、無人48機を破壊したという。

 

 ロシア軍が北部から戦力を転用し、再編成をしている期間よりも、損耗が急激に増加している。

 

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が27日の演説で、核兵器の使用を示唆し、米欧を威嚇したことは、戦況が予想通りに進まず、苦戦を強いられているからこそであろう。

(続く)