纏向遺跡と邪馬台国(日本古代史の謎)(53)

【大樹の楔】 

18) 八十神たちはまた怒って、大樹を切り倒して割れ目に楔を打ち込み騙して 

  大穴牟遅神をその中に押し込めてしまう。 

19) そして楔を外して押し殺してしまう。 

20) するとまた母の神が探し出して、その木を割いて取り出して生かしてくれ 

  る。 

21) このままでは本当に殺されてしまうと言って、紀伊の国の大屋毘古神 

  (オホヤヒコノカミ)の元に逃がす。 

22) するとまた追ってきて八十神たちは矢をつがえ迫るので、大屋毘古神 

  木の俣から逃がして、スサノオのいる根の堅州国へ行け、という。 

23) そこへ行くと、スサノオの娘の須勢理毘売スセリヒメが出てきて、すぐ 

  様意気投合志結婚する。 

24) そして父君にその旨伝えると、大穴牟遅神を見て「これは葦原色許男 

  (アシハラシコオ)である」と言い、家に入れる。 

25) するとスサノオ大穴牟遅神を、「蛇の室」や「百足と蜂」に寝泊まりさ 

  せられるが、ヒメが渡してくれた「比礼ヒレ」で打ち払うことが出来た。 

26) 次は野原に射った鏑矢を探させると、その野を焼き払ったが鼠が出てきて 

  「内はホラホラ、外はブスブス」と言うので、そこを踏むと穴に落ち込み 

  その間に火は焼け過ぎてしまう。 

27) 鏑矢は鼠が咥えて持ってきてくれる。矢羽根は喰われてしまっていた。 

28) 野原で姫とその父はオオナムチは死んだと思っていると、その矢を持って 

  現れる。 

29) 今度はオオナムチを大室に呼び入れ、自分の頭の虱を取らせる。すると 

  頭には百足ムカデが一杯這っていた。 

30) すると妃が「椋の木の実」と「赤土」を夫に与えると、それらを口に含み 

  吐き出すと、百足を食い破り吐き出したと思い、感心して寝てしまう。 

31) そこでオオナムチは大神の神を垂木に結いつけ、大岩で扉を塞ぎ、姫を背 

  負って大神の宝物や太刀、弓矢、琴を以って逃げる。 

32) しかし琴が木に触って音を立てたので、大神が目を覚ますが、髪を解いて 

  いる間に遠くへ逃げ伸びる。 

33) 何とか追って来たスサノオ大穴牟遅神に、「その太刀や弓矢でお前の腹 

  違いの神を追い払って、自分で大国主神となりスセリヒメを正妻とし、宇 

  迦の山の麓に底津石根に宮柱を太く立て、大空に高く棟木を上げて住め、 

  こやつめ。」と叫ぶ。 

34) 宇迦の山の麓は今の出雲大社の場所で、2000年には出雲大社の八足門前の 

  地下から金輪で束ねられた巨大な三本柱が掘り出された。 

  このようにして、大国主神通称「出雲の国」を統治された。 

 

高天原から】 

35) この地上の国の繁栄を天照大神は、自分たちが治めるべきであると考えて 

  いた。 

36) 「天照大御神之命以」天照大神の仰せにより、「豊葦原の千秋の長五百 

  秋の水穂の国はわが御子正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかつあかつかち 

  はやひあめのおしほみみのみこと)の統べ治める国である」として天忍穂 

  耳命が天降った。しかし地上波騒がしいとして、帰ってくる。 

37) 次に「天菩比神」(あめのほひのかみ)をつかわすが、大国主神に靡いて 

  しまい三年も返事がない。 

38) そこで高御産巣日神天照大神は、天の麻迦古弓(まかこゆみ)と波波矢 

  (はばや)を持たせて天若日子を遣わすが、大国主の娘の下照比売(した 

   てるひめ)を妻として八年経っても返事をしなかった。 

39) そこで雉の名鳴女を遣り問い糺すと、天若日子はその弓矢で雉を射殺す。 

  その矢は高天原まで届てたので、元来た所へ射返すと天若日子の胸に突き 

  刺さり死んでしまう。(一部省略して・・・) 

40) そして思金神達に相談して建御雷之男神タケミカヅチ)に天鳥船神を副 

  えて遣わした。 

41) 二神は出雲の伊耶佐の小浜に降り、十ツカの剣を逆様に波の上に刺し、そ 

  の上に胡坐を書いて大国主命に尋ねる。「汝の葦原の中つ国はわが御子の 

  治むべき国である。どうか」と。 

42) 「それには我が子の八重言代主神がご返事申し上げるが今不在である」 

43) そこで天鳥船神が言代主神を連れてきて尋ねると父神に「この国は謹んで 

  天の神の御子に献上なされ」と言って隠れた。 

44) 他に反対者はいるかとの問いに、「建御名方」(たけみなかた)がいる、 

  他はいない、と答える。 

45) すると建御名方が大きな石を持って、「力比べをしよう」とやってくる。 

46) お互いに手を握るとタケミナカタは何もできず、タケミカヅチは手を握り 

  潰して体ごと放り投げてしまう。 

47) タケミカヅチタケミナカタを州羽(諏訪)の海に追い詰めて殺そうとす 

  る。 

48) タケミナカタは命乞いをし、「これからは一切背かない、この葦原の中つ 

  国は天神御子之命の仰せのとおりすべて献上いたします」と申した。 

    諏訪大社は上社も下社もタケミナカタを祭神としている。 

49) 諏訪から戻った武御雷男神大国主神に尋ねる。「汝の心は如何か」と 

50) 「我が子二神の言った通り、私も違いません。葦原の中つ国は仰せの通り 

  献上いたします。ただ一つ条件があります。 

51) 私の住処を壮大な御殿のように、宮柱を太く高く立てて棟木を高く 

  上げて、治めて(維持管理)してくれるなら葦原の中つ国は仰せの通り 

  献上いたします。出雲には既にスサノオの時代に壮大な宮殿はあった。 

(続く)