(1)倭国は北九州の30カ国ほどの国のことを指す言葉であり、厳密には、日本国全体を意味するものではない。倭国=日本列島とするのは間違い。日本列島を言うのであれば、日本国とすべきものである。
だから「旧唐書」には、
「或いは云う、倭国みずらかその名の雅(みやび)ならざるを悪(にく)み、改めて日本と為すと。
或いは云う、日本は旧(もと)小国、倭国の地を併(あわ)せたりと。」
と「倭国」と「日本(国)」を分けて表記しているのである。倭国は日本国に併合されているのである。
(2)「邪馬台国(倭国)」は北九州の連合国家であるので、「纏向遺跡」が邪馬台国の有力候補地であるはずがない。この記事の作者は、明らかに勉強不足であり、いやしくも古代史を論ずるのであれば、もっと広く知見を集めておく必要がある。これでは「無知」さらけ出しではないかと言われても、致し方なしである。
(3)だから「卑弥呼」の宮殿などである筈がないのであり、いまだに「畿内説」なんぞと言うあほ丸出しの(失礼!)説を唱えるということは、知識不足の勉強不足と言わざるを得ないものである。
・・・・・と書かざるを得ないのである。ついでに次のような記事も必要ではないか。
(4)それよりも、日本国の基礎を作った大和王権の所在地と思われる遺跡か発見されたのであるから、「日本国の基礎となった遺跡が発見された。これで大和王権の実在や歴代の天皇の存在がまた一歩、歴史的事実となった。」などと、大騒ぎする必要があったのである。倭迹迹日百襲姫命の墓といわれているが、彼女は第七代孝霊天皇の皇女である。
もう一つ先に紹介した「ABCアーク」社発行の「歴史人4」月号(APR.2022 NO.136)の今度は「女王卑弥呼の謎と実像」(武光誠氏)の63頁の一部を次に載せる。
これによると
(1)箸墓は卑弥呼の墓である可能性が極めて高い。・・・とか、更には
(2)邪馬台国論争は7:3で大和説が優位だ、8:2かもしれない、などと言い
更には、
とまで言っているが、これらはすべて間違いなのである。
ある意味、空想の域を出ていない空理空論なのではないのかな。
先に言及しておいた「高島忠平氏」は、「箸墓は倭迹迹日百襲姫命の墓でよいのでは」と言い、「卑弥呼が纏向のどこかに眠っているはずはない」とまで言い切っているが、これが正しいのである。
今までの小生の「魏志倭人伝」の説明は、「邪馬台国の全解決」と言う中国人の古典漢文学者の孫栄健氏の書籍内容の説明であるが、将にこれが正しい「魏志倭人伝」の解釈であり、それからすれば、邪馬台国とは北九州の30カ国ほどの国々の連合体を指す言葉であり、邪馬台国そのものの一個の国があるわけではないのである。邪馬台国は連合国家の総称であり、しいて言うなら女王卑弥呼は奴国にいたのである。
もう一つ間違いを指摘しておこう。
上図を参照願いたいが、八塚古墳ではなくて矢塚古墳である。これも先に紹介した63頁に載せられている図である。
ちなみに次にその63頁の全体を載せておく。
(続く)