爆笑問題・太田光と(旧)統一教会(43)

暴力団のような「反社会的」組織にも祝電を打ったりするというのか 

 

 他方で、公明党の支持母体創価学会であることについては、 

 

「宗教の側が政治に特権を持つようなことは憲法上、政教分離として禁止されているが、表現の自由の一環として宗教団体がさまざまな政治活動をして、特定の候補者や政党を応援していくことは、憲法上保障された権利だ」 

 

 とも言及した。 

 

 確かに統一教会といえば、いわゆる霊感商法合同結婚式が社会問題化し、資金集め布教過程などで、違法とする司法判断が積み重なっていて、いまもあとを絶たない。 

 

 まして、家族の死や家庭のトラブルなどで傷ついた人の弱みに付け込んで、「不幸なのは先祖の因縁だ」「死者の霊が地獄で苦しんでいる」「供養しなくてはいけない」「このままではあなたも地獄に堕ちる」などと言葉巧みに脅し、教団への献金を持ちかける。それは人の心への恫喝に等しい。「反社会的な団体」の評価は的を射ている。 

 

 いわば「反社」というくくりで極言すれば、政治家が暴力団組事務所やその関係先に祝電を打ったり、講演に呼ばれて出向いたりするようなことは、絶対にないはずだ。 

 

なぜ彼らはすすんで選挙運動のボランティアをしてくれると考えているのか 

 

 統一教会の会員であることを知らずに、選挙活動ボランティアとして協力してくれたことを言い訳する政治家もいる。支援してもらえる側からすると、こんなに有り難いことはない。だが、それは政治家からすれば「貸し」をつくったことにもなる。 

 

 人間は、他人から助けられたり優しくされたり良くされると、お礼やお返しをしたいと思うようになる。「貸し」を返そうと考える。これは「返報性の原理」というマインドコントロールに用いられる手法のひとつだ。 

 

 この手法をはじめ、マインドコントロールのテクニックを駆使して、いわゆるカルトと呼ばれる団体が信者を絡め取っていく――この詳細については、すでに7月25日に配信している*2。 

 

*2 安倍元首相の国葬統一教会の「マインドコントロール」に利用されるだけ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71101 

 

 たとえば、大学に入学したばかりで生活に不慣れで不安な学生に声をかけてアドバイスする。家族の死や家庭のトラブルに直面したところに、優しく声をかける。話を聞いてもらっただけでも嬉しくて、お返しをしたいという心理が働く。そこに「ちょっと30分だけ話をしませんか」とか「こんど、こういう場所にいってみませんか」などと誘い出して、関係を築いていく。団体名も名のらない。 

 

 そうして先祖の因縁を説きはじめる。学生組織の原理研究会であれば、友人として信頼を得たところで「聖書の勉強をしましょう」と持ちかけてくる。そうやって教義を教え込む。 

 

 そしてカルトと呼ばれる組織が最後に仕掛けるのが「恐怖説得だ。関係を絶とうとすれば、「こんなに大事な教えを知ったのに」からはじまって「ここで辞めたら地獄に堕ちる」「○○さんはここで辞めて事故にあった」などと脅して、抜け出せなくする 

 

 選挙活動で「貸し」をつくった政治家だって人間だ。支援してくれた相手に「貸し」を返したい。それが「政治力」であるとも限らない。統一教会が要求してくるかもしれない。その時に断れるのか。統一教会は選挙ボランティアも組織的に行う傾向が見てとれる。 

 

権威ある者はその権威を利用される可能性に注意深くあるべき 

 

 マインドコントロールの手法には「権威の原理」というものがある。有名人や社会的立場にある人が関係しているから、あるいは推薦しているから、この団体は信じられる、と思ってしまう人間の心理だ。 

 

 オウム真理教では、教祖の麻原彰晃ダライ・ラマに面会したことから、教団を信じ、入信した信者も少なくなかった。いまも後継団体はそのことを利用しているという。 

 

 国会議員が「反社会的な団体」のイベントに顔を出したり、登壇して挨拶したり、祝電を送るだけでも、安心できる。 

 

 それがもっとも大きな問題として露出したのが、安倍晋三元首相と統一教会の関係だった。 

(続く)