纏向遺跡と邪馬台国(日本古代史の謎)(47)

天孫降臨とはなんであったか」(勉誠出版)の著者田中英道の著書で「日本の起源は日高見国にあった」(勉誠出版)のP109には、「国譲り」、「天孫降臨」、「神武東征」の三つは、『古事記』の根幹の話であり「日高見国」がその存続をかけて取り組んだ「国家的課題」であった、と書かれている(と小生は理解したのだが、まあ根幹と言えばその前に国生みがあるわけである・・・が)。 

 

 

さて「国譲り」の話には、建速須佐之男命天降りの話をしなければならないことになる。 

 

ことの起こりは、スサノオが葦原の中つ国へ天降るときに、姉の天照大神にそのためのアイサツに高天原に上がった時から始まる。 

 

この話は当ブログのNO.28、'22.8.10 を参照願うが、結局はスサノオが大騒ぎして天照大神が天の岩屋に籠もってしまうことになり大騒ぎとなる。 

 

そのため、この騒ぎの基を作ったスサノオは、高天原から「神逐ヤらいに逐ヤらいたもうた」のであると追放されてしまう。 

 

そして、次のような話となるのである。これは、「読み解き古事記 神話篇三浦祐之朝日新聞出版)のP118~9に書かれていることの、小生なりの要約である。 

 

(これは日本書紀の一書に伝えられている話だが)高天原を追放されたスサノオが雨の中を簑笠ミノカサを着てさまよい宿を乞うたが、だれも与えてくれなかった、と言うことがあった。また、腹が減り大気都比売オオゲツヒメに食べ物を乞うた。オオゲツヒメとは偉大な(オオ)食べ物(ケ)の(つ)女神(ヒメ)で、一般的には食の神なのでどこにでもいる神であろう・・・。するとオオゲツヒメは鼻や口、また尻からも、くさぐさのおいしい食べ物を取り出して、いろいろに作り調トトえてもてなしてくれた。それを見ていたスサノオは、わざと穢ケガして奉るのだと思い、すぐさまオオゲツヒメを斬り殺してしまう。すると殺された神の体につぎつぎと作物が生まれた。 

 

 頭 - 蚕 

 目 - 稲種  

 鼻 -  

 陰 -  

 尻 - 大豆  

 

そこで神産巣日御祖命カムムスヒノミオヤノミコトが、これを取らせて種と成した。 

 

 

ここでようやく「天地初発之時」の三柱の神のうち神産巣日神カムムスヒノカミの出番が来たのである(と小生には思われる)。 

 

そして神産巣日神はそれらの種をスサノオに授けて、地上に持たせたのである。 

 

スサノオはこのようにして、五穀の種を携えて出雲にやってきたのである。 

この五穀の種は、次の遠呂智オロチ退治の話と密接に関係してくるのである。 

 

なんとなれば、オロチを退治して結婚することになる「クシナダヒメ」は、「クシ(霊妙な)+イナダ(稲田)+ヒメ(女神)」と言うことで、もともと「田んぼの女神」であったからである。当然、稲種や五穀の種と田畑は密接な関係があるものなのである。 

 

これも「読み解き古事記 神話篇三浦祐之朝日新聞出版)のP123~4に書かれているものである。 

 

神産巣日神が、それらの種をスサノオに授けて地上に持たせた」と書いたのであるが、この場所は、既に高天原からは遠ざかっており、地上に来ていたか地上のすく近くの場所であったと(小生は)理解している。 

(続く)