旧統一教会の元信者である多田さんは『政治家が文鮮明氏と握手したりするビデオを散々信者見せられる』『統一教会の教えが政治家に受け入れられていると信者が思っている』としています。
---多田さんは、元信者として内部にいた立場で、安倍元総理と旧統一教会との関係というのはどのように見ていますか?
「私がいたころは安倍晋三さんではなかったんですね。だから今回の容疑者が岸さんの名前を出した時に『よく知ってるな』と思ったんですね。これ話を聞いているなと、お母さんを通じてですね。いわゆる私がいたころは元首相の岸さんがいて、そこに安倍晋太郎さんとか特にお父さんの名前ですね。あの辺の話をよく教会側から聞かされていまして。実際にそうした政治家が文鮮明氏と固い握手をして褒めてるビデオがあるんですね。それを見せられていますから信者の人たちは。中で教えられるのは、そうした政治家の人たちは全部、実は統一教会の教えを受け入れているんだと。だから文鮮明氏のためなら何でもするような人たちだと思ってしまうように教えられるんです。教えでは神様の言葉より上の人の言葉は全部信じて行動しないと地獄に行くというふうに教えられているんです。ですのでその言葉をもう全くそのまま受け入れてしまうんですね」
入信のきっかけはバレーボール大会
多田さんは1987年から1996年まで旧統一教会で活動していました。入信のきっかけは大学4年生の時に友達から誘われた『バレーボール大会』に行ったことだといいます。統一教会とは言わず正体を隠した勧誘だったということです。
---これはどういう経緯だったのですか?
「これ実は旧統一教会のやり口なんですけれども、統一教会だって言わないで誘って、ずっと誘って、そしてどんどんどんどんどんどん教え込んでいって、頭の中が統一教会の教義になったところで、ここは統一教会ですよ、と。そういう正体を隠して。いわゆる宗教の教えっていうのは人生を左右するので、本当は入る前に言わないといけないんですね。実際に行ったバレーボール大会、これは後で知ったんですけど、全員信者だったんですね。そういうところに行って、その後、勉強してみようよと行った先も全部統一教会。しかも聖書の勉強しようよって言って、ビデオ見ようねって言って、ビデオ見ていて聖書の勉強をしていたつもりが全部統一教会の教義だったんですよ」
---でもどこかのタイミングで「旧統一教会ですよ」ということを言われるわけじゃないですか。じゃあ、何か自分が思っていたものと違ったとか、なぜそこを明かさなかったんだろうとか、そういう疑いの気持ちというのは芽生えないんですか?
「その辺は上手いんですね相手はね。確かに宗教に対して私ちょっと抵抗があったので、言われた瞬間に“ん?”と思ったんですよ。でもその後ですね、実は先に進んだ理由は、家系図を取られたんです。家系図を取られて、初めて自分の家系図を見て、そうすると母方がみんな女系なんですね。それを上手く“これは因縁だ”と。私は霊魂だとかをちょっと信じていたところがあるですね当時。そういう話をされて、『え、女系…悪霊がついてるんですか』『この先進んで勉強していかないと家族みんな不幸になるよ』と。ただ私の動機としては家族とか親族を幸せにしたいっていう思いが強かった。そこを利用された。当時は大学4年生だったんですよ。就職不安を抱えていたんです。そうしたら自己啓発しながら就職に有利になるよって言われて。それで行った先で世界情勢を勉強した方がいいよと、これから国際社会で就職にも役立つよと。そこで『世界で一番読まれている本は何だと思いますか』って聞かれたんですよ。『わかんないです』『聖書だよ』と。外国人は聖書を読んでいるから、聖書の勉強しなかったら国際情勢に通じない、なんて言われた」
(続く)