ロシアのウクライナ侵攻(12)

ベラルーシ大統領「作戦がこんなに長引くとは…」

[2022/05/06 07:10]

 ベラルーシルカシェンコ大統領はロシアのウクライナ侵攻について、「この作戦がこんなにも長引くとは思っていなかった」と述べました。

 

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「正直、この作戦がこんなにも長引くとは思っていなかった。私はこの問題に深入りしていないので、ロシアが言っているように計画通りに進んでいるのか、私が感じていることが事実なのかは分からない。私が強調したいのは、この作戦が長引いているように感じるということだ」

 ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領は5日、AP通信とのインタビューに応じました。

 ルカシェンコ大統領は「自分のおかげでロシアとウクライナの交渉は始まった」と自賛し、ウクライナがロシア側の提案を知ったうえでなぜ交渉に興味を示さないのか理解できないと述べました。

 

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000253764.html

 

 

 

2022.2.24に始まったロシアのウクライナへの侵略戦争は、2ヵ月半が経過したが、今もってロシアは悪戦苦闘しているようだ。正確な情報がなかなか公表されていない中でも、上記のようにロシアの同盟国のペラルーシでも、ロシア軍の苦戦に対して相当危惧していると言ったありさまである。

 

世界が一致してロシアのこの侵略戦争に対して制裁を科していることは、ロシアの悪逆無道ぶりを証明しているものである。その結果は、徐々にロシア国内を苦境に陥(おとしい)れてきているようだ。

 

ロシアは経済制裁による外資が撤退し部品の輸入が滞り、製造業を中心に生産が大幅に縮小しており、更には、原油天然ガス、石油製品などの輸出の大幅な落ち込みによる外貨の縮小ルーブルの急落防止などの金利の金融政策などの三重苦に見舞われてる、と言う。

 

ロシアの実体経済への痛みが、社会生活へも悪影響を及ぼし始めているようだ。

 

 

 

ロシア、制裁で傷む経済 3月の製造業生産マイナスに
インフレ懸念、利下げ制約

2022/4/30 0:00 (2022/4/30 1:21更新)
日本経済新聞 電子版

自動車の生産落ち込みが大きい(写真はロシア自動車大手アフトワズグループの工場)=ロイター

自動車の生産落ち込みが大きい(写真はロシア自動車大手アフトワズグループの工場)=ロイター

ウクライナ侵攻をめぐり米欧から制裁を受けるロシアで、実体経済の傷みが目立ってきた。禁輸措置などのあおりを受け、3月の製造業の生産指数は前年同月比で11カ月ぶりにマイナスに転じた。ロシア中央銀行2回連続の利下げを決めたが、インフレ懸念から大胆な金融緩和には踏み切れない。ロシア経済の冷え込みが続けば、軍事作戦継続への影響が出そうだ。

 

ロシア中銀は29日、政策金利17%から14%へと引き下げると決めた。54日から実施する。利下げ発表は48日に続き2回連続。声明では利下げの背景として「企業は生産や物流面で相当な困難に直面している」と指摘した。

 

制裁の影響を見えにくくするため、ロシア政府は原油生産量など一部の経済統計の発表を取りやめている。それでも入手可能なデータの分析からは、同国経済の苦境が垣間見える。

 

一例が鉱工業生産指数で、3月は3%増と2月(6.3%増)から勢いが鈍った。鈍化の主因は製造業だ。2月の6.9%増から一転、3月は0.3%減だった。自動車関連は45.5%低下し、電気機器やたばこも10%以上下がった。

外資撤退部品不足による生産減が顕著に表れてきた」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介副主任研究員)。2月下旬以降、欧米や日本は半導体や工作機械の輸出を停止し、ロシア産製品の輸入も禁じた。

 

外資に頼ってきた自動車生産は特に縮小が目立つ。仏ルノートヨタ自動車など車各社は3月にロシアでの生産を相次ぎ止めた。欧州ビジネス協議会(AEB)によると3月のロシアの新車販売台数は前年同月比63%減った。

 

雇用への影響は深刻だ。米エール大経営大学院によればロシア事業の停止や縮小を表明した企業は750社以上。モスクワ市長は同市の外国企業で働く「約20万人が職を失う恐れがある」とブログに投稿した。

 

同国の主力産業である石油や天然ガスなど鉱業は7.8%増と堅調さを保っており鉱工業生産指数全体ではプラス圏を維持した。欧州などはエネルギーをロシアに依存し、禁輸に踏み切れていない。

 

ただし直近では消費者からの批判を懸念して、商社などがロシア産原油を自主的に回避する動きがじわりと広がる。金融調査会社リフィニティブによると、欧州北西部向けの輸出量は3月後半以降、前年同期を12割下回る週が目立ち始めた。

 

国際エネルギー機関IEA)は、ロシア産の石油供給が5月以降日量300万バレル減るとの見方を示す。輸出量の4割に相当する。主に欧州向けに輸出されるロシア産原油は需要鈍化のせいで国際価格に比べて3割安で取引されている。

 

国際金融協会(IIF)の分析では原油・石油製品・天然ガスはロシアの輸出の56割、財政収入の25%を占める。「輸出や生産が落ち込めば財政への打撃は大きく、支出削減を迫られる可能性がある」(IIF

 

景況感の悪化を受け、ロシア中銀は金融政策を見直している。2月下旬はルーブル急落を食い止めるため政策金利をそれまでの約2倍となる20%に引き上げた。利上げや資本の流出規制でルーブル相場が回復すると、景気下支えのため一転利下げに転じた。

 

だが「政策金利が十数%に高止まりするうちは、景気を刺激する効果は乏しい」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)。政策金利ウクライナ侵攻前の1ケタ台へ戻せば、制裁による物不足で加速したインフレがさらに悪化しかねない。ロシア中銀によると4月の物価上昇率は前年同月比17.6%に達する。

 

世界銀行2022年のロシアの経済成長率を前年比マイナス11%と見込む。国内景気の悪化と外貨収入の減少、インフレに手足を縛られる金融政策という三重苦になっている。

 

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鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授

 

分析・考察

ロシアの産業もグローバルサプライチェーンの中に深く組み込まれている。ロシアの工業生産は国際的な競争力があるわけではないが、広大なロシア市場では一定の存在となっている。しかし、その基礎的な部品や技術は海外のものに頼っており、制裁による部品などの供給不足が生産を難しくさせている。これがすぐにロシアにおける戦争反対の動きになるとは言えないが、工業生産が落ち込んでいけば、兵器生産にも影響してくるため、戦争継続が難しくなっていく。

202243019:10 (202243020:27更新)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2777P0X20C22A4000000/?n_cid=NMAIL006_20220430_A

                

(続く)