ロシアのウクライナ侵攻(35)

そして北海道沖ではロシアの軍艦が5隻活動していることが、この6/9(木)に確認されているので、あながちこの想定(ロシアが中国と共同して日本に攻め込む)は荒唐無稽なものでもないことを示していることを明らかにしておこう。

 

 

 

ロシア軍艦艇 北海道沖で確認 極東でも活動できる能力誇示

FNNプライムオンライン 2022/06/10 20:41

 FNNプライムオンライン   

ミサイル発射演習の一環で活動中とみられる、ロシア軍の艦艇5が北海道沖で確認され、岸防衛相は「三陸沖でも演習を実施する可能性」に警戒感を示した。

 

海上自衛隊9日、根室半島の南東およそ170kmの太平洋で、ロシア海軍の艦艇5隻を確認した。

 

岸防衛相は会見で、ロシア国防省が、「3日以降に艦艇40隻以上、航空機およそ20機で演習する」としていると説明し、「海上自衛隊が確認したロシア艦艇の活動は、こうした演習の一環であると考えており、今後、三陸沖においても演習を実施する可能性について注視する必要がある」と述べた。

 

そのうえで、「ウクライナ侵略の中で、極東でも同時に活動できる能力を誇示する狙いもある」との見方を示した。

 

https://www.fnn.jp/articles/-/373325

 

 

 

ロシアはロシアであるが、中国はロシアよりももっと執念深い。

 

ロシアのウクライナ侵攻を手本として、台湾侵攻を計画している。ウクライナ侵攻によりロシアが世界から一致団結して経済制裁を受けているにも拘らず、中国は台湾の武力侵攻をあきらめてはいないし、更にその現実性が高まっているのである。

 

中国は一度決めたことは、そのメンツと威信にこだわり、柔軟に変更することが出来ていない。だから必ず台湾侵攻は、どんな犠牲を払ってでも、中国は実行するはずである。

 

しかも、台湾有事、即、日本有事となるものである。

 

だから日本は、自分の国は自分で守りぬくと言う国家安全保障・国防体制の早期確立を願ってやまないのである。

 

ロシアの失敗に学べず、台湾侵攻を計画する中国の硬直性

面子と威信にこだわり、一度決めた政策・戦略の変更利かず

2022.5.30(月)樋口 譲次

 

ミサイルを装填中の中国海軍の潜水艦(422日撮影、China Militaryより)

ゼロコロナ政策から抜け出せない

 中国の大都市上海市では328日からロックダウン(都市封鎖)が始まり、5月末で約2か月が経つ。

 上海市の副市長は516日の記者会見で、住民への外出制限を段階的に緩和し、61日から6月中下旬にかけて、「正常な生産と生活を全面的に回復する」と述べた。

 この間、あまりにも厳しい封鎖措置に、上海市民からは悲鳴と怒りの声が上がり、国際社会からはサプライチェーンの混乱・悪化などの世界経済や私権制限による人権に及ぼす影響の甚大さが指摘され、「ゼロコロナ政策」は持続不能だとの見解が示された。

 しかし、それでもなお中国はゼロコロナ政策からの政策転換ができない。なぜか――。

 それは、国家を超越し、その上位から国家を指導する中国共産党の主義・体制に起因する「無謬性」の位置付けと習近平国家主席が追求する個人崇拝の独裁体制にある。

 中国が、このような政治システムを採り続ける限り、一度決めた戦略や基本政策には、状況の変化に対応して柔軟かつ適切に変更することができない硬直性の問題が付きまとう。

 しかも、それを容易に克服することができない宿痾的な構造欠陥として引き摺ることになる。

中国共産党の無謬性と独裁体制

 中国の憲法は、その前文で「中国共産党の指導の下」に国家を運営することを謳っている

 しかし、憲法の「総則」(第1章)以下の憲法本文には、一党独裁中国共産党に関する記述は一切見当たらない。

 憲法3章の「国家機構」にも、最高の国家権力機関とされている全国人民代表大会(日本の国会に相当)以下の国家機構(下記【参考】参照)が書かれているものの、中国共産党に関しては一切記述されていない。

 そのことは、中国共産党は国家機構を超越する絶対的・超然的・神的権威権力、すなわち自党を「無謬性」の権威権力として位置付け、それを根拠に、少数エリートが人民・国家を指導する特権的・独裁的支配が行われることを意味している。

 その上、習近平主席は、少数エリートの集団指導体制から逸脱して、毛沢東と並ぶ個人崇拝の独裁体制を確立しようとしている。

 自らが指導する中国共産党の政治では、何事にも間違があるはずがないとの思想で貫かれているのである。

 

 

参考:中華人民共和国(中国)憲法の構成

前文 中国共産党の指導の下に・・・

1章 総則

2章 公民の基本的権利および義務

3章 国家機構

1全国人民代表大会
2中華人民共和国主席
3節 国務院
4節 中央軍事委員会
5節 地方各級人民代表大会および地方各級人民政府
6節 民族自治地域の自治機関
7人民法院および人民検察院

4章 国旗、国歌、国徽、首都

出典:恋する中国「中華人民共和国憲法」(http://www.togenkyo.net/modules/reference/28.html)(as of May 8th, 2022



 習近平主席は2021年、新型コロナウイルスへの「勝利」を宣言し、中国のコロナ対策は西側諸国のそれより優れていると自画自讃するプロパガンダによって自らの政治的評価を不動のものにしようとしている。

 そのため、習近平主席は少なくとも202211月の20回党大会が終了し、自身が無事に再任されるまで、ゼロコロナ政策を変更したと受け取られてはならないのである。

 また、習近平主席は20224月、コロナ禍において、中国の独裁体制が、衰退している西側諸国の体制より優れていることを示すためにも、中国の経済成長が米国を超えなくてはならないと党幹部に指示したと報じられている。

 だが、習近平主席が正式に掲げている今年の経済成長目標である5.5%の達成は、ゼロコロナ政策による経済成長率や国内消費の低下、そして経済成長の原動力である民間部門の締め付けなどを勘案すると、現状では難しいと考えられる。

 

しかし、いつもの数字のマジックを駆使して目標達成が報告されるかもしれない。

 いずれにしても、いま中国は、上海で見られるように、絶対的・超然的・神的権威権力の共産党が選択したゼロコロナ政策には間違いがない。

 加えて、3期目の国家主席を目指す習氏の野心が重なって、中国の中央・地方の政治的支配層の中で、ゼロコロナ政策の変更は絶対に許されないという異常な風潮に支配されているのである。

 逆説的ながら、ゼロコロナ政策の正当性を主張すればするほどコロナ禍からの脱却が遠のく一方のように見える。

 しかし、毛沢東時代の大躍進政策文化大革命と同じように、実際に大きな政治問題に発展するまで中国共産党が間違った政策を押し通す可能性があり、その結果、習近平の中国」が自滅に向かう可能性が高まると見ることもできるのである。

(続く)